パナマ:中南米での闘いの震央今ここに
民衆が政府と全面対決
重大な局面迎えた闘いに強力な国際的連帯を
ホセ・カムブラ/ルイス・ボニラ・モリン
国際的情報封鎖下の激烈な闘い
420万人が暮らす小国が今、金融資本とハゲタカファンドに立ち向かうことは可能だ、と21世紀の30年目にラテンアメリカと世界に示している。
ほんの2日前、政府の弾圧で重傷を負った12歳の少年の血が、対立が新たな段階に入りつつある、と示した。その少し前、強力な建設労組の主な指導者であるサウル・メンデスが、いわば戦利品としてさし出され、投獄されるのを避けるために、ボリビア大使館に難民申請することを迫られた。
その投獄は、以前の政権がすでに組合費を没収したことのある労組に、他の2人の指導者、ゲナロ・ロペスとハイメ・カバレロがこの国の一般犯罪者向けの最悪の刑務所に送られる形で起きたことであり、新大統領が、その組合本部に対する最近の手入れやその協同組合の閉鎖を使ってまで維持し続けている方策だ。ストライキ中の教員数千人がこれまでに賃金名簿から外され、他の多くは、不法に無給休暇にされている。
これは、国内の同じことに対応した印象的な世界的メディア封鎖の真ん中で起き続けている。そしてそれが、世界の社会運動と民衆がこの小さな中米の国で今起きていることを知るのを妨げているある種の情報遮断幕をつくり出している。
環境めぐる重要な反乱を起点に
2023年、パナマにおける教員の運動と全体としての労働者の高まる諸闘争の一時期を受けて、21世紀においてこれまでで世界で最も重要な民衆的な環境保護の反乱が起きた。教員、建設労働者、バナナ労働者、先住民コミュニティ、若者、女性、環境活動家、諸々のコミュニティ、さらに幅広い中産階級の層に率いられた数週間の決起と国の麻痺化を経て、ひとつの決定が最高裁から勝ち取られた。それは、多国籍企業のファースト・クオンタムの操業停止、および民衆的反乱を生み出してきた鉱山の閉鎖を命じていた。司法のこの決定はパナマ議会内で到達した、環境破壊を引き延ばそうとしたまがいものの合意をひっくり返した。
公的権力のそのような逆戻りは、国の最も重要な交通ルートをたまたま止め、資本の諸部分の利益に影響を与えたような、民衆的な環境的反乱に対する、パナマ・ブルジョアジーの怖れによって引き起こされている。前例のない環境の勝利が起きた。
パナマブルジョアジーと金融資本の対応は、2024年の大統領選に、腐敗したマルティネッリ(2009―2014年に第36代大統領、2023年にマネーロンダリングを理由に10年以上の懲役刑を宣告された:訳者)政権の元内務相で、パナマ航空業、メディア、さらに他のビジネス活動の大者であるモッタ氏のお気に入りであるホセ・ラウル・ムリーノを公認することだった。彼の設定課題は、環境反乱以前の支配の取り戻しを可能にすると思われる新たな政治情勢を作り上げること、国内で金融資本の利益を拡大すること、さらにホワイトハウスでの差し迫るトランプ新政権が抱える新植民地主義の課題設定に応えることだった。
ムリーノ大統領選出の新しさは、議会への無所属議員の大きな集団の到来だった。かれらは、自身のための余地をつくるために民衆的反乱の波を利用していた。新たな政治情勢をつくり出すという有権者の意図を示したこの議会刷新は、この新たな議会派閥の半分によりすぐさま裏切られた。かれらは、僅か34%の得票率で選出され、議会の過半数を欠いたムリーノの反動政権と早々に合意に達したのだ。
この新たな力関係が、法462号の承認に彼が進むことを可能にしている。ちなみにこの法は、パナマ労働者階級の年金制度と退職制度に、かれらの俸給の約60%での退職から30%かそれ以下での退職に向かうというような、新たな後退をつくり出すものだ。それはまたパナマの裕福な家族に、年金資金を何とかやり繰りし、それらの金融市場投機への投入を可能にする余地をも与えている。
加えてムリーノ大統領は、最高裁決定を迂回しつつ、鉱山開発を再開し、ファースト・クオンタムの操業を改めて可能する、という意図も公表している。こうして、憤激がパナマのあらゆる領域に根を下ろした。
問題をさらに悪化させて、トランプの二期目就任の到来が、パナマ運河に対する支配の位置に戻るというはっきりした意図を伴って現れている。そしてそれは、ムリーノ政権の承認を感じ取っているものであり、3つの米軍基地の再開を可能にするある種の合意を知らせている。しかしその合意は、憲法の規定によってパナマは軍を保有していないという事実、また2国間で施行されているひとつの協定が1999年後半以来そのような外国軍の存在の終わりを確定してきたという事実、に反しているのだ。
こうして、この国の政府の隷属情勢が形成されている。それが、最終的に抗議行動の新たなサイクルの口火を切ることになっている事実だ。
5週間の全国ストが全面対決へ
4月23日にストライキを宣言した最初の主体は教員たちだった。かれらは、法462号が撤回され、鉱業閉鎖が保証され、米国との軍事上の基本合意書が取り消されるまで、教室に戻るつもりはないと公表した。これに際しては、数千人の父親、母親、また家族が学校や学部で、かれらの子どもたちの教員によるストライキを支持する、と諸々の総会で決めたという次々に続いた現象があった。
