デンマーク 赤緑連合の新路線
防衛強化 しかし何を守るのか
民衆の軍備増強反対の大きな声の可視化へ
ホーン・ヘッセン
6月7―9日、デンマークの左翼政党、エンヘズリステン(厳密には統一党、しかし英語では赤・緑連合で通っている)の約百の支部から選出された365人の代議員が、コペンハーゲンでの党年次大会のために集まった。主な政治問題は、党執行委員会多数派からの、「新時代の統一党の防衛・安全保障政策」と題された提案に関する討論と決定だった。
軍備増強支持
への扉を開く
提案には、党政策におけるかなりの変更が含まれ、それは、党が軍備を支持する方向へ扉を開けていた。それは以下の章句で表現された。
―われわれは、われわれ自身の力で立つことができるよう、有効な領域防衛に基づくわれわれの防衛能力を強化しなければならない。その防衛は、デンマークとデンマーク領域の主権を強化し、住民とわれわれのインフラを守ることができなければならない―
執行委員会からの提案には、党は軍備を支持はしない、となるような共通の筋道に基づく96もの修正案が出された。軍備に関する決定的な立場の問題にふれていなかった少数の修正案は、執行委員会によって組み入れられた。残りの修正は投票にかけられ、ひとつも採択されなかった。
その後執行委員会提案は、賛成250票、反対101票――FIデンマーク支部であるSAPメンバーを含む――で採択された。14人の代議員は棄権した。投票は秘密投票であり、誰が何に投票したかは誰も分からない。しかし思うに、軍備反対に票を投じた101人のおよそ半分は、ロシアの帝国主義的攻撃に対するウクライナの防衛へのデンマークの支援をも止めたがっている――SAPとは異なり――代議員たちだ。
もやが包む
埠頭の上で
「防衛と安全保障」に関して今採択された政策は、デンマークは気候災害、サイバー攻撃、感染流行、漁業管理、エネルギー供給、飲料水に取り組むことができなければならない、と述べている。
誰かそれに反対しただろうか? ノーであり、政策提案のこの部分は変更され取り消されなければならない、などとは誰も提案しなかった。
年次大会での決定的な対立は、採択された政策が「有効な領域防衛」と呼ぶものが何かをめぐるものだった。そしてそれは軍事支出に関わっている。採択された政策の中で、非軍事部分と軍事部分が「防衛」概念――党が強化したがっている――の中に一体的に混ぜ合わされている。しかし同時に、採択された政策の中には「デンマークが軍備増強スパイラルに力を貸さないことが決定的である」との章句が含まれている。
これによってあらゆることが不鮮明になり、党は霧の海岸に立っている。われわれが強化を必要としているものは何だろうか? 市民の心構えか、それとも軍備か? 党は何を言いたいのか? 回答は、そう言って良ければ、暗闇の中の1発だ。
尺度自体の
伸縮自在さ
大会討論の中で執行委員会と党議員団メンバーたちは、以下の主張で提案への批判に対抗した。つまり、新しい政策の意図は、社民首相を抱えた現在の中道右派政権との防衛合意に党が入ることは可能、あるいはそうすべき、ということではないと。しかしかれらの誰も、2026年を待たずに行われなければならない差し迫る選挙を経た新政権下でのそれを、除外しなかった。
党は、デンマークのGDPの3・5%あるいは5%への再軍備をどちらも支持しないだろう。しかし、政府とデンマーク議会の右翼間で行われた現在の合意に含まれているGDPの2%から軍事支出を増やすような、小規模な再軍備であれば党が支持することも可能、ということを誰も除外しなかった。
採択された政策は、再軍備に対する支持では少しもないが、しかしこの了解は採択済みの政策中には存在していない!
批判のいくつかは、大会発言の中で、党に適用されるのは書かれた文言だ、提案を支持する者たちの誰からであっても、年次大会での何らかの発言によってそれが変えられることはない、と強調した。
党指導部の下に
策動の余地残る
年次大会採択によって、党は今やゴム紐のような防衛・安全保障政策を抱えている。そこでは、党指導部(議員団と執行委員会)が軍備をどれだけ多くあるいは小さく支持できるかを解釈する自由を得ている。
党規約には以下の条項が含まれている。
―統一党の国会議員は党の基礎の上で指名され選出され、党の主要な機関と年次大会に説明責任を負う。重要な政治問題は、議員団と執行委員会の間で討論され、全員一致が追求されなければならない。不同意の場合は、問題は決定のための執行委員会に付されなければならない―
理論上これは、党議員団が軍備協定に参加しないことを党の執行委員会が保証できる、と示しているとも言える。しかしながら実際上これは実現しそうにない。年次総会が選出した新執行委員会メンバーの圧倒的多数は、年次総会が採択した政策に全面的に同意しているからだ。
再軍備反対の
大衆的表現へ
デンマークにおける軍備増強の一部は、基地を設立するための米国との新協定だ。赤・緑連合年次大会の2日後、デンマーク議会の圧倒的多数が、デンマーク本土に軍事基地を保持し、兵員を駐留させ、軍装備を保管する権利を米国に与える協定を承認した。この基地に関し米軍は、駐留兵士に対する法執行に責任を負うことになる。統一党、アルテルナティフェト、そして3人の無所属議員だけが協定に反対した――179票中合計で18票――。左翼改良主義のSF(社会主義人民党)は、かれらの15議席を使って協定支持の票を投じた。
この新基地協定に反対投票したのがデンマーク国会議員の10%だけだったとはいえ、軍備増大にはもっとはるかに大きな民衆的な反対がある。統一党年次大会の数日前、世論調査は、軍備にさらに多くのカネを振り向けることに有権者の35%が反対、と示した。
この立場はまだ、デンマーク議会外のデモや他の政治行動に表現されてはいない。年次大会で採択された新たな防衛・安全保障政策は、軍備反対の抗議行動を組織するイニシアチブが今後この方向から――少なくとも党指導部から――生まれる、ということを示すものではない。他の者がこの任務を取り上げるかどうかはときが示すだろう。
実体ある世界では、軍備の敵対者が抗議を組織しそれを目立たせることがなければ、この空間は軍備支持者だけによって埋められるだろう。(2025年6月25日、「インプレコール」のフランス語記事からIVが訳出)
▼筆者はSAP全国執行委員会メンバー。(「インターナショナルビューポイント」2025年6月27日)
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