グリーンランドの独立を守り
北極圏の人民と自然の防衛を
2025年2月23日 デンマークSAP
植民地主義の
競合が再現し
トランプ米大統領が「領有」意図をあけすけに繰り返していることで、地球温暖化に大きな影響を与える重要な地域として注目されているグリーンランドが別の形で関心を集めている。日本であまり知られていないこの地について、以下は貴重な情報を伝えている。(「かけはし」編集部)
米国がグリーンランドを接収するとのトランプの繰り返された要求、およびグリーンランドにおける米軍要員数に関するヴァンス副大統領の諸コメントによって、グリーンランドをめぐる帝国主義的競合が新たな決定的一歩を示すことになった。
戦争と軍事化から北極圏とイヌイットを守る長期の闘いは、ひとつの重要な危機にある。世界の頂点における兵器競争の脅威、および当地住民の天然資源を求めるさらにもうひとつの枷を外された探求が、グリーンランド人の存在だけではなく、世界全体をも脅かしている。平和と北極圏の単一的地位に対する最大の保証は、グリーンランド議会(イナツィサルトゥット、1979年設立)およびイヌイット環北極圏評議会を含む、先住民衆の組織と代表機関の形で存在している。
トランプはあけすけに、「洗練された」デンマーク帝国主義が隠そうとしてきたことを語っているのだ。つまり、資本主義の論理の下で、諸国、人民、また諸国民は最良の場合商品――最悪な場合戦利品――だと。
同じ理由から、デンマークと米国間の2百年に近い連携に関する再交渉というトランプの要求が、デンマークを本格的な植民地主義的病的興奮へと追いやっている。この興奮の高さを示すものはもちろん、デンマークの氷晶石鉱業に関する記録映像に対する検閲だ。その映像は、政府のトップレベルを含む明白な政治的圧力の結果として、今週インターネットから取り除かれた。この検閲はひどく偏っていた。そして情報源の取り除きによって、多くの市民が批判的な社会的論争に自らを向けることが、今不可能ではないとしても困難になっている。
デンマークにおけるブルジョアジーのパニックは、デンマークの資本家が氷晶石採掘を通して略奪できた巨万の富に照らして理解されなければならない。グリーンランドの鉱物から盗むことを資本家に許すことに対しデンマーク政府がかれらに請求したという事実はあるとしても、ヴェベル〔テオバルト・ヴェベル、エレスント氷晶石工場の創設者:IV編集者〕の後継者各々は、彼らの父の死に際し各自が受け取った百万の40%をくだらない配当を受け取った。そのような所得は、通常のビジネスからではなく、ただひとつ独占と植民地利権からのみ現れる。
この所得の再投資が、われわれが今日知っているデンマークを築き上げてきた。近代デンマーク資本家階級のゴッドファーザーであるC・F・ティートゲンはイヒドゥートにおける鉱山(氷晶石の:訳者)建設の背後にいた男だった。それゆえ氷晶石採掘は、工業社会へのデンマークの転換を可能にした原始蓄積の決定的な一部として理解されなければならないのだ。
氷晶石がなければ、アルミニウムが広く使われる金属になっていたことなどほとんどまったくありそうではなく、その広範囲に行き渡る特性も人間に役立ってはいなかったと思われる(氷晶石はアルミニウム精錬に利用されたが、現在は人造氷晶石が利用されている:訳者)。デンマークと米国は、氷晶石の利用から両国間で多少とも等しく利益を分け合ってきた。
米国の場合それは、急速度の空軍建設を可能にし、そしてそれは第二次世界大戦以来、世界市場に対する決定的な影響力を米国に確保した。その派生的な富とそれが運命づけた価値は数字で計ることはできない。
歴史の倫理という緒論点の中で見失われている問題があり、それは、地中にふんだんにあり、現地の住民によって肌を日焼けさせるために利用されていた希少鉱物が存在するような、世界でも類のない場所を確保することがどんな価値をもっていたか、ということだ。他の植民地にされた民衆同様、グリーンランドのイヌイットには、かれら自身の社会と経済の発展に向けた数世紀のための基礎が据えられていた可能性があった地中に、ひとつの穴が残されている。
植民地主義の
継続はあらわ
グリーンランド支配に対するトランプの無謀な要求は、グリーンランドへのデンマーク人と米国人の政策を明確に定めてきた植民地主義的、帝国主義的、またレイシズム的思考の継続にすぎない。長期のまた骨の折れる政治闘争を通じて、グリーンランドの人民は独立への法的かつ公式的権利を勝ち取ってきた。
しかし米帝国主義は、先住民衆による国家形成をこれ以上ないほどの不信で見ている。それこそが、民主党指導部の下にあってさえかれらが、グリーンランド内エリート内部で影響力を獲得し、かれらを米国につなぎ止めるために目的意識的に活動してきた理由だ。
この利己的利用が明るみに出ることになったという単純な事実は、デンマーク内に植民地主義的な病的興奮を引き起こしている。そこではこれまで、われわれのグリーンランド人同胞市民に対する植民地主義的レイシズムが好き放題にされてきたのだ――たとえば、グリーンランドの独立にはデンマーク内のグリーンランド人にもはね返りがなければならないといった考えと共に――。
