コロナで入院
コラム「架橋」
8月に入ってからも相変わらず私のまわりには、コロナウイルスが広がっており、安心できる状況ではない。しかしそうは言いながらも自分はコロナに罹らないという妙な自信があった。
7年前に私は脳卒中で倒れてから、毎月1回病院に通うようになったが、担当医が聴診器を胸と腹、背中にあて脈をとり、あとは血圧と体温を計るだけである。
8月2日、体温が37・1度あるというので、「〇〇病院に行って精密検査をしてくるように」と言われ、そのまま〇〇病院に行った。〇〇病院では再び体温を計り、多少熱があるということで懐中電灯で目と喉を調べられた。医者に「寒気はしないか、震えはないか」と質問され、「今日は家に帰って安静にしろ!明日もう一回検診する」と言われ、看護士が車椅子を押して帰してくれた。
翌朝、昨日の看護士が家に来て熱を計った。37・8度あり、「昨日より高い」と言われ車椅子を押され、また病院に行った。そこで再び体温を計り、喉を検診され、「熱だけ。コロナの初期、入院手続きを取ってくれ」と指示され、医者より次のように通告された。「熱が下がるまで一週間ないし10日間の入院、完全にコロナの初期」。
入院した部屋は、コロナの隔離病棟。8月3日より一日中、病院の天井を見ている生活が始まった。翌朝4人部屋に移される。しかしカーテンで部屋が4つに仕切られただけ。部屋には1mぐらいの長さの蛍光灯が2本。夜の9時には消灯で電球一個に変わる。
9時と12時半、夕方6時が食事で私は全かゆなので「海のりの佃煮と野菜の煮物がおかずとして付く。毎回30分くらいかけて食べる。治療は解熱の点滴が一日一回、終わるまでに一時間程かかる。やることと言えば、一日2回の体温の検診と午後の点滴だけ。後は夕方に看護士が来て「寒気はないか」と聞き、熱を計るだけだ。
8月9日、36・7度の平熱が3日続いたので、「今日午後退院」と医者に言われ、退院する前に受付に行くと「呼び出された」と言って友人が来てくれていた。
毎日朝から晩まで病院の天井を見ている生活はもうこりごり。テレビは全く見えず、音も小さくてよく聞こえないが、パリ五輪とニュースが流れているのは薄々分かる。全く活字がないのには閉口する。8月11日にかならず病院に来るように言われ、入院生活が終わった。天上だけ見ている生活も一日一回の点滴も終わった。家に帰ると活字が見れる!
(武)