スペイン:脱植民地主義・反レイシストの戦線構築が不可欠
レイシストの目的意識的暴動
イレーネ・ガルシア・ガラン
極右の暴力が
小さな町覆う
ムルシア州(スペイン南東部:訳者)の住民4万人になるトーレ・パチェコというスペインの町が、7月12日以来大規模なレイシストの暴力の場となってきた。組織された極右グループが、北アフリカの男、また特にモロッコ人に対する紛れもない人間狩りを実行するために国中からそこに出かけている。それは、数ヵ月前英国からわれわれに届いたイメージを偲ばせるものだ。
この状況は7月9日におけるひとりの退職した男性、ドミンゴに対する残忍な攻撃に続いている。彼は、その仕事にあたる裁判システムを待っている中で、警察署で苦情を提出するために出かけた。彼はその時、彼の苦しい体験が反動的な政治運動によって大々的に道具にされるとは想像もしていなかった。極右のインフルエンサーと政治家が、何の証拠もなく攻撃はモロッコ人の男たちによって実行されたとの噂を広めるために、かれらのネットワークを使った。
目的の下の
極右の攻撃
レイシズムが構造的であり、民族的に差別された人々や移民を敵視する暴力が日常的に起きている国で、文明を守るとの名目でこの小さな町に何十人ものファシストが向かい恐怖の種をまくためには、もっと多くは全く必要なかった。ドミンゴ自身の妻は、暴力を終わりにすることを求めて公然とはっきり語った。2025年7月15日は、トーレ・パチェコの諸々の通りで組織的なやり方で実行されたレイシストの暴力の、連続した日々の4日目だった。
皮肉なことに、同じ極右活動家が流した攻撃のビデオ映像は実際に、もうひとりの高齢男性に対しアルメリアで起きた別の攻撃映像に一致していた。その時街頭で寝ていた、そして見るからにゲイである犠牲者は、真実を中心に戻すようはっきり語った。
彼への攻撃がスペイン国籍をもつ白人の男たちによって犯された、そのうちのふたりはすでに逮捕された、そして攻撃はホモ排撃と反社会的な動機があった、ということをわれわれが聞き知ったのはその時だった。したがってこれらの人物像は、むしろこのビデオを共有しているファシストに近い。
人民党―Vox
レイシズム助長
数日間、不意の襲撃が特に夜間起き続け、われわれの社会中にはびこっているレイシズムをわれわれが抜本的に終わりにしなければ、われわれを何が待っているかの前触れを残した。それが、町の諸々の通りを武装してぶらつき、標的にされたコミュニティの中に恐怖を生み出す一隊に組織された男たちだ。
北アフリカの男性が所有する事業もまた標的にされている。たとえばあるケバブ店であり、そこの監視カメラ映像は、ヘルメットを着用した約20人の男たちがせいぜい数秒のうちにこん棒であらゆるものを破壊するのを示している。
この状況は、極右のVox党が推し進める新たなレイシスト的政治キャンペーンの始まりに符合している。そしてその党は、数百万人の移民をスペインから追放することを訴えている。そしてさらに留意されなければならないこととして、人民党(PP)―Vox連立下のムルシア地域政府が、移民、民族差別を受ける住民、そしてムスリムの住民に向け憎悪を扇動し続け、こうしてわれわれが今日目撃中のレイシストの暴力の噴出に向け土壌を豊かに耕し続けてきた、ということだ。
レイシストの暴動は極右のテレグラムチャンネルを介して調整された。その一例が「今こそかれらをスペインから追放」だが、その指導者と目された男が警察に逮捕される中で、それはそれ以来閉鎖されている。
現在まで、1ダースの男たちが逮捕され、警察により120人以上が特定されている。ムルシアの知事部局もまた、ヘイト犯罪を理由にムルシア地域のVox指導者であるホセ・アンゲル・アンテロに対する捜査を始めた。
左翼政府にも
重要な責任が
白人左翼の一部は、この暴力の源であるとしてスペイン右翼と極右を示す方に心を引かれているが、重要なことは、レイシズム差別を受けた人々、移民、またムスリムに対するこのヘイトはまた、連続した左翼連立政権が導入した政治的諸方策によっても燃料を与えられている、ということを思い起こすことだ。
われわれがそれで考えていることは、反移民法、スペイン警察が国境で行った暴力、2022年6月24日のメリリャ(アフリカ大陸北岸、モロッコとの国境にあるスペインの海外都市だが、EUが特別地域に指定、モロッコとの領有権紛争がある:訳者)における殺戮のような特別の光景、屋台商人抑圧、書類申請者に向けられるスペイン行政当局の変わることのない侮辱、といったことだ。
レイシズム、イスラム嫌悪、また移民への憎悪は単に右翼の専売特許ではない。社会党政府下の内務相であるマルラスカのような人々は、Vox指導者のサンティアゴ・アブスカルとまさに同程度で責任がある。レイシストの暴力、そのあらゆる形態を前に、根底的に脱植民地主義の、かつ反レイシストの戦線構築が不可欠だ。(2025年7月17日、「ランティカピタリスト」よりIVが訳出)(「インターナショナルビューポイント」2025年7月24日)
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