6.11袴田巌さん名誉棄損国賠訴訟第2回口頭弁論
検事総長談話は無罪判決を不服とし、自らの責任を放棄したものだ
【静岡】6月11日、再審裁判で無罪が確定した袴田巌さんが畝本検事総長談話で犯人視され、名誉を棄損されたとして国に損害賠償を求めた訴訟の第2回口頭弁論が静岡地裁で開かれおよそ20人の方が傍聴した。
原告である袴田弁護団は6月3日付で準備書面⑵ 畝本検事総長による控訴断念に際して公表した談話を一般の人がどう認識したかについて 準備書面⑶ 憲法39条・99条から導かれる無罪判決尊重義務についてを提出した。口頭弁論では書証の確認と取り扱いについて、次回公判についてのやり取りがあり、袴田弁護団は準備書面⑶に係る刑事法学者の意見書を7月末を目途に提出することも明らかにした。次回公判は8月6日(木)11:00を決めた。
閉廷後、報告会で準備書面⑵⑶について説明があった。 (s)
確定無罪判決を尊重する義務にも違反
準備書面⑵は国が答弁書で述べた①検事総長談話は袴田さんが犯人であるなどと一言も言っていない ②談話は検察官が無罪判決に対し控訴しなかった理由を説明したに過ぎない。犯人だと言っていると理解するのはおかしい、重要な目的のために必要だったから名誉棄損に当たらないとの主張に対する反論だ。テレビ報道や動画ニュースについた検事総長談話への批判コメントなどを「一般読者の普通の注意と読み方とを基準にすると、談話は袴田さんが犯人だとの事実を示している」とした。
準備書面⑶は憲法や再審制度の理念などに基づき、総長談話は国が負う確定無罪判決を尊重する義務にも真っ向から違反していると訴えたもの。
憲法39条は「何人も、実行の時に適法であった行為又はすでに無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。また、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問われない。」としている。
2024年9月26日に袴田さんに無罪判決が下され、10月8日、検察が控訴を断念したことで検事総長談話が公表され、翌10月9日、検察が上訴権を放棄したことで無罪が確定した。
談話は無罪判決が捜査機関の捏造を認定したことに不満を表明し、判決理由は多くの問題点を含むとして「到底承服できないものであり控訴して上級審の判断を仰ぐべき内容である」と言った。
無罪確定までなぜ長い年月を要したか明らかにすべき
静岡地検庁舎内での1年2カ月に亘る味噌漬け実験でも、更には再審第10回、第12回でも検察側証人の池田九州大名誉教授は「黒色化する」、「発見の直前に(タンクに)入れられた」と証言したことをご記憶のことと思う。
検事総長談話はただただ無罪判決を貶めるために行われた。断念した時点で憲法39条が規定する一事不再理の原則である「すでに無罪の裁判のあった行為については刑事上の責任を問われないと解すべき」であり、控訴断念を決めた時点であれこれと言うべきではないし、国は、「袴田事件の経過及び結果を重く受け止め、袴田氏に対して真摯に謝罪したうえで、本件冤罪の発生や再審無罪判決確定までに長い年月を要した原因を検証し、これを是正する措置を講じなければならない」はずだ。
検事総長談話は「再審手続きがこのように長期間に及んだことなどにつき、所要の検証を行いたい」とするが再審制度を規定する刑事訴訟法の改正に係る法制審議会答申をみれば所要の検証がどんなものだったか、その後の改正案の取りまとめを見ても、証拠の全面開示を回避しようとする姿勢からも明らかだ。憲法99条は公務員の憲法尊重と擁護義務を規定している。憲法39条の無罪判決尊重義務を守れということだ。

袴田巌さん 名誉棄損国賠訴訟を闘う
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