イタリア パレスチナ連帯9・22

希望の1日、可能性の1日

前進に向けた本物の飛躍が進行

2025年9月24日  シニストラ・アンティカピタリスタ

 イタリアで、パレスチナと連帯する2回目のゼネストが10月3日に呼びかけられた。われわれは以下に、9月22日の1回目のゼネストに対するシニストラ・アンティカピタリスタの評価を公表する。(IV編集者)

今まで通りではいられない

 この運動は、何カ月も、実際は何年も続いてきたジェノサイドに反対する、圧倒的な政治的で道義的な反抗だった。それは、この終わりのない恐怖を支援し保証している直接間接のあらゆる共謀に反対して、自分の意見をはばかることなく表明した。しかしそれはまた、伝統的な労組勢力や穏健左翼を特徴づけてきた不明瞭さ、怖れ、さらに官僚的な保守主義すべてに反対する蜂起でもある。
 われわれは今、決起としての前進に向けた本物の飛躍を見ている。それは、戦闘的な活動家だけではなく、非常に広範な住民、「普通の」人々をも巻き込み、街頭に連れ出した広大な大衆運動の出現によるものだ。現れたのは、ホロコースト後に宣言された「決して二度とは」が可能なあらゆる力で再確認されなければならないと、今まで通りでいることはできないと理解した「普通の」人々だった。
 日々のテレビ上で隠されずにはっきり見えるジェノサイドを前にすればなおのことそうだ。われわれは「悪の陳腐化」を、また、権力を握る者たちが市民と民衆全体をそれに慣れさせたがっているやり方を拒絶しなければならない、との気付きがある。

ガザのためのストライキ


 国中でのこの数ヵ月繰り返された決起、および船団への連帯と援助イニシアチブが、22日という日付けが中心的な参照点になる条件を生み出した。いくつかのメディアでさえ、それがガザのためのストライキ、誰もが認める連帯の1日、と認めざるを得なかった。
 それは、すべてが失われているわけではない、偉大な大衆運動は可能、何百万人もが資本主義と新植民地主義の残忍な存在を拒絶している、との大きな希望を広げるような決起だ。このすべてが可能なのはおそらく、昨日は以前には行進したことなどなかった者たちがそうし始め、他の多くの者たちが再開したからだ。
 おそらくイタリアのそこには、多くの若者、多くの女性、多くの労働者、しかしまた40歳代やもっと高齢の多くも、1970年代と同80年代の諸闘争に刻まれた「栄光の日々」を知っていた者たちも含んだ百万人がいた。全員がはっきりと、諸政権と支配階級の政策は拒絶されなければならない、またそれは可能だ、と言明した。
 困難だが不可能ではない任務は前にある。つまり、職場でこの運動を強化し拡大し、再軍備と戦争に向けた諸条件を生み出すような非道な政策に反対する、さらに強大な運動の建設に注力することだ。
 それは大きな統一と強い政治的な意志を求めるだろう。右翼の諸勢力、諸政権、またブルジョアのエリートたちが今後動き出させるワナや挑発や落とし穴が、これから無数になり恥知らずになるからだ。それらは各々の時に理解され、妨げられ、克服されなければならない。

