米国 拡大するトランプへの抵抗
前進の鍵は反ICE運動との結合
反トランプ運動の自立性の維持が重要に
ケイ・マン
3月28日に設定された差し迫る大規模な「ノー・キングス!」デモ、およびメーデー決起に向けた野心的な計画は、反トランプ勢力の拡大中の合流を指し示している。この合流は、米国内の民主的諸権利と海外の国民主権に対するトランプの破壊的な猛攻撃、もっとも新しいところではイランへの容赦のない空爆、並びに世論調査での支持率急落、を背景に起きている。
抵抗のセンターが3つ出現
民衆と労働者階級の抵抗では3つのセンターが、トランプの大統領への2回目の選出以後出現してきた。第1は、NGOが支配的なグループのインディヴィジブルであり、2025年に最初の2回の「ノー・キングス!」デモを組織し、今年3月28日に同デモの3回目を呼びかけた。前回のデモには国中の街頭におよそ2500万人が現れた。
この「ノー・キングス!」デモは、デモにおける隊列や横断幕に見られるように、多くの戦線における反トランプの感情表現の現場になってきた。その戦線には、移民防衛、パレスチナ連帯(インディヴィジブルからの公式声明がたとえパレスチナ/ガザにふれていないとしても)、LGBTQI+コミュニティ防衛、環境、そしてもちろんトランプの権威主義への行進全体に対する反対が含まれる。
反ICE運動の量的、質的発展
2番目の抵抗センターは、反ICE運動だ。3千人以上のICE(移民・関税執行局)要員の殺到に対するミネアポリスの反ICEネットワークの抵抗は、世界中で反ファシストと反権威主義の想像力を刺激してきた。レニー・グッドの殺害、つまり2020年にミネアポリスの警官がジョージ・フロイドを殺害した現場からそう離れていないところでの、ミネアポリスでのICE要員による米国市民の殺害、次いで数日後の再びの白人市民、アレックス・プレッティの殺害は、米国政治を揺るがし続けている広大な抗議運動の進展に道を開いた。
これらの大規模なデモと関係するネットワークは、社会運動の相貌すべてを見せるような新たな社会運動の高まりに達している。これらの第1は、その大衆的な性格だ。諸々の大規模な街頭デモに加えて、連帯ネットワークへの大衆的な参加が起きてきた。ミネアポリスと隣のセントポールでは、現地住民の驚くような25から50%が抗議と相互支援のネットワークに参加した経験があった。
新組織の創立もまた社会運動のひとつの特徴だ。反ICE運動は新組織を発展させ、2020年のジョージ・フロイド抗議の中で設立されたネットワークや借家人組合のような、既存の組織や活動家ネットワークの中に寄り集まってきた。
ネットワークそれ自身に加えて、新たなまた既存の反ICEグループの連合がたとえばシカゴで発展してきた。そこでは、「移民と難民の権利を求める移民連合」(ICIRR)の名称をもつ約百の反ICEグループからなる市単位の幅広い連合が設立されている。それらのグループはいくつかの事例で、労組により設立された既存のネットワークを介して、ミネアポリスにおける反ICE活動と協調してきた。
反ICE運動は、ミネアポリスやすでにICEの殺到を経験してきたロスアンゼルスやシカゴのような所だけではなく、ミルウォーキーのような都市にも存在している。そこではこれまでのところ殺到はなかったが、あり得るICE殺到を予期して反ICE運動が発展中だ。
この運動は組織化の印象的なレベルを伴ってきた。そしてデモやボイコットのような古典的な社会運動戦術、およびそれらの斬新な進化形を使っている。居住区レベルの緊急即応ネットワークは、移民に食糧を届ける防衛活動、またICEのパトロールから移民を安全に保つ支援という別の形態の手配に向け活動家をつなぐため、シグナルのチャットを利用してきた。ICEの居場所はチャットで報告され、活動家は、支援を提供し、ICEの活動をビデオに記録するためその場に急ぐ。
ICE車両のナンバープレートは広められ、活動家たちはかれらの乗り物でその車両を追いかける。ICEの存在に対し他の者に警戒させるため活動家によってホイッスルが吹かれている。自分たちの車でICE車両を追いかける活動家の組織は、1934年の紡織ゼネストで使われ、またもっと有名なものとしては1934年のミネアポリスのトラック運転手のストライキ(有名なチムスターストライキ、トロツキストが指導部だった:訳者)で使われた空飛ぶ騎兵大隊を思い起こさせている。
ボイコットは現在、レンタカー企業のエンタープライズとヒルトンホテルチェーンに対し組織されている。それらは、ICE要員に車両を貸し、宿泊させていたのだ。こうした行動はそれら企業の顧客を標的にすることで企業に直接圧力をかけるために1980年代以来利用されてきた「企業キャンペーン」の進化形だ。
ICE手入れ反対の高校と大学の学生の授業放棄は、国中で起きてきた。そしてメーデーに向け現在計画が進行中だ。
サービス従業員国際労働組合(SEIU)、全米自動車労組(UAW)、といった多数の大労組や多くの地方と全国の教員労組、たとえば米教員連合(AFT)と全国教育協会(NEA)、さらに労組ナショナルセンターのAFL―CIO自身がICEに反対する声明を出している。ミネアポリスではこれらと他の労組が1月23日と同30日のデモを承認した。
メーデー・ストロングの登場
