「紀元節」と「天皇誕生日奉祝」に反対する2・11&2・22連続行動

天皇制を廃止しよう!

建国神話も天皇教もデタラメだ

 【東京】2月22日、「紀元節」と「天皇誕生日奉祝」に反対する2・11&2・22連続行動は、文京区民センターで「天皇誕生日奉祝」反対集会を行った。

統合のための記者会見許さない

 徳仁天皇は、誕生日にあたって記者会見(2・23)を行った。
 徳仁は「能登地震」について触れながら天皇制の浸透活動の一環として「被災地にお見舞いに伺う」と述べ、上皇明仁が行ってきた被災地訪問を踏襲し、震災被災地を舞台にパフォーマンスを繰り広げようとねらっている。能登震災と関連づけながら「地球温暖化」問題を取り上げるが、岸田政権が押し進める脱炭素逆行政策、原発再稼働、原発の新増設について黙認する。だから志賀原発2号機の変圧器から大量に漏れた油、送電線損傷、モニタリングポスト測定不能など北陸電力の悪質なウソにも触れず、あえて天皇制による免罪・統合役割を担ったのだ。
 このような手法は、これだけではない。「世界各地で現在も戦争や紛争などが発生」に対して「深く心が痛」むポーズをとりながら「お互いを尊重し、お互いを思いやりながら協力していくことの大切さを改めて感じています」と述べ、岸田政権による米軍と自衛隊が一体となったグローバル安保体制の強化、戦争国家化を追認していく姿勢まで示した。
 この政治的本質は、徳仁が6月のインドネシア訪問を自慢し、あえて上皇らの「ゆかりの場所」にも行ったことも言い出す始末だ。従来通りアジア・太平洋民衆に対する謝罪もなく、天皇制の植民地支配の犯罪、戦争・戦後責任への居直りを繰り返した。
 象徴天皇制延命のためにわざわざ宮内庁と報道の事前打合せどおり、記者に「海外王室のようにSNSでの積極的な情報発信は行われていません。皇室へのバッシングと受け取れる一部の報道やインターネット上の書き込みが続いていますが、情報発信のあり方や誤った情報への対策についても併せてお聞かせください」と質問させた。この延長には、皇位継承問題(男系男子、女性女系天皇)があり、天皇制の危機を想定して徳仁は、「現在、男性皇族の数が減り、高齢化が進んでいること、女性皇族は結婚により皇籍を離脱すること、といった事情により、公的活動を担うことができる皇族は以前に比べ、減少してきております」と天皇制の不安定さをアピールしつつも、「そのことは皇室の将来とも関係する問題ですが、制度に関わる事柄については、私から言及することは控えたい」と述べるにとどまった。これが皇室一家と宮内庁内では皇位継承問題など諸課題について会議を持っていることの現れだ。生き延びるためのあがきを許さず、「民主主義に天皇はいらない」の声を拡大していこう。

スクラム強化
し天皇制廃絶

 集会は、実行委のあいつ後、斎藤小百合さん(恵泉女学園教員・憲法学)が「徳仁天皇制の現在」というテーマで講演した(別掲)。
 最後に森 美音子 さん(テント芝居集団・野戦之月)による「提戯」が演じられた。人形(ヒトガタ)ワークショップを通して「大変な時代に生きていることを日々感じつつも、考えることを放棄してはならないと、悲観的、虚無的になってはいけない。一緒に歩きながら考えた」ことをアピールした。    (Y)

斎藤小百合さん(恵泉女学園教員・憲法学)の講演

「徳仁天皇制の現在」


 園部逸夫元最高裁判事(「皇室典範に関する有識者会議」座長代理/2005年)は、「皇位の安定的継承が危機にさらされ続けている。皇室制度の安定的継承のためには、直系を維持することが重要。女性天皇、女系天皇を認めなければいけない」(23・10・30)と発言した。さらに毎日新聞(23・12・29)では、「『象徴』必要と思うなら 無関心ではいけない」というタイトルで「このままでは皇室の縮小が続きます。それでもいい、そもそも天皇制はいらないという意見も含め、いろいろ出し合ったらよい。皇室のこれからについて議論が進まないのは社会全体の問題です」と発言している。皇位継承問題について関心を喚起するための発言だと思うが、これだけ危機が深いということの現れだ。
 日本国憲法がそうであるような近代立憲主義の憲法は、普遍的な人権を享有する平等な個人の集合としての国民を前提とする。「世襲の天皇制」は、普遍的な人権は保障されず、身分に即した特権と義務があるのみだ。天皇の地位の正統性の根拠は「国民の総意」ならば天皇制を自体を廃棄することもできる。すなちわ日本国憲法第1条の改正しかない。
 自民党の「改憲」草案(2012年)は、「天皇をいただく国家」としての固定化を前文で述べ、第1条で「天皇は、日本国の元首であり、日本国および日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」と明記している。これは天皇の元首化、神秘化、絶対化だ。いったい主権者は誰なのか。民主主義に反する設定でしかない。
 すでに徳仁は、「即位後朝見の儀」(2019年5月1日)で「歴代の天皇のなさりようを心にとどめ」「象徴としての責務を果たすこと」と述べ、天皇制の万世一系を引継いでいくことを明らかにしている。すなわち文化現象としての天皇制の強化は、社会にまん延する権威主義、権威への依存も強めていくことである。この流れが憲法の領域に浸食しつつあり、「異論」のある人をあぶりだす効果もある。
 日本社会のアンシャン・レジーム(旧制度、旧体制)を極小化していくために憲法の構想であった土台を取り払った天皇制に戻していくことだ。「天皇の地位」が「主権の存する日本国民の総意」に基づくものであり、必要ないものと考えれば「この地位」は基礎付けを失う。土台がなくなってしまえば、憲法上の制度としては持ちこたえられないということになる。国民が「日本国の象徴」として必要としているかどうかにかかっている。平等原理に真っ向から反する存在である天皇を象徴とすることを清算してしまうべきなのだ。
 そのプロセスは、国民が主権者として植民地責任・戦争責任・戦後責任を正面から取り組むことだ。「主権者であること」を真剣に考えることであり、主権者であるわたしたちが問われている。
    (要旨・文責編集)
 

天皇制の廃棄に向けて訴える斎藤小百合さん(2.22)

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