イタリア 左翼、国民投票で勝利できず

階級的力関係逆転する闘い必要
権利とくらし守る闘争は戦闘的潮流建設通じ続く

デイヴ・ケラウェイ

変化求める仕組みの機能不全

 以下の国民投票が、より抑圧的な反労組諸法のいくつかを制限し、移民の市民権獲得プロセスを改善するために、主な労組連合と中道野党の公式左派によって推進された。
•正当化できる理由のない解雇の停止。
•労働者15人未満職場の労働者に対する法的な代償。
•短期契約をもっと難しくする。
•下請け化における健康と安全。
•市民権獲得プロセス10年の半減。
 投票は、1407万人(登録有権者は4599万人)で、投票率は30・59%だった。こうして、どれも必要最低投票率50%に達しなかったため5つの国民投票は敗北した。投票者のおよそ88―89%は労働法への進歩的な変更を支持した。しかしこれは、移民に関する市民権プロセスに対する変更の場合、33%下回った。
 この30年を通じて、9件の国民投票で最低投票率に達したのは1件だけ――公共財として水を守るための2011年の場合――だ。その時ですら政府は、広範な左翼と広大な草の根のキャンペーンによって求められた変更を実行しないよう策を凝らした。国民投票は、イタリアが多くの選挙に対し90%以上の投票率をもつような今とは異なる国であった1970年代と同80年代には、変化を求めるある種の民主的な仕組みとして、離婚や中絶の権利を合法化する上で効果的に機能した。

国全体で進んだ個人主義


 ナポリ近くの南部にある6万人の町ですら、市民社会がどれほど異なっていたか、筆者はそれを思い出している。イタリア共産党(PCI)の現地支部事務所は、党員に取ってだけではなく、左翼の立場に立つ誰にとってもひとつの軸心だった。当時町の広場は依然として政治的に生気があり、よく組織された大きな工場がもっといたるところにあった。1970年代の成果はまだ巻き戻されてはいず、新自由主義の緊縮はなおわれわれの先にあった。今日、すべてはもっと個人化され、商品化されている。
 今やPCI(あるいはどんな人)による当地の祝いのイベントはほとんどない。文化はもはや公的機関からの財源を多くは得ていず、大企業が管理する消費者向け見せ物にすぎない。私は、この記事のために国民投票キャンペーンポスターの写真を撮ろうと歩き回りながら、何であれ簡単に見つけることもできなかった。あらゆる選挙での投票が大きく落ち込んでいる。人々は、政党や労組に、あるいはかれらがかつて馴染んでいたような市民社会の団体にさえ加わっていない。政治プロセスへの不満は、現政府が例示する強硬右翼政治の台頭を助けてきた。
 メローニの連立政権は今回の国民投票の敗北を大いに楽しんでいる。以前の中道左派政権(マッテオ・レンツィが率いた)が実行した反労働者階級の諸々の労働法は今後も続く。ポストファシストの首相と彼女の連携者であるサルヴィニは、移民がより早く市民権を得るのを支持すると票を投じた人々の数が他よりもはるかに少数だったことを、特に勝ち誇った。それは、かれらのレイススト的反移民政策強化に向けかれらを力づけるだろう。資本の代表者たちは、勤労民衆を搾取する自由が追加的な制約なしに続くのを喜んでいる。