求心力は草の根労組の呼びかけ


 「全体の広範なストライキ」のスローガンがいつか有意義であったとすれば、イタリアで昨日起きたことはそれに非常に似ている。グローバル・スムード船団船出後にジェノバの港湾労働者が始めた「すべてを止めよう」のスローガンは、何十万人という人々――学生、労働者、活動家、怒った市民たち、政治的諸組織、諸市民団体、社会の諸グループ、その他――によって実行に移された。
 それはこの種の呼びかけの場合記録的な数だった。それは、実体のある統一を固めるのが常にできたわけではなかった草の根の労組、USBが呼びかけたストライキ(そして他の草の根労組により取り上げられた)だったのだ。
 しかしながらそれらは、労働者階級と市民内部の益々強まる強いムードと感情、およびこの何カ月かにバラバラの形で起きてきた多くの決起を受けた統一された決起の日付けに対する必要を、他の労組よりももっとよく理解した。こうしてストライキは多くの人々――上述のような――から、イスラエル政府のジェノサイド行為、政権内の右翼諸政党のあからさまな共謀によって決定された脈絡の中で、影響を及ぼすための、あるいは最低でもそれに挑むための「思い切った」唯一の役に立つツールと認識されたのだ。
 しかし同時に所与の条件もあった。社会の大きな層の中で、また先の闘争形態に伝統的に傾いていた社会運動の中で益々切実になり広がっている憤りの感情につながりをつけ、直言する点での、CGIL労組連合(イタリア労働総同盟:訳者)と中道左翼の消極性――ここにきてようやく掘り崩されたばかりの――だ。
 心にとどめる価値があるのは、生徒の参加、しかしまた教員の大量参加(多くの学校がストライキを決行、街頭に繰り出した)だ。そしてそれは未来に向けたもうひとつの希望の源だ。学校は、それらをビジネスに変えるブルジョアジーの計画によってだけではなく、政府参加諸勢力の反動的、民族主義的、また反民主主義的な構想によっても影響を受けているのだ。
 CGIL指導部は、同労組の左翼潮流、レ・ラディチ・デル・シンダカト(労組の根)の代表たちが求めたような、ストライキとデモの成功を最大化するための、他の労組がすでに決定した日付けにおける全体的決起を呼びかける歴史的な好機を逃した。
 その指導者たちは次のように力説した。つまり、CGILはEU再軍備に反対の立場をとり、一日闘争を組織済み(完全に断片的な行動だったが)のEU唯一の労組組織であり、これは、EUの労組運動の状態に関し、さらに労働者の大きな部分の敗北と後退についても大いに意味がある、と。
 しかしながらまたその選択が示していることは、この国最大の大衆組織を指導する者たちが、この国で起きていたことを理解する意志もツールももっていなかった、ということだ。もっと悪いことにかれらは、機構要員の保守主義と他の2労組連合およびPD(民主党)との関係によって引き止められた。幸いなことに、多くのCGILメンバーと代議員たちは今回の大衆的決起でかなりの役割を果たした。

運動は街頭をわがものにした


 諸々の行進にどれだけの人びとが参加したかを測ることは難しい。しかし、少なくとも80個所での、またあらゆる大都市における関連のデモは、特にここ数十年に見られた数に比べ、通常を超えて普通ではない大きさになり、圧倒的で躍動的な「市民からなる人の奔流」があったことを見せつけた。そしてそれは主催者自身をも圧倒した。この理由から、昨日の街頭は大衆運動により支配された。
 われわれはおそらく街頭にいた百万人について語ることができる。港湾は兵器供給を阻止するために止められた。駅と交通は、デモとストライキで止められ、不正義と殺戮に対する拒否の声を聞き届けさせるという決意、黙ったままではいないという決意を人びとが示す数多くのやり方があった。職場におけるストライキの影響を測ることはもっと難しい。しかしそれは確実に、交通と教育では非常に重要だった。
 ローマでのデモは信じられない規模だった。それは午前10時半、三々五々到着した人々、あるいは集合地点からの5つの行進のひとつによりチンクエチェント広場で始まった。行進は3時間後、警察との交渉後に出発、東環状高速道を徒歩で超えた後芸術アカデミーに達した――そして占拠した――午後5時まで、およそ10㎞におよんだ。首都の交通は文字通り座礁し止まり、しかし初めて、交通麻痺にはまった多くの運転者はデモ隊への共感と連帯を示した(ある者たちはかれらの窓からケフィエーを振った)。高速道部分の行進と占拠によって妨害された運転者からのこの「連帯」は、この国の中ではある種の「目新しさ」だった。

