ギリシャ 奴隷法に反対し大決起

 労働運動組織化が決定的課題
アンドレアス・サルツェキス

反動的立法への大衆的反撃出現

 この数週間、ギリシャでは労働時間と労働組合の自由に関する法案に反対し、極めて強力な決起が起きてきた。
 この法案は以下のようにまとめることができる。すなわち、より低い賃金の下で(「代休」形態での部分的埋め合わせ、超過労働時間算出率の引き下げ)、もっと長時間働かせること(10時間労働日、日曜労働の拡大、残業時間年間上限の引き上げ)、そしてストライキと労組組織化の権利に対する重大な攻撃だ。
 「労働界のジャングル」を一掃し、若い世代の未来を確かなものにすることになる「労働者に有利で発展を可能にする法律」! これがウルトラ自由主義者のミツォタキス首相による解釈だ。現実にはそれは、権力を握る復讐にかられた右翼のただ一つの構想が、投資家(そして観光客)を引きつけるために、またギリシャの大事業家内にいる彼らの取り巻きに利益を与えるために、できることは何でもやること、ということの確証だ。
 日刊紙の「エフィメリダ・トン・シンタクトン」がそれに対し「19世紀への歓迎」と「中世への後退」の間で決めかねているこの構想は、5月6日に勇気が湧くような全国的決起で最初の回答を受けた。さまざまな地方的なイニシアチブが続き、昨秋以来高まっている感覚を徹底的に映し出した。そしてこの労働者階級の圧力が、労組指導部を強要し、6月10日のゼネスト呼びかけに向かわせた。その指導部には、パソク(かつての主要社会民主主義勢力:訳者)に結びつき、メモランダ受容で取り返しのつかないほどまで汚れた官僚が率いる、単一の私有部門労組連合であるGSEE指導部も含まれた。ちなみにこのゼネストはもっとも戦闘的な諸労組によって推し進められた。

6・10ゼネストから法採択まで


 当日は、多くの障害(私企業部門における解雇の脅し、それを率い成功した船員によるストライキに対する禁令を含む)にもかかわらず、70以上の町や都市におけるデモや決起に対する大衆的な支持を伴って、高波ではなかったものの大きな成功だった。アテネでは、数万人の労働者と若者たちが三系列の行進でデモを行った。すなわち、KKE(共産党)とその労組潮流であるPAME、シリザと他の改良主義諸組織を伴ったGSEEとADEDY(公務部門)の2労組連合、そして草の根の諸労組と反資本主義左翼だ。しかし戦闘性を印す形で、行進はまさにぎっしりと密集し合流した!
 もちろん、もっとも先見の明のある者たちはこのすばらしい晩には、右翼がさらに一層の強硬さを表に出している中で、官僚たちが圧倒されないためにブレーキをかけるつもりになっていることを察知していた。GSEEは、採決日である6月16日に最低でももうひとつの全国ストを即時に呼びかける代わりに、沈黙へと退却し、ADEDYは1週間の作業停止を呼びかけた。しかしそれは、労組員からの圧力の下に、最後にはストライキの呼びかけになった。これらの条件下で16日の決起への参加は落ちた。そうであっても、国中で数千人の労働者がデモに決起し、アテネでは議会を包囲した。
 勝利を可能とする決起を続けるために、法の採択後にもっと緊急性をもって高まっている問題は、矛盾を抱えた諸要素を考慮した労組再組織化という問題だ。GSEE指導部がたとえ裏切ったとしても、ストライキへのその全国的呼びかけは、決起を広げ、こうして統一の感覚を与えた。基層の戦闘的な諸労組の活力だけでは十分とはならないだろう。そして労組の左翼は、さまざまな労組指導部の後退を阻止する戦闘的な圧力戦術を練り上げなければならない。闘いは進行あるのみだ!(2021年6月23日)

▼筆者はギリシャの第4インターナショナルメンバー。(「インターナショナルビューポイント」2021年6月号)

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