米軍・自衛隊は欠陥機オスプレイの飛行を停止せよ!
沖縄報告 8月13日
沖縄 沖本裕司
オスプレイの変速機(ギアボックス)の故障が過去5年間で60件報告されていたことを、8月6日のAP通信が伝えた。
2023年11月の屋久島沖でのオスプレイ墜落(乗組員8人全員死亡)は、米空軍の調査により変速機の破損が一因だったことが明らかになっている。
2022年には、3月のノルウェイでの墜落事故(乗組員4人全員死亡)、6月のカリフォルニア州での墜落事故(海兵隊員5人全員死亡)などと、墜落事故が後を絶たない。
米軍は昨年12月、全世界のオスプレイ400機あまりの飛行停止措置を取ったが、今年に入って飛行を再開し、普天間飛行場をはじめ日本全国を飛び回っている。オスプレイの重大事故はまた起こる。事故を起こさないためには飛行停止以外にない。
20年前の2004年、米軍ヘリが沖縄国際大学の校舎に墜落炎上した8月13日を、沖国大は「平和の日」と定め、普天間飛行場の閉鎖へ向けた努力を続けることを明らかにしている。オスプレイ撤去・普天間閉鎖へ力を合わせよう。
8.10 宜野湾県民大集会に2500人
NOオスプレイ・普天間返還・米軍犯罪糾弾!
![](https://www.jrcl.jp/wp-content/uploads/2024/08/28261-1.jpg)
宜野湾ドーム。県民大集会に2500人。(8.10〉
「欠陥機オスプレイの飛行停止と普天間飛行場の閉鎖・返還」を求め「米兵の少女暴行と政府による事件隠ぺい」を糾弾する8・10沖縄県民大集会が、宜野湾市ユニオンドームで開催され、2500人が集まった。主催は辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議、第3次普天間爆音訴訟団、第4次嘉手納爆音訴訟団の3団体。嘉手納訴訟団の読谷、北谷、うるまの各支部は大型バスをチャーターして結集した。
進行役は仲村未央県議(沖縄市区)。はじめに、主催3団体から次のようなあいさつが行なわれた。「オスプレイはパイロットの顔が見えるくらい低空飛行をする。爆音はひどくなった。この状況を許してはならない。沖縄から全国に発信していこう」(普天間訴訟団長の新垣清涼さん)、「第1次の飛行差し止め裁判から45年、訴えは広がってきており、原告は3万5000人を越える。平和な沖縄を取り戻すには基地をなくす以外ない」(嘉手納訴訟団長の新川秀清さん)、「相次ぐ米軍の犯罪。アメリカにものを言えない日本政府。国民よ、目を覚ませ。一緒に考えてほしい」(オール沖縄会議共同代表の稲嶺進さん)。
米軍ヘリの部品落下事故があった緑が丘保育園の元保護者らでつくる「#コドソラ(子どもの空を守りたい)」の与那城千恵美さんは、「空も地上もみんな危険。非常に怒っている。子ども達に申し訳ない。日本政府は米軍の言いなり。普通に穏やかに暮らしたいというのが私たちの願い。これ以上悲しい事件が繰り返されてはいけない」と訴えた。
米兵による性暴力事件の被害者、C・J・フィッシャーさんは「グスーヨー、チュウウガナビラ」と切り出し、犯罪者の米兵と米兵を守る米軍・日本の在り方を糾弾すると共に、日米地位協定の改定を訴えた。最後に、「沖縄の皆さん、ありがとう」と結んだ。
そのあと国会議員が続いた。新垣邦男さん(衆院沖縄2区)は、「あってはならない事件が繰り返された。いったい県民の人権・尊厳をどう考えているのか。軍事要塞化が進みミサイル基地が造られる沖縄は戦争が近づいている。もう我慢できない。声をあげ共に闘っていこう」と述べた。高良鉄美さん(参院)は、「繰り返される少女暴行事件。世界一危険なオスプレイ。憲法の平和主義・国民主権・基本的人権の尊重の立場から、人間の尊厳を守っていく。頑張りましょう」と訴えた。
6月県議選で初当選した儀保唯さん(国頭群区)は県議会与党を代表してマイクを取り、「私は今39才。20年前のヘリ墜落の時は新潟の大学生だったが、報道のされなさにギャップを感じた。1995年の少女暴行事件の時は10才。当時のことを記憶している。米軍基地がある限り米軍犯罪が起こる。私は少女の代弁者になることを決意した。若い世代が運動を受け継いでいく」と述べ、大きな拍手を受けた。
ひときわ大きな拍手を受けて登壇した玉城デニー知事は、「自分のこととしてどうしたら解決できるのか考えてほしい。県民が声をあげる。真正面から向かっていく。代執行による大浦湾の埋め立てが誤っていることをしっかりと訴えていく。決してあきらめないということをこの場で確認しよう」と檄を飛ばした。
最後に、集会アピール文(別掲)を採択し、「普天間飛行場閉鎖・返還」「許すな米兵の性暴力」などのプラカードを掲げてスローガンを三唱した。
![](https://www.jrcl.jp/wp-content/uploads/2024/08/28261-2.jpg)
大浦湾埋立反対を訴える玉城デニー知事
![](https://www.jrcl.jp/wp-content/uploads/2024/08/28261-3.jpg)
「日米地位協定改定を」とアピールする
C・J・フィッシャーさん
8.11「沖縄・九州・西日本から全国に広がる戦争準備」報告意見交換会
日米があおる台湾有事NO!を掲げて、8月11日午後、沖縄市民会館中ホールで、各地の闘いをつないだ報告会(主催=ノーモア沖縄戦命どぅ宝の会)が開催され、約150人が集まった。進行役は与那覇恵子さん。
