クルディスタン オジャランのアピールの影響

平和か戦争か トルコは選択迫られる

サリー・アザド

 クルド労働者党(PKK)指導者、アブドラ・オジャランの、彼の運動に対するその武器を下ろすようにというアピールの後、クルドの人々にとっての展望はどうなるのだろうか? 「ランティカピタリスト」が、マルセーユのクルド民主センターの代表、サリー・アザドに聞いた。

トルコの今
は分かれ道


――オジャランの呼びかけをあなたはいくらか明らかにすることができるだろうか?
 目立たない話し合いは何度も進んだことがあり、建設的な成り行きを見せたこともあった。PKKは、武装闘争が唯一の選択肢だった冷戦を背景に1970年代に創建された。この闘争が、クルド民衆に対する、また何よりも彼らの正統な権利を求める闘いへの認知に導いた。
 2025年、条件は違っている。PKKは、その存在の中で「全盛時代をもった」ことがあるが、今日新しい章が幕を開けようとしているのかもしれない。トルコ国家にオジャランのアピールを傾聴する用意があるのならば、クルド問題がもはやテロリズムの問題とは見られないならば、平和に満ちた民主的な解決があり得るかもしれない。
 25年の間に2度、もっとも近いところでは2009年に、その両者も失敗だったのだが、オジャランはこの方向でいくつかの試みを行ったことがあった。トルコ(トゥルク単独の民族国家)は、1918年後の英国帝国主義とフランス帝国主義の利益だけに沿ったオスマン帝国の国土分割の結果だ。このモデルはもはや存続できない。中東での情勢を前提とすれば、トルコは分かれ道にあり、もはや現在まで追い求めた政策を続けることができない。
 トルコは、現状のままの終わりなき戦争かクルドとの和平か、選ばなければならない。これは簡単ではないだろう。この戦争は、両側で1万人以上の犠牲者を出してきた。また、5千の村が跡形もなく破壊され、国外追放と拷問が50年間も続いてきた。

――われわれはエルドアンを信用してよいだろうか?

 トルコには他の選択肢が全くない。トゥルクは、しかしクルドも、平和の中で暮らすことを切望している。

ロジャバの
維持が重要


――オジャランのアピールは、シリア内の、イラク内あるいはイラン内のクルド組織にも関係するのだろうか?

 当座は全くない。それらの戦略に関し自由に決めるのは、これらの地域内にいるクルドの任務だ。

――このプロセスがうまくいくならば、この地域への影響はどうなるだろうか?

 影響は極めて意味をもつ可能性も考えられる。われわれは歴史的な画期の間際にいるのかもしれない。しかし、ISISが今もこの地域にとっては生死を左右する危険なまま、ということを忘れないようにしよう。特に、アーメド・アルシャラアがアルカイダとISISを通じてシリア内で権力に到達した後では、また今もエルドアンから支援されているからには。
 あらゆる国籍をもつ何千人というジハーディストの囚人がシリア内の諸々の陣営に収容され続けていたが、今釈放の間際にある。何年もの間ISISのイデオロギーを吹き込まれたかれらの子どもたちは実体のある危険になる可能性もある。

――この脈絡の中でロジャバ「モデル」には何が起こるだろうか?

 ロジャバは、特にトルコの「反テロ」戦争が終わりになれば、その多民族的、多宗教的、かつ民主的な「モデル」を維持し続けるだろう。この和平プロセスがうまくいけば、「テロリスト」との烙印が消えるならば、クルド問題の全体は異なった性格を帯び、最後には施しを受ける可能性が生まれるだろう。今回は、われわれが長い間切望してきた自由な民衆のコミュニティに向かう最初の一歩になる可能性もある。それは、「クルド国家」ではなく、この土地に生きるあらゆる民衆、クルド、トゥルク、アラブ人、ペルシャ人、その他にとっての自由で世俗的で民主的な国家だ。

――大体においてあなたはむしろ楽観的、ということか?

 そうだ。私が楽観的、ということは認める。私が言ったように、トルコには他に選択肢が全くないのだ。そしてこの問題は、地域のおそらくイランのような他の国家に結局のところ作用を及ぼすだろう。それが、中東全体に対する私の期待だ。(「ランティカピタリスト」2025年3月7日)(「インターナショナルビューポイント」) 

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