喜び攻撃への利用策す経営者たち

 投票所結果のTV報道を見守る中で、いわゆる独立ジャーナリストからのひとつのコメントが目立った。彼は、人々にこの結果は以下がすべてだと示していると語った。すなわち、CGIL(イタリア最大の労組連合のイタリア労働総同盟:訳者)がこの国民投票で再びかき立てたいと願った職場での旧式の衝突は終わっている、われわれは、歴史的に終わっているそうしたがらくたすべてよりもむしろ、賃金と生産性に焦点を絞り、どんどん進む必要がある、と。
 これは政権と経営者たちが欲している物語だ。政治を職場の外にとどめよ、それを技術の問題として議論しよう、人々は、階級闘争に関する時代遅れの話を復活させることに興味がないと示した、と。
 政権は、民主的なプロセスに参加するよりも、むしろ海辺に、あるいは山歩きに出かけるよう精力的に力づけた。メローニ自身は、投票所に出かけ、投票用紙受け取りを拒否するのをメディア上で見せつけた。法的にそれは正統な戦術であり、諸々の政府は異なった政治に基づいて、右翼が国民投票を組織した時同じことを行ってきた。
 それでもそれは、職場の大きな問題についていかなる議論であれそれを行うことへの拒絶を映し出している。ひとりの閣僚は、TVで質問に答え、国民投票が何に関わるものだったかを正確に語ることもできなかった。
 政府はこれらの国民投票を、政府に異議を突き付けるための策動として、またPD(元PCIの民主党:訳者)内の分派闘争として強く非難した。中道左派野党は、主要労組連合のCGILにより主導されていると責められた。そしてCGILは主要野党である社会自由主義のPDと強い結びつきを確保している。
 CGIL指導者のランディニは、今回の国民投票の主要推進者だった。彼は、50万筆の署名を確保するために労組組織を動員し、次いで票を引き出すためにこの数ヵ月イタリアを縦横にめぐってきた。
 政府と右翼勢力は彼の信用を落とすためにこれらの結果を利用しようと今非常な熱を入れている。彼が労働者の生活水準を守るための実質的な全国的ストライキ行動を導くことができずにきたとしても、かれらが欲していることは、紛争中の賃金契約をめぐって政府とのどんな衝突でも諸労組を彼が今後指導する可能性を、小さなものでも無効にすることなのだ。

PD内左右対立さらに激化か


 PD指導者のエリー・シュレインは2年前、彼女の地位を確保するために指導部へのより穏健な挑戦者と党の右派を負かした。彼女は、以前のPD指導者で首相だったマッテオ・レンツィの最悪の反労働者階級諸政策と自身を切り離そうと躍起となってきた。彼は、新自由主義の資本とのいわばいちゃつき的取引だったいわゆる法制定の近代化部分である「ジョブ法」を提案し、実行したのだ。それは、実際には経営者が特に制約されたわけではなかったとしても、限定的な保護を考慮に入れた進歩的な諸法のいくつかを取り除いた。
 リフロミスティ――今もレンツィの立場を支持しているPD右派多数派――は、「ジョブ法」変更に関し、イエス5票の党の路線に3票のノーで反対した。リフロミスティは、党員内部ではやや小さめの少数派とはいえ、重要な被選出代表を抱えている。たとえば、EU議会副議長のピセリノであり、彼は3つのノーを公然と唱えた。
 したがってひとつのレベルでは、確かに国民投票はPD内内部論争の一部でもあった。 私が驚かされたことに、シュレインは国民投票が終わる前にすら早くも、30%はよい結果だと思われると語るような予測を行っていた。どんな種類のスポーツ試合でも――政治的な勝負は無論――、人が前もって敗北を受け容れているならば、支持者を決起させることなど難しい。
 彼女が目標にした30%という数字は、国民投票が1250万人以上の投票者を確保したとすれば、それはメローニ政権を選出した数字以上になるだろう、と彼女が言いたかったがために決められた。政権は国民投票に反対したが、より多くの民衆が彼女の政権を支持して行った以上にそれらに票を投じた。それゆえこれは、メローニとサルヴィニにとってはひとつの敗北と言えるだろう、と。この線を受け入れる者は誰もいない。
 人がものごとをどのように合計するかによって、イエスの投票者数はメローニ支持に票を投じた数とほぼ同じになる可能性がある。しかし、全部の中でノーの票を投げ捨てることも、政権綱領の主な項目である市民権に関する票(イエスは9百万票だけで、中道諸政党はこれを支持した)を無視するわけにも行かない。
 市民権に関するイエス票は、確かにメローニを選出した数に満たなかった。移住は、将来の選挙キャンペーンでは労働諸法をはるかに超えてひとつのテーマになるだろう。シュレインはこれから、党右派からの怒りの反応に直面するだろう。かれらは今、彼女の国民投票戦略とランディニとの提携がブーメラン効果を発揮することになった、あるいはメローニに勝利を贈った、と語っている。

