猛暑の選挙ウィーク
コラム「架橋」
連日、梅雨も明けぬのに40度に迫る猛暑日が続いている。日本列島はもはや亜熱帯になったのかと疑うほどだ。夜になっても気温は下がらず寝苦しい日々をおくっている。
そんな1週間だったが、世界各地で「選挙」というこれまた熱い闘いが繰り広げられた。東京都知事選をはじめイギリス、フランス、あるいはアメリカしかりである。
特に七夕の7月7日に投開票が行われた東京都知事選は、小池百合子現知事の優勢は各調査で織り込み済みだったが、いざ蓋を開けてみると「先行している小池百合子候補の背中が見えてきました」と自信をのぞかせた蓮舫候補は3位に沈み、新興候補である元広島県安芸高田市長石丸伸二候補が約168万票を獲得し2位についた。当選した小池百合子が290万票、蓮舫候補が128万票であるからその差162万票。開票後、蓮舫候補を日本共産党が応援したことが浮動票を取り逃がした原因であるような立憲民主党幹部による発言や報道を目にするが、果たして共産党の組織票がなければ128万票も獲得できたかは分からない。
また、都知事選に対して、左派ポピュリズムのれいわ新撰組と第2自民党である日本維新の会は静観。ややもすれば、両党を支持する有権者の、ある意味浮動票は石丸候補に流れたといっても決して過言ではあるまい。石丸候補の公約は、まったく小池知事と同じ。独自の公約はほとんど無いに等しい。若いというイメージとSNSを駆使した戦略により5000人ものボランティアが集まったという。
今まで選挙に行かなかった若年層や無党派層が投票所へ足を向けたことは幸だが、公約を焦点とする選挙でなかったことも事実である。
イギリスでは労働党が政権をとり、フランスでは極右政権を阻止するために与野党が共同候補を擁立し、極右政権を阻止した。国政と都政は違うかもしれないが、その財政規模は小国の1年分にあたるほどだ。
有権者も公約を争点とした投票行動をしてもらいたい。 (雨)