6・7 原発のない明日を!全国集会inおおさか

浜岡原発基準地振動データねつ造事件と反原発運動の未来

 【大阪】原発のない明日を!全国集会inおおさかが6月7日、雨天のなか大阪市靱公園で開かれ、1100人の市民が参加した。老朽原発動かすな!実行委員会が主催した。
 集会は木戸恵子さん(若狭の原発を考える会)の司会で進行した。浜岡原発の基準地震動データーのねつ造問題、使用済核燃料の乾式貯蔵が集会の焦点だった。
 主催者あいさつをした中嶌哲演さんは、「断水・停電・津波・地震で一旦死の灰を放出すると国の存亡に関わる事態になる、原発施設は原発マネーと引き換えに若狭や青森など過疎・辺境の地域ばかりに押しつけられ、電力消費地の市民の無関心を招いてきた」と指摘しながら、現在焦点の乾式貯蔵施設を選択するかどうかは、原発延命か原発ゼロかを左右する喫緊の課題だと述べた。そして、「私たちは水地火風の自然エネルギーのみで成り立つ社会、原発のない明日を」目指して結集していると述べた。

浜岡データねつ造事件=脱原発の突破口に


 続いて、原発関連の裁判に関わってきた井戸謙一さん(弁護士)が、浜岡原発基準地震動データねつ造事件と反原発運動の未来について報告した。以下要旨。

 「今、原発反対運動には逆風が吹いている。政府は原発最大限利用の方向に舵を切り、2040年代までに最大5基の原発建て替えまで言う始末。裁判の方は連戦連敗だ。世論調査では原発再稼働賛成が反対を上まわっている。そのテコとなっているイデオロギーが3つある。1つが原発必要神話。エネルギー庁の見込みでも、エネルギー需要は5%増える程度だから、再生可能エネルギーに資金を投入すれば十分まかなえる。2つ目は、新原発安全神話。新規制基準は世界一厳しいから、適合原発は安全だという。しかし、日本より厳しい基準は外国にいくらでもある。3つ目が被曝安全神話。原発が事故を起こしても放射能を怖がる必要はない。福島であれだけの事故が起きたのに、住民の健康被害はゼロだ(ゼロであるはずがない)。もしゼロなら、20ミリシーベルトで学校を再開したのも、ヨウ素剤を飲ませなかったのも、避難指示の線引きも正しかった。避難する必要がないのに避難したのだから自己責任だ、政府に責任はないということになる。福島の子ども400人の甲状腺ガンが発見されても、原因は原発事故による被曝ではない、政府の対策はすべて正しかったことになる。
 このように市民意識を都合のいい方向に誘導しても、政府や原子力ムラの思うようには進まない。それが浜岡原発の不正問題だ。基準地震動は、特定の活断層が動いたとき、原発敷地がどれだけ振れるかを計算して求める。過去の地震波を集め平均を出す。中部電力の場合、20地震波の平均を求めたというが、実際には都合のいい地震波を先に決めて、それが平均になるように残りの19の地震波をえらんだ。あるいは、20の組み合わせをたくさんつくり、その中から、平均値が最も都合のいい組み合わせを選んで規制委員会に提出する、という不正をしていた。この不正は2000年頃からくり返されていたようだ。