80年代にノリエガにより学校単位の団体が弾圧されて以来、あらためて高校生の決起が再現している。他方パナマ大学は、学舎を、愛国的憤激を支持する断固とした行動の場ではなく「交渉の場」に変えるという試み、および闘いの諸行動を理由とした、当局による一学生の排除という不可解な汚点があるとしても、集会、宣言、また巨大行進の震央になっている。
バナナ労働者と強力な建設労組の紛争参入と一体となった毎日の教員と教授の決起が、国の内陸諸州住民全体の闘争への合同を生み出してきた。これが、デモ参加者の数と質を高め、そしてそれが、ムリーノ政権に社会運動に敵対するこの数十年では前例のない弾圧をほしいままにさせた。毎日の数百人に上る負傷と逮捕も抗議行動を止めるにはいたらず、反対にそれらは抗議行動を増大させた。
先住民コミュニティが紛争に入ると、弾圧は、特に先住民女性と子どもに対し無慈悲になった。政府の弾丸によって重傷を負った12歳の未成年と大学生が示した尺度が露わにしていることは、われわれが鉄拳政権を前にしつつある、ということだ。
それは、その非道な計画を進める目的で、その主要な組織を取り除くことを可能にするような社会運動に敗北を加えようとしている政権だ。それは、その権限に対する市民の支持率が10%以下といくつかの世論調査が発表した時、その支持率がたとえマイナス50%でも気にしない、と公然と言い放ったような政権なのだ。
今週、紛争は決定的な段階に入っている。その中で政府は今、この抗議運動が次の数日で静まることを期待しながら、疲れを誘う目的で時間稼ぎゲームの勝負に出ている。しかしながらあらゆることは、諸々の決起には国の麻痺化が続くだろう、と示している。そしてそのためには、国際的な連帯の声を積み増すことが必要だ。
一貫した広範な連合の追求
諸々の抗議活動を駆り立てている社会運動の連合であるアリアンザ・プエブロ・ウニド・ポル・ラ・ビダ(命の連合のための民衆連合)は、ムリーノのネオコン的かつ新自由主義的攻撃に立ち向かうひとつの広範な社会的戦線を構築してきた。
教員、労組、環境団体、またコミュニティの連合は、以下のことを示している。つまり正しい道は、諸闘争で前進し、金融資本や採掘主義者の諸政策や北米の新植民地主義を打ち負かすための、幅広い住民参加を生み出す目的の下に、労働者階級を防衛する民族主義者と愛国的勢力の間の連合を築き、部門別の闘争を超えて進むことだ、と。
ブルジョアジーは再び帰路に
パナマブルジョアジーが再び直面している矛盾は、2023年の時と同様、年金資金と鉱業投資を求める金融資本の強欲か、それともブルジョア体制それ自身の安定性か、の間で決断することだ。かれらはその理由から、反乱の粉砕にこれまで賭けてきた。しかしかれらがそうすることに成功しなければ、かれらは後退するか支配を失うかの間で決断することを迫られるだろう。
力をもち裕福な頂点にある者たちの組織は、民衆との接触をしだいに低下させ、かれらが所有するメディアのプロパガンダにますます全力を注いでいる。この状況がどれほど続くか、が鍵を握る問題になっている。
大統領権限の取り消しへの動き
街頭で響き始めつつある中間的な解決案は、大統領権限の取り消し、そして新たな選挙、という可能性だ。しかしこれには、この取り消し行為が全く整えられていない、という法的な障害がある。しかしながら、これを実現させようとの法的なイニシアチブが、市民からの高まる共感を付随させて、進み続け、ひとつの方向になっている。
ムリーノの解任がもうひとつの法的な方向だ。つまり、米軍基地の再開を容認している屈服的覚え書きが原因で国家の国際的な魅力的個性が侵害されているという理由で、アリアンザ・プエブロ・ウニド(統一民衆連合)が提出した告発に議員総会が応える、というような方向だ。
コミュニティの参加が2023年のレベルに達するならば、パナマ憲法内に確立された規範を根拠に、現大統領に対する裁判を開始することを可能にすると思われるような、新たな力関係を形成することも可能だと思われる。
これは、法462号を逆転させ、鉱山再開を無効にし、米軍基地の再開を容認した覚え書きを取り消すことを可能にするだろう。しかしこれは、民衆的な決起を維持し拡大する枠組みの中ではじめて実現する可能性が生まれる。したがって、ものごとの成り行きにとっては今後に続く時が鍵を握るだろう。
国際的連帯強化呼びかけが始動
この劇的な情勢の真ん中では、国際的なレベルにおける社会運動と教育運動、また民主的で進歩的な諸勢力から、幅広く多元的な国際的連帯が必要になっている。われわれは、この時にパナマ人民を孤立させてはならないのだ。
この理由から社会運動は、他の重要なイニシアチブの中でも、この6月9日の、各国のパナマ大使館と同領事館前における、抗議行動とパナマ人民の闘争と連帯する宣言手交からなる世界規模のキャンペーンに乗りだしている。これは、大手ニュース機関が形成してきた報道封鎖を破り、交流とオルタナティブな連帯の重要なネットワークを確立することを可能にするだろう。(2025年6月2日)
▼ルイス・ボニラ・モリンは、ベネズエラ大学の講師で、ベネズエラ比較教育学会会長。またホセ・カムブラは、パナマの労組指導者のひとり。(「インターナショナルビューポイント」2025年6月3日)
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