今どきの若者は……

コラム「架橋」

 狭山事件で石川一雄さんが不当逮捕された5月23日、部落解放江東共闘会議では、毎月亀戸駅頭で、再審と無罪判決を求めて宣伝活動を行っている。その23 デーの7月23日、男女の高校生たち数人がチラシを受取り、私の訴えを聞いていた。そして、「検察おかしいぞ、無実の人を捕まえるなんて。61年も何をやっていたんだ!」などと、何回か叫び呼応してくれた。若者たちが、権力の悪に対して、怒りを露わにしていることに、うれしくなり感謝のお辞儀をした。
 チラシまきに戻った時、車椅子の人が一人で横断歩道を渡ろうとしたが、段差につかえてうまくいかない。私はチラシまきを中止し、後ろから押してあげ、バスに乗ると言うのでバス停で運転手さんにその旨伝えた。
 すると並んでいた中年男が「バスは混んでいるから、一台あとにしろ」とわめいた。バスの中をのぞいたが車椅子の人が乗れるスペースはある。「空いているではないか」と私は言い返した。並んでいた女性も「乗れるよ、嫌ならあなたが降りたらどうか」と助け舟を出してくれた。悪態をついた者はバスを降りていった。バスの運転手さんに介助されて、車椅子の人は無事バスに乗れた。こんな差別的対応にあったのは初めてで戸惑ったが、女性の勇気ある発言が空気を変えてくれた。
 この間、他にも高校生たちの積極的な対応に出会う機会があった。7月17日、辺野古基地埋め立て企業の東亜建設工業への抗議行動で、通りがかった新宿高校生数人が、マイクで、自分たちの問題だとして戦争反対を訴えた。
 4月29日、原宿駅前で、沖縄での性暴力・女性殺害に抗議するスタンディングに、通りがかりの千葉県の高校生3人が、そのスタンディングに参加し、プラカードを掲げた。
 若者たちの保守化が言われて久しいが、自分で判断する若者たちもいる、そこに出会うための工夫こそが問われていると思う。
 話は代わるが、今年の夏はうだるように暑い。バイトのために4時半には家を出るが、不思議に思うのは、蝉がほとんど鳴いていないことだ。田舎では、蝉は朝が早く、ものすごい勢いで鳴いている。道路やコンクリートの建物だらけでは、昆虫の住処も作れないのか。昆虫が住めない環境はやがて人間も住めない環境になるということか?   (滝)

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