グリーンランドの地位に関する決定は、デンマークで暮らすグリーンランド人やデンマーク社会の一部であるかれらに関し、何であれ何らかの結果を及ぼすものでなければならない、という考えは断固として拒絶されなければならない。
また深く批判に値することがある。それは、他の場合には「グリーンランドに関しグリーンランドなしには何も決めるな」とのグリーンランドのスローガンを支持してきたデンマーク政府が同時に、「王国」の防衛に対する支持を集めるために、EU中を外交して回ってきた――グリーンランドなしに――ということだ! しかしグリーンランド政府は、安全保障をを交渉する権限を完全にもっているのだ――かれらは利権と貿易を交渉する中ですでにそうしている――。
自身の問題へが
われわれの任務
デンマークの労働者階級と左翼には、グリーンランド人民に向けたひとつの特別な責任がある。残念ながら確かなこととして、グリーンランド人民との関係で、明白な独りよがりがデンマーク労働運動の大きな部分を特徴づけてきた。いくつか重要な例外はあるとしても、われわれのあまりに多すぎる人々は次のように信じてきた。つまり、「問題をグリーンランド人に預ける」、そしてそうすることで、グリーンランドに否定的に作用している複雑な歴史的問題と現代の問題に対処を迫られることを事実上避ける、だけで十分、というものだ。これは改められる必要がある。
何よりも、グリーンランドの歴史と現在に関する論争の組織化に参加することで、またグリーンランドの活動家とデンマーク内グリーンランド人を招き、論争にかれらの理解と考え方――グリーンランド内だけではなくデンマーク社会を貫く――を加えることで。
われわれはこれを、われわれが活動している領域すべてで行うことができる。同時にわれわれは、学校教程に統合されるような、グリーンランドの歴史とデンマークの植民地主義に対する教育を強く求める。どんな子どもも、それが完成した際にはアルミニウム鉱山とも呼ばれた、ということも知らずにマーブル・チャーチ(別称、フレデリクス・チャーチ、北欧最大のドーム屋根をもつ教会:訳者)を見てはならないのだ。
同時に、植民地後の諸紛争や入植者住民、特に労働者階級が前にする知られざる分野についてももっと多くを学ぶ必要がある。このまったくひどい事例は、植民地にされた国から植民地主義大国が取り上げたものに対するひとつの尺度としての、希少鉱物(氷晶石)がもった総価値への強調に反対して、事実上異議を付けられずに激しい攻撃を加えるのを「経済専門家」が許される場合だ。この価値のすべてが事実上グリーンランドのGNPからデンマークのそれに移されている時に、植民地主義に関する研究者たちが記録映像中のこの数字の妥当性を指摘していてさえも、だ。
また、性と生殖の権利の問題、またグリーンランドの子どもの半世代の誕生を妨げたデンマーク国家の積極的な努力にも、特別な焦点が当てられなければならない。
現地住民の独立
への全面支援へ
われわれは独立へのグリーランドの切望を全面的に支持し、グリーンランド人が平等な扱いの可能性を信じていないことを理解するとはいえ、グリーンランド人民とのあり得る限り最良の関係を維持したい。われわれは、歴史によってだけではなく、家族や友人のつながりによってもつながれている。
しかしながらこの願いは、グリーンランドがそれ自身の領土に対する全面的な支配を得る中で支援されている場合にのみ意味がある。そしてわれわれは、グリーンランド人民の政治的選択に圧力をかけるために経済的強制が一切利用されないことを要求しなければならない。
同時にわれわれは、グリーンランドに家族をもつ者すべてにとってデンマークとグリーンランド間の旅が手頃であるよう要求する。われわれは、グリーンランドの独立がグリーンランドを破壊的な譲歩へと押しやらないよう、あるいはグリーンランドにあらゆる形態の軍事的圧力への屈服を強要しないよう、その確実化に向け活動するつもりだ。
同時にわれわれは、グリーンランド民衆全体の巻き込みを目的にせず、代わりに小さなエリートに焦点を絞るようなどのようなプロセスも拒絶する。したがってわれわれは、グリーンランドの下層土の研究すべてに対する全面的で妨げられない利用権をグリーランドが与えられること、および北極圏に関するあらゆる軍事協定が北極圏住民に開示されることも要求する。
デンマーク国家とデンマークブルジョアジーが、北極圏の略奪から利益をあげるためにどれほど懸命だったかを主張し続けるならば、われわれは、株式配当支払いを含みすべての会計の公開を要求する。
元の植民地宗主国としてのデンマークとグリーンランド間の関係に向けた適切な綱領の発展には、グリーンランドの独立と全面的な関与が必要だ。われわれはそれゆえ、イヌイット友愛党(独立派の左翼政党:訳者)に対するデンマーク左翼の貢献を喜び、彼らの選挙での成功を願っている。
▼SAP(社会主義労働党)は第4インターナショナル・デンマーク支部。同党は赤緑連合に参加している。
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