ウクライナ決議について

 第4インターナショナル第18回世界大会では、ウクライナ問題が議論の焦点のひとつだった。大会には多数派によるものとスペイン支部を中心とした代議員によるものの2つの決議案が提出され、活発な議論が交わされた。

 この議論について、第4インターナショナルのサイトは「とりわけ議論された点は、国際主義的・革命的マルクス主義者として、ロシアのウクライナ侵攻への反対と、この侵攻に対するウクライナ人民の抵抗、ゼレンスキー政権の新自由主義的政策や新自由主義的軍事化への抵抗に対する連帯をどのように表明するかということであった」と述べている。

戦争の性格をめぐって

 両方の決議案はともに、戦争の責任が第一義的にはロシアによる侵攻にあること、持続的な和平のためには「併合なき和平とロシア軍の撤退」が必要であること、ウクライナ人民支援のために「債務の帳消し」や「ウクライナの労働組合や社会運動、左翼との具体的連帯」にとりくまなければならないことでは一致していた。しかし、ウクライナにおける戦争の性格の変化、ウクライナへの軍事支援の是非、和平交渉をめぐる問題などについて、明らかに認識が異なっている。対案は「ウクライナにおける戦争は、西側帝国主義の軍事支援やロシアの弱体化を狙う戦略の中で、帝国主義間の代理戦争という性格が強まっている」という認識のもとで、「アメリカやNATOによるこれ以上の軍事支援に反対」する立場を明確にしている。そして、「核戦争以外には戦場における解決がありえない」中で、ウクライナ人民の間でも停戦と和平を望む声が強まっているとして、これ以上の災厄をウクライナ・ロシア双方の人民にもたらさないために何をしなければならないか、に力点を置いている。討論の中で、対案支持者は「われわれのスローガンは『プーチンNO! NATOは出て行け!』である」と述べた。

日本支部代議員の立場

 その一方で、採択された決議案は、西側帝国主義がロシアを弱体化させるために戦争を利用し、同時にウクライナが援助を必要としていることを利用してウクライナに対して帝国主義による支配を押し付けていることを認めつつ、「ウクライナ人民には必要であれば自らを防衛するためにあらゆる手段を受け取る資格があるときに、そのような手段を拒否したり、われわれがその供給を妨害したりする理由にはならない」と武器援助を認めている。 その上で、「ウクライナ人民への支援が、新自由主義的措置の実施と深化を条件とするのではなく、無条件に与えられるよう動員し要求するのは左派の責任である」としている。また、和平交渉についても、討論の中で、ウクライナの同志は「ウクライナ人民は平和を望んでいる。しかし、それはウクライナ人民を無視した帝国主義間の資源分割交渉であってはならない」「われわれのスローガンは『ロシアは出て行け、併合なき和平、民主的交渉を』である」と述べていた。多数派決議ではまた、「ウクライナ人民の意思に反して押し付けられるいかなる『平和』も、将来のさらなる占領と暴力の前兆にしかならないと考える。いまや左翼が大衆的参加と民主的統制に基礎をおく安全保障についての信頼できる戦略を構築すべきときである」として、停戦後の安全保障のあり方にも言及している。
 なお、日本支部の代議員は、多数派決議に「賛成」、対案に「保留」という立場で投票に参加した。
 今号では、世界大会で採択された多数派決議を紹介し、次号以降で対案を紹介していく。