第四インターナショナル第18回世界大会決議 社会運動におけるわれわれの方向性と任務(3)
3.左翼の誤り
残念ながら、社会運動に対するわれわれのアプローチは、急進左派にとって普遍的なものではない。スターリニスト組織や毛沢東主義組織には、統一的な社会運動を構築するのではなく、フロント組織を立ち上げるという長い伝統がある。こうしたフロント組織の主要な目的は、闘争を前進させるのではなく、彼ら自身の政党の伝導ベルトとして行動することにあるのだ。そうしたアプローチが急進左派の他の組織によって同じように理論化されているわけではないが、(イギリスSWPを中心とする)IST[国際社会主義潮流、いわゆるトニー・クリフ派の流れをくむグループ]と(イギリス社会党を中心とする)CWI[労働者インターナショナルのための委員会、いわゆるミリタント派のグループ]はしばしば同じアプローチを用いる傾向がある。
これら後者の場合、他の傾向として、これらのプロジェクトへのカードルの投入は、動員される問題の客観的重要性に基づくのではなく、[自らの組織へ]勧誘する可能性があるかどうかという判断に基づいて、散発的に―そして一つずつ―おこなわれることが多い。
これは、正確に言えば同じ枠組みの中には入らない組織にもあてはまる。そして、その中で活動する同志もいる。
同じようなことが、問題を抱えるどの大陸でも、おそらくどの国でも起こっている。というのは、それは関連する運動の潜在的な団結を過小評価しているからであり、それらの社会運動の内部で急進左派全体に悪評を与えるものでもあるからである。
同時に、われわれは逆の危険性にも警戒しなければならない。つまり、社会運動の自主性と民主主義を支持することによって、結果としてわれわれの政治活動全体を推進し、活動家をわれわれの旗のもとに引き入れることができないという危険性である。
4.運動における一般的危険
a) 官僚化/民主主義の欠如
どのような社会運動においても、基底部で活動している人々が組織の方向性に実質的な影響を与えない限り、官僚化する危険が現実にある。これは、有給スタッフがいない、あるいは有給スタッフの物質的条件が無給ボランティアとほとんど変わらない社会運動にもあてはまる。新しい組織が立ち上がるときは、緊急の共通の目的があるため、多くの人がこうした問題に注意を払わないのが普通である。しかし、一度過ちを犯すとその後に変えるのは難しく、長期的に組織を維持する能力が過小評価される可能性が高い。組織が大きくなると、組織が複雑になるので危険性がもっと増すことになる。そして、こうした危険を回避する方法を議論することを敵視するようになる組織が出てくる。その理由は、政治家やより大規模なNGOへのロビー活動や影響力行使に重点を置くようになるからだ。
b) 政治的恩顧主義(クライエンテリズム)と自助主義
1991年の世界大会でのラテンアメリカに関する文書、『大衆運動の力学とフェミニズムの潮流』は、政治的恩顧主義(すなわち、政党が運動の要求(の一部)を支持することで、そのことが政党への支持によって報われるという期待)と自助主義(すなわち、運動が社会全体によって無償で提供されるべきサービスを提供する)という両方の危険性を提起した。
「社会的・政治的問題に関連して国家に要求を突きつけることは、責任をあるべきところ、つまり社会全体とその制度に押しつけるという大きな利点があり、大衆行動に政治的性格を与えやすい。闘争と動員の成功は、大衆の全体的な意識と、大衆自身の強さと自信の両方を向上させる。しかし、国家への依存には危険があることを実践が教えてくれている。恩顧主義的な力学が働く可能性がある一方で、ある要求を部分的に勝ちとることで、女性がサービスを提供する行政業務に吸収されてしまう可能性がある。」
その文書の主張によれば、このような危険性は、運動の中で最も徹底した民主主義のために闘うことによって最もうまく防御することができるとしているが、特にグローバル・サウスの国々では、すべての社会運動が陥りやすい困難であるように思われる。
同時に、われわれは、人々の差し迫ったニーズを満たすことが、組織された運動がより多くの勢力を活動に引き込むために不可欠な場合もあることを意識している。たとえば、パキスタンの同志たちが釈放された政治犯に食料を提供する行動がある。これは他に食料を得る手段がなく、家族にとって唯一の稼ぎ手であるのに獄中にいるという場合である。別の機会には、こうした予兆的形態が継続的かつより広範にサービスを提供するよう国家に圧力をかけることに成功する場合もある。たとえば、1970年代のイギリスでは、女性解放グループがコミュニティ保育所のキャンペーンをおこない、場合によっては適切な空きビルを占拠して自分たちで保育所を設置した結果、多くの地方議会がこのようなサービスを導入した。
