トランプのクーデター?

新選挙法要求、投票所管理も

ダン・ラボッツ

 トランプ大統領はプライムタイムの30分の全国演説で、米国の選挙は外国の介入、市民権のない者の大量投票、また不正に脆い、と主張した。そして下院に「アメリカ救出法」と彼が呼ぶものを採択するよう訴えた。とはいえその実際の名称は、「米国人有権者資格保護法」だ。

 露骨に選択的な
 投票権制限導入

 同法の中心的特徴は、初回の投票志望者は有効な写真付き身分証明書、あるいは市民権証明を提示しなければならない、そして州は郵便投票を制限しなければならない、と求めるものだ。それはさらに、違法な有権者を除くために定期的な有権者名簿の更新をも求めている。事実を言えば、市民権のない市民の投票はまったくと言えるほどほとんどなく、郵便投票に関する何らかの問題を示すものもまったくない。
 米国では、連邦法ではなく州の法が選挙を司っている。現在、ほとんどの米国人は運転免許証や社会保障ナンバーを示すことで投票の登録ができる。かれらは投票日に、ただ到着を署名で記録することだけが義務だ。
 「救出法」の要件は、何百万人もが今年11月の選挙、および将来の選挙に参加することを不可能にする怖れがある。「ブレナン・センター・フォー・ジャスティス」および「キャンペーン・リーガル・センター」による調査によれば、2100万人以上の有資格米国市民は、市民権証明の即時利用手段をもっていない。それらの多くは黒人、ラティーノ、また貧しい者たちだ。
 トランプはまた、郵便投票も排除したがっている。しかし、何百万人もの有権者を抱える8つの州は、全面的な郵便投票か誰でも利用できる郵便投票システムを保持している。
 トランプと共和党は、提案されている「救出法」に加えて、下院でのかれらの議席を増やそうと、いくつかの州で選挙区割りを書き換え済みだ。さらにかれらは何年もの間、民主党支持と思われる有権者を排除するために有権者名簿を更新してきた。

 非常事態法使い
 投票所に軍派遣

 共和党はこれらの手段を使っても、トランプの不人気な対イラン戦争、諸物価高騰、移民警察(ICE)による移民と市民両者の殺害、が理由で議会両院を失うかもしれない。トランプと彼の戦争支持は37%にすぎない。事態は絶望的だ。こうして彼は力に頼るかもしれない。
 トランプの演説に込められた意図は、諸々の選挙は詐欺のようなもの、との感覚を生み出すこと、そして選挙に対するもっと大きな連邦の支配を正当化することだった。彼はこれまでに、想定では選挙プロセスを保護するため、投票所に軍の部隊あるいは移民警察(ICE)を派遣する用意がある、と言明していた。ところが彼にはそうするための法的権限は全くないのだ。軍が選挙に介入することは連邦が禁じる犯罪であり、他は認めているものの、いくつかの州は投票所での銃携帯を禁じている。
 不正という彼の主張は、トランプが国家非常事態法をもち出すことに向け、そして軍の部隊や他の連邦要員を投票所に展開することに向け基礎を据えている。それは、有権者に怖れを抱かせ、おそらくかれらを投票所から遠ざけると思われる展開だ。「アメリカ市民の自由連合」やそうした他のグループは、万が一のそうした場合に向け、現場の投票監視組織のようなものを準備中だ。

 投票権防衛へ
 左翼は準備を

 トランプは、米国人に街頭での兵士を受け容れるよう準備させ続けてきた。この見地から彼は、カリフォルニア、オレゴン、イリノイ、テネシー、ルイジアナ、ノースカロライナ、さらにワシントンDCに部隊を派遣してきた。次の段階は全州への部隊派遣になると思われる。
 トランプがもし全国非常事態を宣言し、部隊を登場させるなら、彼はかれらに投票箱を押さえさせ、あるいは票の集計プロセスをも引き継がせる可能性も考えてよい。部隊の配置はこうして、ある種のクーデターのはじまりになる可能性すらあるだろう。つまり、実際の選挙結果の無視、議会選挙における共和党の勝利宣言、そしてその後の鉄拳による支配だ。この蓋然性はリベラルな雑誌の中で、また歴史家のティモシー・スナイダーといった知識人によって幅広く論争されてきた。
 左翼のわれわれは、用心し、有権者の権利を守る運動内で活動しなければならないだろう。そして、投票所における部隊やICEの出現に反対する抗議行動に加わる用意をしなければならないだろう。われわれに必要なのは、大衆的で平和的な、しかし戦闘的な抵抗だろう。(7月19日)(「インターナショナルビューポイント」7月20日)

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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