9条が世界に輝くとき(6)
たじま よしお
ところで中国社会で、反日感情がSNSなどでどのように拡散されているかをネット上で検索していたところ「反日教育の影響と反日ヘイト動画の存在」なる文章が見つかりましたので次に紹介します。
「中国の交流サイト(SNS)上では、『日本人学校は治外法権の中で対中工作のスパイが養成されている』などという悪意や偏見に満ちたデマを主題とした、何百本という膨大な数の動画であふれており、これらを信じて行動を起こす中国人の存在が指摘されていた。中国のネット上には『日本人学校はスパイ養成所』などのデマ動画を信じて、『日本人学校廃止』を主張したり『日本鬼子の学校』などと日本人を蔑視したり攻撃する投稿がなされている。中国SNSの微信(ウィーチャット)の人気アカウントの分析では、『日本人学校の撤去』を宣伝する動画には大きく4種類に分けられるといい、『1.中国国内の日本人学校の外観を示すもの。2.中国は全国で日本人学校の撤去を決定したと紹介するフェイクニュース。3.日本人学校がスパイを育成しているというデマ拡散動画。4.排他的民族主義による憎悪を宣伝し、日本人学校の撤去を呼びかける感情的な糾弾』のタイプが存在するとされている。
同アカウントによると快手に事件当時『日本人学校の撤去』に関する278本の仇日(日本を恨む)動画が無規制のままネット上で公開されており、『いいね』は累計230万件超、最も『いいね』が多い仇日動画は32万7000件超、上位5本の動画は『いいね』が10万件超、『いいね』1万件超の動画は39本という人気ぶりであるという。
さらに、日本人に危害を加えることに賛同の意思を示す書き込みも多く見られる状態であるという。日本人学校をターゲットとしたデマ動画の拡散の影響もあり、2020年前後から、中国人により、日本人学校や児童らに投石を行ったり盗撮するなどの嫌がらせが頻発していた。垂秀夫が駐中華人民共和国日本大使として幾度となく、中国共産党へ日本人学校に関するデマや中傷動画の削除を要望したが、中国側は一度も削除に応じることなく無視したままであった」。 (この文章にはこのまま受け入れ難いものがありますが、今の中国の世情の一断面の詳しい説明にはなっていますので、あえてそのまま掲載しました)
中国の白紙運動から、習近平体制への抗議行動のその後
習近平政権の「ゼロコロナ」政策に抗議する2022年の「白紙運動」のその後についての報告が、11月27日の東京新聞に「『白紙運動』2年」という見出しで載っていましたので紹介します。
「厳しい行動制限を強いた中国のゼロコロナ政策に反発し、市民が街頭で白い紙を掲げて抗議した『白紙運動』から今月下旬で2年を迎える。運動は新疆ウイグル自治区ウルムチで起きた死亡火災を巡り、コロナ規制で救助が遅れたとの批判が中国各地に拡大した。政府は批判が反体制運動につながることを警戒。人が集まることすら制限するなど、国内外の監視と統制を強めている」。
「黄意誠さん(28)は22年11月27日に上海のウルムチ中路の抗議行動に参加した。前日に参加者が『PCR検査はいらない 習近平(国家主席)は下野せよ』と叫ぶのをツイッター(現X)で見て『命知らずだ』と衝撃を受けた一方『ゼロコロナ政策を終わらせたい』と自らも白紙とろうそく、生花を持って参加を決めた。当日は500人ほどのデモ参加者がいたが、次第に警察による弾圧が強まり、黄さんも引きずられてバスに連れ込まれた。隙をみてバスから飛び出して逮捕を免れた黄さんは雲南省に身を隠し・23年3月に深圳から香港、シンガポールを経てドイツに渡った」
「中国の国家安全部門は中国に残る黄さんの親に連絡を取り今も圧力をかけ続ける。『習氏に対する批判は許されない』とし、黄さんの行為は国家政権転覆罪に当たると伝えているという。黄さんは『帰ったら必ず捕まる。ドイツに留まって仕事を探すことになるだろう』と話した」。
以上「蘇州、深圳と続いて発生した事件」と「白紙運動」について述べてきましたが、中国政府は前者には比較的寛容で、後者には情け容赦なく襲いかかり弾圧するという構図が見えてきたと思います。
ただ、この蘇州、深圳と続いて発生した事件も、日本政府が戦後補償・賠償をきめ細かく行っていれば起きなかったであろうことを肝に銘じなくてはなりません。
ここで第二次世界大戦で日本が中国大陸で行った蛮行についての賠償・補償に関してですが、1972年9月田中角栄首相(当時)が中国を訪問し、中国政府との間で交わされた「日中共同声明」で「日中国交回復」はなされたことになっています。その時、中国政府は日本政府に戦後補償を求めないと明言したのです。このニュースは当時大変な反響を呼びました。中国への戦後賠償・補償の額は日本人が1日3食を2食にしても百年はかかると言われていました。「流石中国人は心が広い??」という感嘆の声が巷に満ち溢れていました。
私の記憶に一番鮮明なのは「中国鍼=鍼灸術」です。40歳から50歳にかけてはなにかと体調不良が表面化する頃ですが、私は連れ合いと一緒に中国鍼を習い、ことごとくの症状を鍼で治しました。今考えてみてもはたして鍼が効いたのか、昔の人は病は気からと言いましたが、もしかして「毛沢東教」なる宗教のなせる術であったのではと思うのです。連れ合いは保育園の保母さんでしたが、生まれた子供に「タクトー」という名前をつけた人がいたとか。
ずっとのちのことになりますが三里塚の「東峰十字路での衝突」に関する文献で、デモ隊の中の最大勢力が「中国派」と記されているのをみました。それほど中国礼讃には熱いものがあったのです。しかし戦後賠償・補償はそっちのけで、地に足をつけずに浮かれ切っている日本の民衆は中国の人々の目にはどのように映ったでしょうか。
(つづく)
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