c) 断片化
われわれは交差性と相互支援―「運動の運動」と呼ばれることもある―を支持しているが、このことは運動が全ての問題にかかわる要求を受け入れることを意味しない。たとえば、ヴィア・カンペシーナの中に女性や若者のセクションがあり、土地と食糧主権をめぐるキャンペーンの枠組みの中で、そうした人々に特有のニーズを取り上げる特定のイベントがあることは素晴らしいことだ。その一方で、ドイツの直接行動型環境運動であるエンデ・ゲレンデ内部では、それがあらゆる政治問題に対して立場をとる必要があると指摘する人もいるが、それは運動を断片化し、鈍化させる危険性がある。
d) 左翼主義
われわれはまた、社会運動内部の左翼主義論理と闘うことにも注意しなければならない。それには次のような特徴がある。つまり、(政治路線と闘争方法における)急進的目的のために急進性を絶え間なく追求する、妥協や、急進的ではないと見なされるような社会運動の他の進歩的少数派とのいかなる同盟をも拒否する、大衆の階級意識から断絶して、大衆の階級意識を信頼しない、などである。革命運動の衰退が顕著な時代には、この種の論理がより重要性を帯びる傾向があり、大衆運動の相対的な弱さを抽象的な急進主義で相殺しようとするのである。
5.反グローバリゼーション運動の台頭と衰退
国際的(そして地域的)レベルでの社会運動の協調の頂点は、世界社会フォーラム(WSF)と地域フォーラムの発展を通じてもたらされた。WSFは2001年にブラジルのポルト・アレグレで初めて開催され、2016年まで毎年開催された。2005年頃、世界女性行進とヴィア・カンペシーナの両団体がWSF世界評議会から脱退したことは、WSFの意義の低下を反映したものであり、またその一因でもあった。
フォーラムへの参加数の推移は一定ではなかったものの、ある程度までは、参加した主要な社会運動の移り変わりを反映していたが、それだけではなくもっと一般的な政治的発展をも反映していた。その背景には、まず1995年から2005年にかけての闘争サイクル、そしてその後のサイクルがあった。注目すべきは、「怒れる者たち」[スペインで2011年5月に起きた若者による広場占拠運動]やオキュパイ運動[2011年9月に始まったウォール街占拠運動]の発展へとつながった闘争のサイクルも、「アラブの春」の興隆も、WSFを主要な参照点とするものではなく、国際的な協調をともなう恒常的な社会運動につながるものでもなかったことである。
初期のフォーラムの政治的背景はラテンアメリカにおける主要な発展―1994年のチアパス州でのサパティスタ蜂起を契機とするエンクエントロスの[森の中で国際会議を開く]活動の一部だけでなく、2003年のルラ初当選につながるPT[ブラジル労働党]の成長をも集中させて作り上げた―を含んでいた。シアトルでのWTOに反対する大規模なデモ(相当数の労働組合員の参加が重要な要素となっていた)とともに、特に北米とヨーロッパでの世界銀行、IMF、G8(2000年4月ワシントン、9月プラハ、2001年7月ジェノバ)に反対する動員も重要な要因であった。
初期のフォーラムにとって3つ目の重要な推進力は、イラク侵攻に抗議する2002年秋以降の非常に重要な国際的反戦運動の発展だった。それは2003年3月のイラク侵攻に先立つもので、その後も続いた。ベルリンの壁崩壊後の政治的展開が、資本主義のオルタナティブについての議論をどの程度切り開いたかは探求する価値がある。当初からWSFに関与していた主要な組織には、これらの団体だけではなかった。そのほかの主要組織にはCADTM(ベルギーで1990年設立)、ヴィア・カンペシーナ(ベルギーで1993年設立)、ATTAC(フランスで1998年設立)、世界女性行進(2000年ケベックで設立)が含まれていた。
労働組合や労働組合活動家がそのプロジェクトを支援した。その中には、ブラジルのCUT[中央統一労組]、韓国の民主労総、南アフリカのWOSA、フランスのCGT[労働総同盟]やFSU[統一労働組合連合]、IGメタルやver.di[統一サービス労組]といったDGB[ドイツ労働総同盟]の諸組合、ベルギーのFGTB[ベルギー労働総同盟]やCSC[キリスト教労働組合連盟]、イギリスのUNITE[ユナイト労組]やRMT[鉄道海運労組]、イタリアのFIOM[金属労働者連合]、『レイバー・ノーツ』周辺のアメリカのAFL・CIOの組合、現在の革命的サンジカリスト労組・スペインのCGT[労働総連合]、イタリアのCOBAS[職場委員会連合]、STI、USB[統一職場組合]、ブラジルのCONLUTAS[労働者人民連合]、アルゼンチンのCTA[アルゼンチン労働者連合]、フランスのSUDソリダール(現在は「国際労働連帯・闘争ネットワーク」の一部となっている)が含まれていた。
(つづく)

