イスラエル ベン・グヴィルとスモトリッチこそがアラブ系市民の歴史的高投票率に貢献
ベーカー・ズウビー
このレポートは、Local Call(ヘブライ語)に掲載され、「国境なきヨーロッパ連帯」サイトに転載されたものである。なお、字数の関係で一部要約している。
アラブ系市民の
投票率が急上昇
イスラエルの極右勢力は、国政の火種をすべてのアラブ系市民の家庭に持ち込んだ。投票日、パレスチナ系市民たちは、恐怖と絶望が必ずしも「沈黙」を意味するわけではないことを証明してみせた。
今回の選挙では、パレスチナ系有権者の投票率は約80%に達した。これはここ数十年において最高の投票率であり、全国平均をも上回った。
2つのアラブ系政党、つまりジョイントリストと統一アラブリストは、クネセト(イスラエル議会、120議席)において、合計19議席を獲得すると予測されている。これは、2020年の15議席を更新する数字だ。あらゆる意味において、昨日はイスラエルにおけるパレスチナ政治にとって歴史的な一日となった。
それを証明するのには、アラブ人コミュニティの投票所の外に立ち、過去の選挙で同じ場所がどのように見えていたかを思い出してみるだけで十分だった。私は、昨日目にしたような光景を一度も見たことがなかった。
過去の選挙では、投票日の数週間前に人々に「投票する予定はあるか」と尋ねると、たいてい「投票したいと思える候補者がいない」「みんな私たちを失望させた」「投票したところで何が変わるというのか? どうせ国はやりたいようにやるだけだ」という決まり文句が返ってきた。
ところが今回、そうしたやり取りはほとんど見られなかった。「もちろん投票する」という言葉が、何度も繰り返し聞かれたのである。
ナザレでは、この傾向が特に顕著であった。近年の選挙では、国政に対する冷めた空気感が街中に漂い、前回の選挙では投票率はわずか48%程度だった。それ以来、この都市は度重なる危機に見舞われ、それが政治や政治家に対する深い嫌悪感へと繋がっていた。
しかし昨日、私は90歳を超える女性たちが投票所に到着する姿を目にした。彼女たちが、今回は「絶対に家に留まるわけにはいかない」と決意していたのは明白だった。
アラブ社会において、地域社会の繋がりは非常に強い力を持っている。そのため、普段はクネセト選挙よりも地方選挙の投票率の方がずっと高くなる。人々は候補者やその家族を知っており、市長や評議会議長が自分たちの生活に直接的な影響を与えるからだ。
しかし昨日、興味深いことが起こった。国政選挙であるクネセト選挙が、まるで「地元の選挙」のように感じられ始めたのだ。私の故郷では、普段なら国政選挙が大きな話題になることはない。しかし今回、人々は続々と投票所に足を運び、誰に投票すべきかを熱心に議論していた。政府、連立野党、クネセトといった、普段は遠く感じられていた存在が、急に身近なものとして感じられたのだ。
すべての家庭に
国政を届ける
ここ数カ月、アラブ系コミュニティでの投票率向上に取り組んできたすべての人々――候補者、地元の活動家、キャンペーンの主催者たち――は称賛されるべきである。彼らは人々に直接働きかけ、電話をかけ、SNSで活発に発信し、現場で活動した。しかし、私の見解では、今回の選挙を「地元の身近な出来事」に変える上で最も大きな役割を果たしたのは、極右大臣であるイタマル・ベン・グヴィルとベザレル・スモトリッチの2人だった。ベン・グヴィルとスモトリッチの言動が、国政政治をほぼすべてのアラブ人の家庭内に持ち込んだのである。
過去4年間、凶悪犯罪が私たちのコミュニティを荒廃させ、多くの人々が「国は自分たちを放置して見捨てた」と感じている。住宅の解体も、もはや抽象的な政治問題ではない。ガリラヤ[イスラエル北部地域で、アラブ系住民が多く居住する]やナカブ[イスラエル南部の砂漠地帯で、ベドウィン人の居住地域]を「ユダヤ化」するというスモトリッチの発言は、何十万人もの私たちが暮らしている土地そのものに関わる問題だ。
アラブ人に対する煽動は日常茶飯事となった。退陣する政府の閣僚の何人かにとっては、それが政治的アイデンティティの不可欠な一部であり、有権者に対して「仕事をきちんとしている証拠」として誇示するものになっていたのだ。
ベン・グヴィルとスモトリッチは、投票日当日になっても攻撃の手を緩めなかった。アラブ系コミュニティでの高い投票率が明らかになると、スモトリッチは選挙運動のツアーを中断して緊急会議を招集した。ベン・グヴィルはカフル・カーシムの入り口へ向かい、自身の支持者に対してアラブ人の「異常なまでの投票率の高さ」について警告を発した。
何年もの間、パレスチナ系市民は、土地、安全、平等、あるいは自らの民に加えられた惨状について声を上げるという当たり前の要求をしただけで、「危険な存在」として扱われてきた。そして投票日、最も基本的な民主的権利を行使するという私たちの決断すらも、「脅威」として描き出されたのである。リクード党は、何の根拠や証拠もないまま、今回の選挙が「アラブ政党によって盗まれた」と主張している。
深い疎外感から
確固たる決意へ
ガザでの惨状、西岸地区での民族浄化、私たちに対する煽動、自分の民族が直面している状況について発言することすら制限される現実、そして自らのコミュニティ内における犯罪と治安悪化。まさにその「疎外感」からこそ、人々は大挙して投票に向かったのだ。
政治システムを信用していなくても、それが提供するツールを利用することは可能だ。別の政府に代わったところで自分たちの問題が解決するとは思えず、アラブ系の指導層に不満があり、国家も世界も自分たちの安全や未来を大して気にかけていないと感じていたとしても――それでもなお、ベン・グヴィルやスモトリッチを見て、「彼らにさらに4年の権力を与える間、指をくわえて家に留まるわけにはいかない」と決意することはできる。
おそらく、これが昨日行われた選挙と、当時はそれぞれ歴史的だと感じられた過去数年の選挙との最大の違いだろう。当時、人々を突き動かしていたのは「希望」だった。昨日も希望は存在したが、私が最も強く感じたのは「決意」だった。人々は、「何が続いてほしくないか」を明確に分かっていたのだ。最も重要なのは「人々が行動を起こした」という事実だ。
民族的アイデンティティや政治的パートナーシップについて、あるいはクネセトやその枠組みの中で働くことの限界について、私たちはこれからも議論を続けていくだろう。しかし、何十万人もの人々が、そうした意見の相違を抱えながらも、「私たちは皆、この存亡をかけた戦いに共に直面しているのだ」と決断したのである。
ベン・グヴィルとスモトリッチは、アラブ人が恐怖を抱き、弱体化し、家に引きこもるほど絶望することを望んでいた。しかし昨日、彼らは思い知ることになった。恐怖と絶望が、必ずしも沈黙に繋がるわけではないということを。
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