初めての心臓出術

コラム「架橋」

 昨年の11月に定期健康診断で不整脈が見つかり、胃カメラの検査を中止した。かかりつけの医院に駆けつけ、別の大きな病院で循環器系の専門的な診察を受けた。審査の結果は不整脈に間違いがない、何か今まで症状はなかったかと問われた。
 昨年8月に事務所で突然後ろ向きに倒れたことがあった。私はその記憶がなかったが、起き上がりこぶが出来て痛かった。熱中症かと判断した。お医者さんにはよれば、これが不整脈の症状だという。心臓という大きな筋肉の塊を神経細胞が刺激を与えて動かしている。これが正常に動いていれば問題がないが、突然ゆっくりなったり早くなったりすると血栓が溜まったり、心筋梗塞などを起こし、死にも至るという。
 その時、医師は足の動脈からカテーテルを入れて心臓の神経の一部を焼く手術をすれば7~8割は治ると勧められた。症状が1回だけであったこと、手術が「かけはし」の制作の曜日にどうしてもかかってくることなどで見合わせした。投薬ですませ、12月には心臓の動きを24時間監視する器具を埋め込んだ。
 この話を仕事仲間や友人にしたところ、以外にも心臓や脳の血管手術をした人は多く「絶対に手術をすべきだ」と強く勧められた。そこで、1月に決断し3月に手術することになった。
 午前11時過ぎ、テレビで見るような大きな手術室ではなく、狭い部屋の中央にベッド、その周りはモニターだらけ。高いベッドに寝ると体中に測定器が付けられ、頭にはギザギザのヘッドギアのようなものが被せられた。数分すると全身麻酔のせいで意識がなくなった。そして手術後「4時間か、少し時間がかかったな」との会話の声が聞こえ、移動するベッドに移された。
 血圧計など様々な計測器や、尿を採る管が付けられたので身動きがまったくとれない状態で翌日の午前中まで耐えなければならなかった。腰が痛くなるわで「苦行」であった。
 手間がかかる患者さんには「天使」のような扱いで接する看護師さんたちの見事な対応に感心させられた。それにしても病院で働く人々の忙しさ。労働条件の改善をしっかりやり医療を守らねばとつくづくと思った。(滝)