3番目の抵抗センターは、メーデー・ストロング(MDS)――左翼が率いる労組、シカゴ教員労組(CTU)のような労組支部、またミネアポリスの戦闘的なSEIUの諸支部からなるネットワーク――だ。これが、「ゼネスト」、学校の授業放棄、ボイコットを伴うメーデーにおける行動日を組織し続けてきた。業務放棄、学校の授業放棄、ボイコットを伴うことになる、その5月1日の諸行動を討論するためにMDSが呼びかけた直近のビデオ会議には3千人が参加した。
メーデーは今年、政治ストライキを敵視する米国の法律と契約上の協定のため、おそらく労組が呼びかける業務放棄によるいわば古典的なストライキにはならないだろう。しかし、ゼネスト支持のアジテーションは、大衆ストライキを含む労働者の行動、および労働者の抗議に対する法的な制限に反対する必要性、という問題に関して討論を活気づけるだろう。
非常にありそうなこととしてメーデー行動はいくつかの形で、「ラティーノのいない一日」という2006年のメーデーに似たものになるだろう。実際そのメーデーは、ロスアンゼルスやミルウォーキーのような大きなメキシコ人とラティーノの人口をもつ都市で、病休を電話で告げたか、単にデモに行くために仕事に行かなかったかの労働者が参加した、事実上のストライキと大規模なデモを伴った。
米国の極左と反トランプ運動
ミネアポリスや他のところでの現地の反ICEの戦闘性、および「ノー・キングス!」デモを超えて、極左諸グループは、ベネズエラへのトランプの攻撃、さらに直近のイランへの攻撃に反対する、また反ICE運動に連帯するデモを組織し、そこに参加してきた。社会主義と解放党(PSL)や自由の道社会主義組織(FRSO)のような陣営主義路線に基づく諸グループは、革命的な社会主義組織のソリダリティのような諸組織や同じく参加した他の部分と共にデモの組織化を先導してきた。
米国左翼で最大の組織であるアメリカ民主的社会主義者(DSA)はこれまで、大衆的な反戦デモや大衆的抗議行動全般よりももっと選挙活動に焦点を絞ってきた。しかしこれは今変化中だ。DSAのいくつかの支部はベネズエラやICEをめぐる行動に参加し、DSAが今後中東におけるトランプの戦争に反対して行動的になる、という兆候がいくつかある。
反トランプ運動統一の展望
今日国の社会的、政治的空気は抵抗への巨大な空間を生み出している。反移民作戦も対イラン戦争も、エプスタイン事件を消え失せさせたり、勤労民衆に高い生活費を忘れさせたりはしないだろう。そしてこの生活費は、中東全体が戦争に覆われるにつれ帰着することになる、石油価格上昇によって悪化させられるだろう。
ベネズエラ作戦とは異なり、対イラン戦争は長期的な問題になりそうだ。世論調査はすでに、この攻撃への小さな支持と多くの反対を示している。戦争はまた、MAGA基盤、およびイラクスタイルの軍事的関与を終わらせると約束を得た共和党の被選出代表の中で、トランプへの不満もより強めるだろう。
ミネアポリスと国中の反ICE運動は、労働者階級コミュニティの中に深く根を下ろすにいたった。これらの経験は、何百万人もの意識に消えない痕跡を残し、彼らの心の多くを、急進的な社会的で政治的な分析と綱領に向け開放するだろう。
米国内の労働者階級におけるラティーノ移民人口が占める圧倒的な構成は、反ICE運動に関与した多くがかれらの活動を理解するにつれ、大衆の意識を、ひとりの隣人の防衛を超えて、反トランプについての理解を基礎により階級的な意識へと動かすための基盤をつくり出している。社会主義者と階級闘争志向の労組活動家は、トランプの攻撃と攻撃を受ける移民コミュニティの労働者階級の構成に関する階級的性格、を強調するだろう。
トランプへの一般化された抵抗感と各個別の抵抗を反映する大衆的な「ノー・キングス!」の緩やかな反トランプ連合内のさまざまな要素、および民主党指導部から自立した民主的な労働者階級の指導性下にある反ICE運動を統一することは、反トランプ運動が前進する上での強力な1歩になると思われる。
しかしそこには試練がある。インディヴィジブルは、民主的な運動よりもいくつかのNGOが行った決定に基づくトップダウンのやり方であり、その指導者たちは、彼らの親民主党の共感とデモを民主党支持に利用しようとする意図をおおっぴらに示している。
メーデーストロングは、「ノー・キングス!」デモやそのさまざまな進歩的な反トランプの要素を、先頭に立つ労組と労働者階級に基づく広大な反トランプ運動の中で、反ICE運動と結合する役割を果たすことができるかもしれない。3月28日のデモの組織化に臨んでいる者たちは、その行動を、統一を促進するメーデーに向けた構築作業と見ている。
しかしメーデー後には、運動に対し動員解除の作用が働く11月の中間選挙での民主党支持へ運動を向けようとする、インディヴィジブルからの強力な圧力が生まれるだろう。反トランプ抵抗の3つの系列がもつ潜在的な力は、その大衆的な特性、社会運動の手引きを起点とする古典的戦術と斬新な戦術の利用、そして民主党からの自立、にある。11月の次期「中間」選挙における利害関係を前提として、反トランプ運動の自立性を維持することがまさに大きな任務になるだろう。
▼筆者は、スティーヴンズポイントのウィスコンシン州立大学の社会学講師で、ソリダリティのミルウォーキー支部メンバー。(「インターナショナルビューポイント」2026年3月13日)
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