バングラデシュ 臨時政府の1年
危機と搾取へ抵抗は不可欠
バドラル・アラム
臨時政府は過去1年を通じて、この国の政治における困難な章の一部になった。かれらは政治的な不安定と経済的危機の真ん中で権力に到達した。しかしマルクス主義者の分析からはっきりしていることは、この政府は勤労民衆の解放を代表するものではない、ということだ。それはむしろ、資本家の利益を守るために国家権力を用いている。
僅かの経済的安定の下には、搾取という過酷な現実が横たわっている。労働者と農民は依然、かれらの基本的な必要を満たすために闘い、賃金は停滞したままだ。その中で食糧と燃料の価格ははるかに跳ね上がってきた。そして農民の土地の権利に対する侵害に対抗する効果的な行動は著しく欠け、政府の役割は多くの場合深い沈黙によって、あるいはむき出しの抑圧によって特徴づけられている。
政治の安定性は回復されてきた。しかし原理的に、ブルジョアジー階級の支配を支えるためだ。民主的な権利は切り縮められ、異議を唱える声と運動は抑圧されてきた。そしてメディア統制が強められた。国家の治安部隊は、勤労大衆の利益に反して行動し、搾取者のツールに成り果てている。
公衆衛生、教育、また社会的保護で改善のかすかな兆しはあるものの、それらも民衆の基本亭な要求を満たす点ではなお不十分なままだ。社会的で文化的な分断が、コミュナリズム(特定の社会集団の優位性を主張する運動、特にインド圏でヒンズー教徒とイスラム教徒の対立に関連して発展:訳者)と民族主義者の煽動が階級闘争の真の性格を不明確にする中で、階級的不平等を深めてきた。
1年を経て、臨時政府の行動は、それが勤労民衆の解放のためにではなく、支配階級の利益を保護する搾取国家として設立された、と示してきた。したがって、労働者、農民、そして被抑圧民衆は、団結しかれらの闘争を強めなければならない。統一された大衆運動と革命的闘争を通してはじめて、解放への希望は現実化できる。
歴史はわれわれに、真の変革は勤労民衆の団結と連帯により駆動される民主的な闘いを通して生まれる、と教えてきた。今日の臨時政府は、この闘いに対立している。それゆえわれわれの闘いはもっと強くもっと幅広く成長しなければならない。
勤労民衆に対し現在という時は歴史的な呼び声だ。団結せよ、闘争を続けろ、そして新たな社会主義社会の建設を夢見ることに、堅い決意をもって留まれ、と。
▼筆者は、バングラデシュ共産党(ML)の書記長。バングラデシュでは他の多くの国とは異なり、「ML」は「毛沢東派」を意味しない。毛沢東派は、「マルクス主義―レーニン主義―毛沢東思想」を意味する「MLMIT」によって示されている。(「インターナショナルビューポイント」2025年8月10日)
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