ロシア軍のウクライナ侵攻を絶対に許さない

国内NGОによる抗議声明・行動よびかけ

あからさまな
侵略に怒り!
 プーチンがロシア国営テレビを通じて「軍事作戦を実施する」と国民向けのテレビ演説をしたのが現地時間の2月24日の朝、日本時間では正午前と報じられている。同日深夜から、国内NGO関係のメールマガジンなどを通じて、ロシア大使館に対する抗議行動のよびかけや抗議声明が届き始めた。
 抗議声明で最も早かったなかのひとつが、ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)と武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)の2つの国際NGOの国内事務局を担うピースボートからの情報だ。国連などの国家間組織の軍縮会議などに政策決定に絡んできた経験で、NGO間の意思決定の手順が整っており、合意形成と声明発表が早かったのだろう。ネットワークはウクライナやロシア国内にもつながっているのだろう。
 ICANロシアは、対話と外交に戻り、国連憲章を再び遵守し、国際人道・人権法を尊重しと訴え、ICANの声明は「リスクを削減する諸条約――核兵器禁止条約を含む――に加わるべきです。私たちは国際社会に対して、ロシアにそのように強く圧力をかけることを求めます」と結ばれている。2月25日午後のロシア大使館に向けた抗議行動では「国連憲章違反の侵略をやめろ!」というよびかけ人によるコールがあった。ピースボートとその周辺、ネットワーク界隈での同意内容なのだろう。
 東京に拠点をもつ国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ(HRN)の声明では、「ロシアで戦争に反対して拘束された人々の即時釈放と拘束下での人道的処遇の確保を求める」という一文が結語となっている。HRNはICANへの加盟団体でもある。

原発大国での
危機感つのる
 ウクライナは「原発依存度が世界3位」、「2019年の原発依存度は53・9%に及び、これはフランス、スロバキアに次いで世界で3番目に高い」(21年4月20日の朝日新聞社の関連サイトGLOBE+から)。2月25日に原子力資料情報室が発表した声明「原発と戦争ーロシアは速やかにウクライナでの軍事作戦を中止するべき」には、「電力供給を維持するために戦争中でも原発を稼働させている。原子力発電公社エネルゴアトムによれば、開戦前の23日時点で15基中リウネ原発1号機とフメルニツキ原発2号機を除く13基の原発が稼働中だ」と最新状況をモニターしている。
 今回のウクライナ侵攻でロシア軍がチェルノブイリ原発を占拠したと報じられた。86年に最悪の事故を起こした同原発は廃炉作業が続いている。ロシア軍占拠により、あたかも廃止措置中の原発から放射性物質が大量に放出され、モニター値が上昇しているという情報がネット上で拡散したという。この上昇は、汚染地を軍事車両がかき乱したことで、汚染度が拡散された結果とみられる。この事故で放出された放射性物質の70%はベラルーシに降りそいでいることから、侵攻に先立つロシアとベラルーシの共同訓練による拡散もあっただろう。
 ロシア軍はウクライナの重要インフラを押さえている。15基の原発もリストにはあるだろう。情報室の声明では「戦争によって原発が事故に至る可能性は否定できない。たとえば、格納容器にミサイルが衝突すれば、大惨事に至る。冷却水の取水のための装置が打撃を受ければ、原子炉の冷却に支障がでる。送電網が破壊されれば、外部電源喪失に至る。運転員の避難や殺傷などが起きれば、原発の制御もままならなくなる」とその危険性を指摘している。
 安倍晋三は2月27日の朝のフジテレビ系ニュース番組に出演し、「北大西洋条約機構(NATO)に加盟するドイツ・ベルギー・オランダ・イタリアの4か国がアメリカの核兵器を自国の領土内に配備する『ニュークリア・シェアリング』=『核共有』政策をとっていることに言及。そのうえで、『世界の安全がどのように守られているのか議論をタブー視してはいけない』と述べ、日本でも是非を議論すべきとの認識を示しました」という。
 日本政府は、国際機関などから得ているウクライナの放射線モニター状況をリアルタイムで公開すべきである。軍による原発占拠の状況と影響が不明だ。ロシア軍が撤退し、原発の状況や影響が明らかとなり、安全性が確認されるまで国内の原発を停止するとともに、国際社会にも同様の行動、措置の実行を呼びかけるのが「福島の復興なくして」と叫ぶ政府の責任だろう。
     (2月28日KJ)

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