病院が崩壊の危機に
コラム「架橋」
数週間前のこと、私の育った田舎の静岡県菊川市民病院で、産婦人科の出産医療を中止にすることが大きな問題と報じられた。この病院は市の中でも医療体制が一番整っているから、誰でも入院するように利用する。出産には多くの人出がかかるので、その分赤字が積み重なっているというのだ。
出生率が極端に下がり、少子高齢化が益々進むと予想される昨今、中核病院が出産業務を打ち切ることの悪影響は避けがたいのではないか。
それから、病院の危機についての報道を気にしていたら、次から次へと流れていた。
「病院の7割が赤字経営」。「病院・クリニックの倒産(25年1―5カ月)、地域医療の中核となる医療機関の倒産が目立つ。クリニックが11件、ベッド数20床以上の病院7件と過去20年間で最多を更新した」(東京リサーチ調べ)。
そして、その原因を「医療機関は、患者数の減少や理事長・院長の高齢化が進み、医師や看護師不足、医療設備の老朽化など、様々な課題に直面している。そして人件費の高騰に加え、電気代や各種備品・消耗品などの価格の上昇が収益を圧迫している」としている。
「診療報酬の水準が低いままであること、2024年に診療報酬が改定され、特に感染症診断などの汎用検査の点数が引き下げられたことなどから、医療機関の経営が困難になっている」、さらに「激務であるにもかかわらず十分な給与が支払われず、離職者が増えている」(全国保険医団体連合会)との指摘もある。
かかりつけのお医者さんに「病院の危機」について、意見を聞いた。すると「政府のやった働き方改革を病院に当てはめると、長時間労働が当たり前だったから、それを是正しようとすると医者や看護師の数が足りなくなり、やっていけなくなっている」と言うのだ。病院の危機はどう考えても国家がどういう長期的な方針を持っているかにかかっている。政府は膨らむ社会保障費をどう引き下げるかに主眼が置かれた政策で、高齢者負担の3割引き上げをねらっている。
私も2つの病院にお世話になっている。病院の危機は自分にも返ってくる。 (滝)