原子力規制委員会の深刻な問題

 中部電力は厳しく批判されるべきだが、それよりもっと深刻なのは、規制委員会がなぜ不正を見抜けなかったかだ。規制委員会は、すでに基準地震動は妥当だという判断を下していた。この不正は内部告発により判明したが、告発がなければ発覚しなかったのだ。見抜けなかったのは、規制委員会の審査が、1次データまでチェックする仕組みになっていないからだ。規制委員会が求めるのは、電力会社が1次データを集めて評価した結果のみだ。だから、他の電力会社も同様の不正をしている可能性がある。しかし、規制委員会は他の電力会社をチェックする姿勢を見せていない。
 最近の差止訴訟での大きな流れとして、規制委員会への厚い信頼を示す決定が目立つ。原発が備える安全性は社会通念で決まると判決は言う。規制委員会のつくる新規制基準は社会通念を踏まえてつくられているという。判決では、新規制基準に適合した原発は、原則として備えるべき安全性を備えているというのだ。そうでないというなら、そのことを原告が立証すべきだとも。
 浜岡原発不正事件で明らかになったのは、安全確保の根底にある1次データの選択・評価を規制委員会がチェックしていないこと。1次データの選択・評価が適切であることを電力会社が証明しない限り、適合判断に高い価値を与えることはできない。今までの裁判所の原子力規制委員会への厚い信頼に強く反省を迫るものだ。浜岡原発不正事件は、これからの裁判の流れを変える可能性がある。 いま、原発裁判に逆風が吹いているが、原発に未来がないことは明らかだ。いずれ日本政府は、追い込まれて政策転換せざるを得なくなるだろう。原発をなくす力の基本は市民運動だ。訴訟で原発を止めることに成功した例はないが、訴訟は原発の抱える問題を明らかにし、市民運動の結節点の役割を担っている。
 スリーマイル島からチェルノヴィリまで6年、チェルノヴィリからフクシマまで25年、今はフクシマから15年、戦争で原発が攻撃される時代になった。粘り強く運動を続けよう!」

新たな活断層を認めない関西電力


 この後、山本雅彦さん(オール福井反原発連絡会)から、関電が取っている姿勢の問題点、具体的には、専門家が指摘した新たな活断層についての追加試験をせず、それを活断層と認めていないこと、2004年美浜3号機の配管破断事故で高温高圧の蒸気が噴出し5名が犠牲になったが、原因は建設以来1度も配管の点検がされていなかったこと。今年の5月タービンの部品で蒸気漏れがあったが、部品が老朽化していても1度も交換されていなかった等の報告。第3者による調査の必要性が強調された。
 武藤聡さん(老朽原発40年廃炉訴訟市民の会)からも、口答弁論の中で規制委員会が電力会社のデータを鵜呑みにしている実態が訴訟で明らかにされたとの報告。
 舘脇章宏さん(宮城・脱原発風の会、ボイスメッセージ)からは、女川原発には特重施設がなく、その完成がさらに3年猶予されていても原発の稼働が認められ、規制委員会は安全確保の責任を果たしていないとの報告があった。

乾式貯蔵を止め、原発を止める


 石地優さん(福井県若狭町住民・原子力発電に反対する福井県民会議)から、現在福井県の原発には使用済核燃料が4600トン(関電が若狭に3960トン、日本原電が敦賀に640トン)あり、貯蔵率は89・2%。再稼働はしたいが、使用済核燃料は県外へ搬出したいというのが福井県の矛盾した考えであること、関電はロードマップを出した(6ケ所村再処理工場へ搬出・中間貯蔵施設へ搬出・フランスへ搬送・乾式貯蔵施設をつくってここに搬出)が、他の3つは実現の目途が立たないから、本命は乾式貯蔵だ。この実態を県民に知らせたら結論は明らかだと報告。
 また、向原祥隆さん(ストップ川内原発!3・11鹿児島実行委員会、ボイスメッセージ)と中道雅史さん(青森 核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会、ボイスメッセージ)からも、同じく乾式貯蔵の問題に直面している川内原発の状況の報告があった。
黑田節子さん(原発いらね!福島女と仲間たち)から、命踏みつける「福島復興」の欺瞞についての熱い訴えがあった。
 この後、政党あいさつ(社民党、新社会党、共産党、立憲民主党、緑の党グリーンズジャパン、れいわ新選組)と、労働組合から3つの団体(平和フォーラム関西ブロック、全労連近畿ブロック、大阪ユニオンネット)の発言があり、最後に集会宣言を採択した。集会後、御堂筋をなんばまでのコースでデモ行進が行われた。(T・T)

中嶌哲演さん(原子力発電に反対する福井県民会議共同代表委員)の主催者あいさつ(6.7)

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