成功は何故可能になったのか

 この成功はいくつかの要素の組み合わせによる。
◦ジェノサイドを止め、政治的、軍事的、学術的、また経済的な共謀を糾弾し、グローバル・スムード船団を支援する明確に急進的なしかし理解可能なスローガンが、ガザの人びとに対する連帯の具体的な姿勢として識別された。
◦そこにいたいという、しかしジェノバでガザに向けられるための記録的な食糧集めのような等しく有形な姿勢を伴っていたいという切望、船団の真に「地上の乗組員」でありたいという切望。
◦情勢の非常な重み、国際社会の弱さ、そして人道法規の破綻に対する認識。
 ストライキや街頭での決起に導いた他の理由も確かにある。そしてこれらは、相対的に小さいがしかし相当に首尾一貫した部門の役割を理由としている。
◦パレスチナ人の国外離散者ネットワークと船団組織委員会間の、共同のデモ呼びかけ。この件の始まり以来USBがイタリアでパレスチナ人組織と並んで常に立ち上がってきたことに疑問の余地はない。他方、PLOやPNAとも歴史的な関係を保ってきた他のグループは、公式のユダヤ人世界とその政治的付属物、自称「イスラエル支持左翼」からの圧力を前に、自ら極度に小心であると示してきた。
◦ガザと西岸(しかしまたウクライナでも)で今起きていることが、EUの再軍備への移行により、全員の労働条件と生活条件に今はね返りをおよぼしつつあることへの気付き。これはまだ、幅広い民衆層と労働者によって理解されていない。しかしこの結びつきは、益々見えるものになり、提案された予算の始動と共により一層そうなるだろう。
 確かに、USBと他の草の根労組の周りの軌道上にある政治的な集団、労組や社会と学生の集団はこれまで推進力になってきた。そしてわれわれは、全体化されたストライキの成功に対する急進左翼の支援を肯定的と見ている。これには、CGIL指導部が情勢に対処してきたやり方に公然と批判的な職場内の労組代表、また多くのCGILメンバーが含まれる。その対処にはたとえば、首尾一貫した選択や具体的なイニシアチブがなくても政治的で組織的な介入が達成可能であるかのような、その競合相手以前の慌ただしい72時間ストの呼びかけがあった。
 初めて、草の根労組による呼びかけがナショナルセンターよる対応的呼びかけよりももっと成功した(おそらく唯一の前例になるのは2000年の大規模な学校スト)。それはまさに、民衆と労働者のはるかに大きな「グループ」によって取り上げられたからだ。

もっと大きな大衆的関与と
急進的な草の根の組織化へ


 諸都市と小さな町々を貫いてさっと広がった民衆の海はわれわれに、やがてやってくる決起を大衆運動の拡大と成長のさらなる道として考察することを可能にしている。
◦先ず、10月4日の全国デモを出発点に。
◦次いで、その伝統的で慣習的な諸限界を克服しなければならない伝統的なペルージャ行進をもって。
◦そして次いで、次に来るデモ行進のアッシジ行進によって、そしてそれはすでにCGILによって計画され呼びかけられた。

 あらゆる主唱者は、以下の中で「すべてを止めよう」のスローガンに表現された自覚、戦闘性、具体性のレベルを同時に引き上げつつ、労働者階級の全部門の、多少とも安定している者たちと全く不安定な者たち両者の参加を、維持し、実際は拡大するため奮闘しなければならない。
 階級的な敵の、つまり公共的秩序を管理する政府や諸部隊の挑発や諸々の選択をうまくあしらうことも必要になるだろう。ローマでは、主催者指導部の熟練のおかげで事が起きるのを避けられた。かれらは、たとえば行進が環状路に入る際ヘルメット着用を避けることによって、緊張を高めないため警察を招くことを含め、状況を十分うまく管理した。
 ミラノで起きたことに関して同じことは言えない。そこでは、弾圧が極めて厳しく、何人かの個人に、しかしまた運動の残りにもかなり後まで影響が残るだろう。政府が選ぶ弾圧のレベルもまた、決起の継続では一定の役割を果たすだろう。紛争の可能性を消すという特別の目的の下に治安法令が起草された。戦争と弾圧は同じコインの両面だ。
 大衆運動の強さと政治指導部に対するその能力が、運動が強化され職場で組織される確実性をつくることができ、またそうならなければならない。この能力は未来に対し、また階級間力関係の長続きする変化をもたらす点で決定的になるだろう。そしてその力関係の変化は今度は、労組諸勢力の行動における統一を前提条件とするだろう。われわれはまた、右翼と資本の権力による攻勢と対抗攻撃に真っ向から立ち向かうために、居住区や市の中にさまざまな共同体も必要とする。
 その理由はまた、終極的目標がパレスチナ民衆への国際的な支援、そして再軍備反対の運動を建設すること、つまりEUゼネストの組織化にあるからだ。(「シニストラ・アンティカピタリスタ」からIVが訳出)

▼シニストラ・アンティカピタリスタは、イタリアにおける第4インターナショナルの一組織。(「インターナショナルビューポイント」2025年10月3日)   

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