デモクラシア・ソシアリスタ第1回大会

プエルトリコ
エコソーシャリズムを基軸に討論
危機のプエルトリコの特性も焦点化
デモクラシア・ソシアリスタ(PR)

 デモクラシア・ソシアリスタ(DS、社会主義的民主主義)第1回大会が、気候危機とオルタナティブとしてのエコソーシャリズムに関する討論をもって、8月第1週の週末サン・フアンで開催された。大会の議事は、「気候危機とエコソーシャリストのオルタナティブ」と題されたホルゲ・コロン教授による提起で8月5日に始まった。

直面する課題は
人類の生き残り

 公衆に開かれ、50人以上の参加の下に行われたこの提起は、論争、意見交換に向けた、さらに環境の防衛、エコシステムの保護、また再生可能エネルギーへの早期移行のために闘っている諸組織のメンバーと指導者の協力に向けた場へと転換された。
 DSのスポークスパーソンであるホルゲ・レフェブレによれば、大会の議論は既定の目標を超えた。彼は気候危機に触れながら、「仲間であるホルゲ・コロンは、われわれが今いると気づいている岐路をはっきりと示した」と語った。
 そして「資本主義のシステムの論理は経済が際限なく成長することを求める。経済が成長しない場合は危機が現れる。危機を回避しそれを克服する目的で資本主義が必要とする成長、市場の際限のない拡張、そして利潤の蓄積は、われわれに突きつけられている気候危機を生き延びるための民衆の必要とは対立している」と付け加えた。
 労組の指導者は「気候危機に直面する人類の生き残りは資本主義と両立不可能だ。この皆殺し的な危機が内包する破壊的作用が主として民衆的諸大衆、もっとも傷つきやすい社会グループ(女性、非白人、先住民衆、農民、グローバルサウスの人々、その他)によって感じられている、ということの認識をわれわれに可能にするのは社会主義の考え方だ。われわれは、人類が今投げ込まれようとしている文明的危機を生き延びるために、エコソーシャリズムのオルタナティブ、社会を組織し経済を計画化する民主的な形態を必要としている」と主張した。そして「あなたたちは、人類の生き残りが脱成長を求めている時に成長を求めるシステムを維持できない」と付け加えた。
 それに先だって、スペインのアンティカピタリスタの活動家であり、第4インターナショナル指導部メンバーであるアンドルー・コルの、同組織が国際情勢を分析した成果部分についての報告があった。国際的な危機は、「帝国主義間対立」と呼ばれるもので特徴づけられる。先週のナンシー・ペロシの台湾訪問で危険なほどまで悪化させられた中国と米国間緊張の高まり、彼ら各々の影響圏拡張をめぐるNATOとロシア間の衝突、そしてロシア軍によるウクライナ侵略が引き起こした戦争は、これらの対立の現れにほかならない。

経済危機貫く
歴史的特殊性

 付言すればこの大会討論には、フェルックス・コルドバ・イトゥレグルとイヤリ・リオスの両教授の参加があり、彼らは、現情勢に関する彼らの分析を明らかにし、プエルトリコ経済の深い危機がもつ構造的性格に光を当てた。そしてレフェブレは次のように付け加えた。
 つまり「2006年3月のいわゆる不況に現れた経済危機は、非常に複合的ないくつかの歴史的レベルを含んでいる。それは循環的な危機、資本循環に内在する諸矛盾の運動の結果、ではなく、異なった歴史的レベルにおける危機の蓄積の結果であり、その主なものが、1947年から1974年の工業化計画からなる黄金期に伴われた資本主義的農業と伝統的農業の崩壊、1974年から1985年の石油化学計画の崩壊、第936項(注)の最終的消滅で始まる製造業の職全部の事実上の半減だ。まったく偶然ではないこととして、2006年3月に始まったいわゆる不況は、936項の下で諸企業に与えられた便宜の時期の終わりに一致していた。そしてその時期は、それに代わる何らかの実行可能なオルタナティブを練り上げることなく問題の条項が消失することで終わったのだ」、とスポークスパーソンは語った。
 組織の政治委員会の一員であるレフェブレは、危機と、また資本主義それ自身と関係を断ち切るために、プエルトリコの危機についての分析を歴史的レベルでとらえることの重要性を強調し、「ある具体的な情勢の分析は、われわれの任務とわれわれの行動を導く羅針盤として、厳密でなけれならず、われわれに役立たなければならない」と訴えた。
 政治委員会は、レフェブレと共に、マリア・E・スアレス・サントス、ナタリア・サントス・オロツコ、マヌエル・ロドリゲス・バンクスから構成されている。(「プント・デ・ビスタ・インテルナシオナル」8月8日からIVが訳出)

▼デモクラシア・ソシアリスタは第4インターナショナル・プエルトリコ支部。
(注)米国の連邦税規定の第936項は、プエルトリコで操業する米国企業子会社が、それらの利益がプエルトリコからもち出され、米国に送られることがあったとしても、連邦の諸税をまったく納めなくてもよい、としていた。(「インターナショナルビューポイント」2022年8月19日)

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