はじめに、高井弘之さん(ノーモア沖縄戦えひめの会)が基調報告を行なった。ノーモア沖縄戦えひめの会はこの春、中国脅威論を克服し東アジアでの戦争を止めるため「本当に『中国は攻撃してくる』のだろうか?」と題したリーフレット(1部10円)を作成し100万部配布に取り組んでいる団体である。高井さんは「日米の中国弱体化政策、そして全国に拡大する対中戦争態勢」と題して講演し、「国家の戦争を私たちの力で止めていく」と強調した。
沖縄の島嶼戦を想定した実動訓練「リゾリュート・ドラゴン24」が7月28日から8月7日まで実施され、「遠征前方基地作戦(EABО)」のためのミサイル部隊や電子戦部隊などを統合した米海兵隊が約3200人、自衛隊は西部方面隊など約5700人が参加した。今年3月に発足したうるま市の陸自勝連分屯地の第7地対艦ミサイル連隊も参加し、勝連だけでなく、石垣、宮古で訓練を行なった。与那国でも対空レーダーを持ち込んだ米軍と自衛隊とが共同で訓練した。岸田内閣の下で国民生活の相対的窮乏が進行するなか、軍事にだけは際限なく国家予算が投入され、沖縄・九州・西日本の軍事強化、部隊増強・弾薬庫建設・訓練場拡大などが急ピッチで進められている。
基調報告のあと、自衛隊増強や日米共同軍事訓練に反対する運動に取り組む各地からの報告が行われた。石垣島の平和と自然を守る市民連絡会事務局長の藤井幸子さん、大分敷戸ミサイル弾薬庫問題を考える市民の会の池田年宏さん、ピースリンク広島・呉・岩国世話人の新田秀樹さん、ミサイル配備から命を守るうるま市民の会共同代表の照屋寛之さん、さらに電話でつないで、京都・祝園ミサイル弾薬庫問題を考える市民ネットワーク運営委員の坪井久行さんがそれぞれ発言した。そのあと、発言者が壇上に上がりシンポジウムに移り、議論を交わした。沖縄を軸に全国の反基地闘争の連携がさらに進んだ集まりだった。
「欠陥機オスプレイの飛行停止と普天間飛行場の閉鎖・返還」を求め「米兵の少女暴行と政府による事件隠ぺい」を糾弾する8・10沖縄県民大集会アピール
昨年11月の屋久島沖での米空軍オスプレイの墜落事故を巡り、今年6月の米国議会で米軍高官が「前例のない壊滅的な機械の故障が発生し、リスクは今も消えていない」と証言した。オスプレイは墜落事故が多発し、米兵の命を奪い、飛行停止を繰り返している。墜落事故に関するデータの全容は、今も公表されておらず、安全上のリスクを抱えたまま飛行している事に、米議員らは国防総省を強く批判した。
屋久島沖での事故後、オスプレイは飛行を停止した。しかし、今年3月、日米両政府は自治体や県民に納得いく説明を行わず住宅地上空を含むエリアでの訓練を再開した。6月の米軍高官の証言後も、オスプレイはリスクを抱えたまま飛び続けている。県民の不安をよそに、説明責任を果たさず欠陥機オスプレイを飛ばす政治姿勢は民主主義に反する。
沖縄では、2012年9月、宜野湾市の海浜公園で「(事故を繰り返す)オスプレイ配備に反対する沖縄県民大会」が開かれ、10万余の県民が集まり抗議の声を上げた。しかし、政府は民意を無視し翌10月、市街地にある米軍普天間飛行場にオスプレイ配備を容認した。現在、オスプレイ24機を含めた軍用機が住宅地上空を飛び続けている。
2004年、沖縄国際大学に米軍普天間飛行場所属のCH─53D大型ヘリが墜落した。県民が閉鎖・撤去を求め続けてきた同飛行場は、事故の後も20年間居座り、昼夜を問わず軍用機からの爆音や排気ガスをまき散らしている。2017年、普天間飛行場近くの保育園や小学校にヘリの部品落下事故が起きた。県民は、基地と隣り合った日常で、子どもたちの安全すら守れない現状を、一日も早く改善したいと声を上げ続けている。2020年には、発がん性物質PFASの流出による生活用水や地下水の汚染が明らかとなった。農業や飲食業等にも深刻な被害が及んでいる。
昨年の12月、在沖米軍兵が15歳以下の少女を誘拐し性的暴行をしていたことが、今年6月にわかつた。捜査機関と外務省は情報を共有していたが、プライバシーヘの配慮や捜査ヘの影響を口実に県には伝えていなかつた。この間、県民への注意喚起や在沖米軍兵への綱紀粛正や再発防止はなく、今年5月にも同様の事件が繰り返された。
日米の基地政策がもたらす不都合な真実の隠ペイは、沖縄への基地集中を続ける事に繋がり、沖縄への犠牲を固定化させる事にもなり許されない。戦後79年間、日米の安保政策が、国民的議論もないまま沖縄に基地を集中させてきたのは、紛れもない事実である。
今も続く基地集中による沖縄への負担過重の事実を政府は率直に認め、全国民の問題として国会で論議し、国民の意思として在沖米軍基地の整理縮小を進めるべきである。
今集会において私たちは、「事故原因が構造上の欠陥」であると明らかになつたオスプレイを飛ばし続ける米軍と、県民の生命をないがしろにする日本政府に強く抗議し、即刻の飛行停止と普天間飛行場の閉鎖・返還を求める。さらに、基地の集中がもたらす事件・事故の頻発を国民に隠さず即座に伝える事及び日米地位協定の抜本的見直しと基地の整理縮小を強く求める。
2024年8月10日
第3次普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団
第4次嘉手納基地爆音差止訴訟原告団
辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議
週刊かけはし
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009 新時代社