台湾海峡危機と台湾人民自己決定権に関する予備的テーゼ①

プロレタリア民主ウェブサイト 編集部〔訳注1〕※〔 〕は訳者の補遺。

台湾人の歴史的権利

 1895年以降における日帝の植民地支配、そして1945年から1996年の国民党一党支配までの歴史は、中国本土の人々とは異なる台湾の人々の共通の経験と独自のアイデンティティを形成し、1世紀以上にわたり(最初は日本、その後は中国本土からきた政権によって)抑圧されてきた台湾の人々に、政治的自己決定権(以下、自決権)、そして中国本土との関係を含めた自らの運命を民主的に決定する権利を与えることになった。

「一つの中国」について

 現時点において台湾の国名は「中華民国」である。北京はこの事実を認めないが、実際には「2つの中国」政府が存在している。しかし、台湾では「中華民国」という国名に対して強い反対意見を持つ本省人〔1945年以前から台湾に住む漢民族。45年以降に台湾にやって来た漢人は外省人〕も少なくなく、台湾はいっそのこと独立すべきだと主張する人もいる。われわれは、国名についても台湾人が自己決定権を持つべきだと考える。
 中国と米国の間の3つの共同コミュニケ〔1972年(米中対話の開始)、79年(国交樹立)、82年(台湾への武器売却削減)〕は、米中双方が台湾の主権の帰属に関して台湾人民の意思を尊重しておらず、最も基本的な民主主義の原則に違反したものである。中国は米中双方が「台湾の主権は中華人民共和国に属する」という点で合意したと考えている。しかし、文面やその後の米国政府の説明から判断すると、米国の立場は「台湾海峡の両側にある政府が、台湾は中国の一部であると主張していることは承知している」というだけものであり、「台湾は中華人民共和国に属する」という立場をとってはいない。米中2つの立場はあきらかに異なっている。1979年の米中国交樹立の際に、米国は北京政府が「中国」を代表することを認めたものの、台湾の主権がどこに属するかについてのそれまでの見解を根本的に変えることはなかったため、台湾の主権をめぐって中国と米国の間には常に意見の相違が存在してきた。しかし、両国が外交関係を樹立し、世界のほとんどの国も中華民国との外交関係を断絶して、中華人民共和国との外交関係を樹立した。さらに中国の急速な台頭によって、台湾の国際関係は縮小し、現在は国連に加盟する11の小国とのみ外交関係を結んでいる〔ツバル、マーシャル諸島共和国、パラオ共和国、グアテマラ、パラグアイ、ハイチ、ベリーズ、セントビンセント、セントクリストファー・ネーヴィス、セントルシア、エスワティニの11の国連加盟国のほかに、国連のオブザーバーのバチカンと外交関係がある〕。

進歩的に様変わりした台湾、退行する中国

 しかし民衆の視点からいえば、「台湾」あるいは「中華民国」をどのように考えるのかという際には、米中両国あるいは各国政府の見解に基づいてのみ判断するのではなく、民主主義の原則や台湾海峡両岸の実際の政治的変化に基づいて独自の判断をするべきである。
 1949年に中国共産党政権が樹立されると、国民党は台湾に撤退したが、国民党の汚職や腐敗は周知の事実だった。かたや中国共産党は革命的進歩性を代表しているように見えた。そのため、国際的な反植民地闘争や進歩派、ソ連陣営はいずれも北京政府を支持し、台北政府を批判した。台湾海峡両岸の統一についても中国共産党による統一を支持または賛意を表明した。
 しかし中国共産党が建国後に犯したすべての反動的行為が1979年以降に明らかになると、台湾統治時代の国民党よりもましだったとは決して言えないことが明らかになった。一方、国民党は党外運動〔民主進歩党をはじめとする民主化運動〕の圧力により、ついに2000年に政権の座を明け渡すことになった。
 台湾は政治的な一党独裁体制を終焉させ、人民は基本的な民主的権利、そして不当な政治をおこなう政府に対して抗議する権利を持つことになった(この権利は中国本土では全く存在しない)。
 こうして、台湾海峡両岸の政治的対比はかつてとは大きく異なったことを認識すべきである。このような状況において、中国共産党が台湾を武力で統一するということは、反動的独裁政権が代議制民主主義(それがいかに多くの問題を抱えていようとも)を打倒し、台湾の人々がすでに享受している基本的な政治的権利、とりわけ社会的抵抗権を奪うことになる。
 社会経済的な性格から見ると、毛沢東時代の中国は反資本主義的で「社会主義」のスローガンが絶えず叫ばれており、国民党支配下にあった台湾の従属的資本主義よりも進歩的に見えた。しかし実際には、その「反資本主義」は社会主義への移行と同等ではなかった。中国共産党は早くに自らの利益のみを追求する特権階級の官僚支配集団へと堕落することで、幾千万もの人々の命を奪い、苦痛を強いていた。鄧小平による資本主義路線の時代になると、台湾海峡の両岸は同じ性質、つまりどちらも資本主義になり、台湾よりも中国大陸のほうが進歩的であるとは言えなくなった。
 加えて、中国共産党政権のほうが全体主義的であることからも、中国共産党政権による台湾の武力統一には一ミリたりとも進歩的要素はなくなってしまった。台湾人民の意思を無視し、力を誇示して小国を凌辱することは、重大な犯罪であることは言うまでもない。
 国際社会には次のような考えもある。つまり、台湾海峡危機は米中の覇権争いにおける代理戦争に過ぎず、コースメニューでいうところの「前菜」に過ぎないという考えである〔米中の対立こそが「メインディッシュ」〕。このような見解は2300万人の台湾人民の正当な権利を完全に無視する覇権国家的な視点であり、民衆の視点とは言えない。
  (つづく)
訳注1:プロレタリア民主ウェブサイト(普羅民主網)https://workerdemo.org/

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