ポルトガル 左翼ブロック、議会選で大敗
党の前に辛い選挙が残した難問
労働者階級の分断に抗し4月の成果守る
左翼ブロック全国委員会
5月18日の国会議員選挙はポルトガルの左翼ブロックにとってひとつの大惨事だった。極右が保守派政権に対する主な野党として社会党に置き換わった。そして、今や改憲をせき立てるかもしれない。すべての左翼政党が敗北したが、どれも左翼ブロックほどの敗北ではなかった。その得票は崩壊し、共和国会議(議会)に確保していた5議席のうち4議席を失った。左翼ブロック指導部は、以下の全国委員会決議で、全国的な流れと党のキャンペーンを起点に将来に向けての回答を見つけ出すために、今回の議会選挙結果を点検している。(アダム・ノヴァク)
あわてず議論深めるために
左翼ブロックは共和国会議の選挙で史上最悪の結果になった。ブロックは、懸念をもってこの結果に向き合っている。そして犯した過ちをただし、あらゆる活動家、さらにまた無党派の人々の声をしっかり聞き、この政治的構想とその社会的介入とそのオルタナティブの影響力を保証する路線を練り上げるために、それを党に可能とするような総括を実行するつもりだ。
この過程は、あわててやることでも、単一の説明要素を見つけ出すことでもない。それには、時間、他者への低姿勢、開かれた精神、そしてわれわれが集団的であってはじめてこれから発見できる道筋を見出す上での有用性、を必要とする。
社会党の左に位置する諸政党の総得票数はこれまでで最低だが、この総計に社会党を含めても同じことが当てはまる。これらの敗北――ブロックと全体としての左翼の――は、この国を重大な危険の前に置いている。それらを理解する上では、今回の選挙の大惨事を決定した諸要素を、また各政治勢力に特定的なものが何かを研究することが必要になる。
この決議は、いくつかの国内かつ国際的な政治的制約とその影響、特に首相の策動、移民を政治論争の中心につくり変えたことの影響、さらにまた戦争への怖れを議論している。それはさらに、われわれのキャンペーンに関する一定の考察にも取りかかっている。
選挙を支配した全体的政治状況
自身がもっぱら犯した職務違反後に首相によってつくり出された政治危機は、政治環境の劣悪化に力を貸したこのところの統治の中にあるいくつかの先例に基づくある種の策動だった。それは、モンテネグロ(社会民主党の現首相、政府形成のため、民主社会同盟―人民党と「民主同盟」を形成:訳者)にとり成功だったと分かり、彼に主導権を取る能力を回復する余地を与えた。IL(リベラル・イニチアチブ)とシェーガ(極右の新勢力)と一体的に改憲を認めるという意味における彼の最初の示唆は、未確定の有効性に関するひとつの声明で覆い隠されたとはいえ、4月(カーネーション革命と称された、サラザール独裁体制を打倒した1974年の革命:訳者)の民主的な達成物のいくつかの支柱に対する、紛れもない、また極度に深刻な脅威だ。
移民の主題により政治論争の中心が占められたことは、左翼の敗北においてひとつの重要な要素だった。ポルトガルは、社会的構成と労働者階級の相貌における最も底深い転形を経験した。僅かの年月で、外国人労働者の数は10倍に増大し、稼動人口の約3分の1に対応している。この新しい労働者階級に関連する一定の部分は、ポルトガル語を話す国から来てはいない。
この全体構図の中で、諸々のサービスと社会的な統合に向けたサービスの欠陥、さらに、住宅、公共サービス、また言語利用における包括的対応への投資不足が、極右の作り話に力を与えた。これは、新しい立法を正当化する点で政府によって取り入れられ、このテーマに関する社会党の後退によって補助的に正統なものにされた。
この作り話は、いくつかのメディア発行体の興味本位主義によって、またソーシャルネットワークを通した大衆操作によっても広められた。事実極右は、移民を、住宅から病院までの住民の生活苦すべてに対する説明へと変えることができた。
ブロックと他の諸政党がこの現実のひとつの成り行きとして罰を受けた。教訓は、反レイシスト、および反ファシストの戦闘的行動、共有された統一的な場の創出、権威主義とヘイトスピーチによって争いの場にされた民衆領域への介入が中心であり続ける、ということだ。
決定的なことは、外国人労働者に労働組合を開放し、社会的憤激を高めるために違いを利用しようとすることを妨げるような包括的な仕組みを作り出すことだ。労働者階級の分断に反対する戦闘は今日も明日も不可欠になっている。