投票は中道左派に希望運ばず


 大きな問題は、この国民投票から野党あるいは政府が成果を得たのか、あるいは失ったのかだ。明確に、これらの数字は中道左派諸政党に多くの希望を、つまりまもなく何らかの時の選挙で右翼連合を敗北させるだろうとの希望を与えるものではない。人はこれらの結果を単純に総選挙に移し換えることはできない。しかし投票意図と市民権の問題は、野党にとって悪いニュースという結果になる。
 まさしく、国民投票実現のためのキャンペーンと選挙プロセスは、敗北以来ランディニが力説してきたように、これらの問題をテーブルに載せた。しかしながらそれは、中道左派諸政党のこの国における根付きと多数派を動員する能力における諸限界を示している。
 それはさらに、政権の密な統一に比べた野党内部の分裂をも白日の下にしている。コンテは五つ星運動(M5S)を率い、市民権には個人的にイエスの投票を行うだろうと語ったものの、公式の党の立場は全くなかった。レンツィのイタリアヴィヴァやカランダのアツィオネのような中道諸政党との何らかのもっと幅広い選挙連合に関しては、市民権を除いて両者共ノーに投票した。
 コンテのM5Sは南部に選挙における多くの支持を保持している.しかしこれは投票率が低かったところだ(20%代前半)。他方北・中央部のPDの領地では、投票率が平均以上(36・9%)だった。予想されたかもしれないが、投票率は大きな町や郊外地域で最良だった。労働者階級地域は契約に関する投票により多く繰り出した。他方もっと中産階級的な歴史的中心部は、市民権変更にもっとも多く票を投じた。労組組織が少なく中道左派の影響力が相対的に小さな町は、もっと大きな郊外地域よりも大幅に投票率が低かった。

結果は階級的力関係の現状反映


 結果を受けて、法廃棄の国民投票制度の有用性に関し、いくつかの討論が起きた。それは、中絶に関するようないくつかの肯定的な歴史的変革をもたらした。そして左翼は、水の場合のように大きなキャンペーンを築き上げるためにそれを利用し、また勝つこともできる以上、このプロセスの利用を全般的に支持してきた。
 しかしながら、1997年以後最低投票率達成がたった1回ということから、ある人びとは今もっと多くの参加を力づけるための投票率要件引き下げを力説している。一方右翼の側では、必要署名数引き上げによって国民投票実行をもっと難しくするという話がある。
 これらの票は、依然労働者階級には非常に不利なイタリアでの階級的力関係を反映してきた。労働者の権利と生活水準を守るための闘争は、諸労組と職場内の戦闘的潮流建設を通じて続くだろう。これが、下部労働者の諸労組およびCGIL内部を貫いて続いている。(2025年6月10日、「アンティキャピタリスト」より)

▼筆者はアンティキャピタリスト・レジスタンス内のソーシャリスト・レジスタンスと第4インターナショナル支持者。(「インターナショナルビューポイント」2025年6月11日)

  
 イランを攻撃した2日後の6月24日、トランプはイランとイスラエルを停戦させたと大々的に発表し、自分の攻撃がイランの核能力を破壊したことで、平和への扉を開いたと主張した。その後の数時間は、この停戦の不安定さと、盟友であるイスラエルに対するトランプの力の限界を示した。いずれにせよ、トランプは依然として戦争挑発者であり、破壊的勢力なのであり、平和的勢力などではないのである。
 イスラエルの攻撃から10日後にイランを攻撃し空爆することで、トランプは人類を殺人的暴力へと引き入れ、すでにネタニヤフが引き金を引いた暴力を増幅させた。トランプは、好きなときに好きな場所で好きな相手を攻撃できるとのだと装う軍事力を確認するためだけに、主権国家とその住民を攻撃する権利、子どもや大人を殺傷する権利があると考えたのである。
 ネタニヤフは、パレスチナ人民に対するジェノサイドにトランプから全面的な支持を受けて、レバノンやシリアへの爆撃を平然とおこない、自らの政府による植民地主義的・人種至上主義的政策を追求してきた。イランへの意図的な攻撃は、パレスチナ人民をはじめとするこの地域のすべての人民に対するイスラエル国家の侵略を強化することを目的としたものであり、ほとんどのアラブ諸国政府はこれを黙認し、欧米の指導者たちからは積極的な支持を受けている。
 イスラエル政府は、アメリカを含む欧米諸国と[イラン]イスラム共和国との間で進められていた交渉において、イランと核合意する可能性をすべて潰したかったのである。イスラエルの目的は、イスラム共和国に先んじてイランの核開発を阻止することであり、シオニスト国家が中東の支配者であると自己主張し、ウラン濃縮と核兵器の権利を保持できるようにすることなのである。
 この核問題の背後には、ネタニヤフが、ガザ地区とヨルダン川西岸地域の併合とパレスチナ住民の追放という彼の計画を自由に実行したいということがあり、彼はこの犯罪的計画に反対する国内の声だけでなく、世界中で活発化する大量虐殺に反対する民衆の動員をも沈黙させようとしているのだ。
 トランプ政権もまた、アメリカの経済的優位が揺らいでいるときに、国連やNATO、さらにはアメリカ議会から邪魔されないで、いつでもどこでも攻撃できる能力を通して、軍事力を再強化したいと考えている。社会的攻撃や予算削減を通じて、アメリカを経済不況に陥れつつあるこの政権にとって、戦争や戦争の脅しは、軍国主義政策を押し付けることによって国民を黙らせるためのイデオロギー的武器となっている。これは新たなエスカレーションであり、世界中のすべての人民にとっての脅威である。われわれは、アメリカ国内や全世界での動員によって、彼を止める必要がある。こうした狙いは、ネタニヤフが狙うものと同様に犯罪的である。
 イスラム共和国の独裁体制が始まって以降、イラン人民は社会的・民主的権利のために何度も動員の機会を追求してきた。最近では「女性・命・自由」運動もそのひとつである。イスラエルとアメリカによる攻撃は、生活条件を悪化させ、数百人の死者と数千人の負傷者を出し、経済および国民の生活条件の破壊の一因となり、政権の抑圧的政策をより強硬なものとした。エビン刑務所への爆撃は、そこに収容されている政治犯への攻撃であり、同じように都市部への爆撃は住民への攻撃なのである。
 われわれは、独裁体制に対する抵抗においても、外国の軍事的侵略から解放されて生きる権利においても、断固としてイラン人民とともにある。戦争や空爆によってイランの国や体制を破壊することに関心を持つのは、革命防衛隊や旧君主主義者の中ですでに欧米政府と手を結んでいる反動勢力だけだろう。彼らはそれを全く同じように抑圧的で反民主主義的な体制-欧米諸国と同盟関係にあるという点では違っているが-で置き換えようとしているのである。最近の戦争は、アメリカとその同盟国がイラクやアフガニスタンで遂行した戦争のように、常に人道的・政治的な大災厄という結果で終わっていた。
 イスラム共和国の打倒は、イラン人民自らがおこなうものであり、人民にとって同じように危険な体制の軍事行動によるものではない。核施設への爆撃は、住民と環境に甚大な被害をもたらす危険性がある。

*イスラエルとアメリカによる侵略の停止を。
*地域的エスカレーションの即時停止を。
*イランの人権擁護活動家との政治的連帯、および政治犯との連帯を。
*独裁体制に反対するイラン人民との連帯を。

われわれは、数カ月間にわたって要求してきた次のことを引き続き要求する。
*イスラエルへの制裁をただちにおこなえ。
*イスラエルとのすべての武器取引を即時停止せよ。
*パレスチナにおけるジェノサイドを止めるための世界的な動員を。

The KAKEHASHI

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社