トランプの再選は、国際政治に対しいくつかの結果をもたらし、それは極右を押し上げている。先ず第1にそれは、ガザでのジェノサイドを推し進め、国際的圧力、南アフリカのようなパレスチナ人のジェノサイドを糾弾する対抗的政権に対し、ネタニヤフを難攻不落にしている。
第2にそれは、プーチンとの連携を追求する。第3にそれは、ドイツと他のEU諸国の選挙に米政権を直接巻き込むある種の反動インターナショナルの位置を高めている。それは、その同盟国やパートナーの服従、また中国との衝突からなる経済政策として関税を利用している。
この国際的な流れの中で、左翼ブロックは、特にこの新たな枠組みにおける高まる軍国主義の下で、1年の間に確かめられた右への転回を目立たせることの危険を確認した。これは、怖れをつくり出し、政治を右へと動かし、EUの兵器競争とNATOへの服従を受け容れるよう中道政党を導いている。
ここに見てきた3つの要素――2022年に社会党に絶対多数を与えたような安定性に関する主張を取り入れた民主同盟の仕掛けの策、あらゆる全国政策を確定するような移民問題の中心性、そして軍国主義プロパガンダへの怖れ――が、今回の総選挙の全体的流れにおける決定力をもった要素だった。
憲法への脅威迎え撃つ対応へ
5月18日に起きた最大の変容はシェーガの成長だった。この結果は、2024年に棄権からそれが取り戻した支持者を維持する能力を見せつけ、特に経済的に落ち込んだ諸地域、内陸地域、元工業地帯の区域を貫いて支持者を増大させた。シェーガは、予想できるように議員数で第2党に位置を高め(国外移住者選挙区票の集計はこの結論になるはずだ)、政府と効果的に争いはじめている。この新しい情勢は、民主主義を実行する諸条件の全般的劣悪化になるだろう。それは、議会と社会の両者におけるもので、前者ではシェーガが何年もの間、疲労困憊させるような論争と表現の条件からなる戦略を展開し、後者では、レイシズム、性差別、トランス排撃、ホモ排撃の暴力と全体としてのファシスト的暴力の陳腐化によるものだ。
国の南部とセトゥバルで多数派になることにより、またあらゆる地区でその票を強化することにより、極右は民衆の票を獲得している。そこには以前は左翼諸勢力に表現されたものの多くが含まれている。シェーガはこの代表表現に基づいて、その周辺で動いている犯罪集団の行動と接合されたその外国人排撃と反民主主義キャンペーンを悪化させるだろう(シェーガからすぐさま賞讃された、ネオナチゴロツキによる4・25デモ〈カーネーション革命を記念したデモ:訳者〉への攻撃がその1例)。
新たな議会構成の中で、3大政党のどれもより小さな政党との間では過半数を作れない。しかしながらはじめて、社会党の右に位置する諸政党が3分の2を超えている。それはかれらに改憲を進める余地を与えている。
この事実は、現在の政治情勢の中で中心となり、トロイカ下での年金攻撃や選挙法見直しを求める提案の双方、またストライキ権に関する直近の声明における、改憲に関する社会民主党の歴史を考えた場合、憲法体制の退行的変更という本物の危険を形成している。ILとシェーガはすでに彼らの意図を公表している。左翼ブロックは、4月25日憲法の文書と価値の中に、諸々の自由の防衛と憲法がしっかり保持している保証の中に自らを見ているあらゆる声と諸政治勢力の統一された表現が不可欠、と考える。
左翼ブロックにとって目的は、ファシスト、外国人排撃の波、あるいは右翼と極右のあり得る危険な結合、あるいはモンテネグロの統治に対する社会党の支持に抵抗することだけではない。ブロックの目的は、再び浮上し、回復し、連携を作り上げ広げ、そして決意をもってわが人民のために闘うことだ。
ブロックが行ったキャンペーン
われわれは新しい政治的環境の中で、われわれのキャンペーン・モデルを改訂した。こうしてわれわれは、民衆的な論争で争うことを追求して、僅かの不可欠なテーマに焦点を絞ると決め、そこに最大の可視性を与えた。そのテーマは、家賃上限、交代制労働者の権利、資産課税だ。
われわれは、公共サービス、平等、外国人排撃の拒否、あるいは反戦といった、ブロックのアイデンティティをつくっている他の綱領的な戦闘を放棄することはなかったが、われわれのブランドになると思われた先のテーマに集中した。またこのやり方の中で、われわれは統治能力に関する空虚な議論を避け、住民のかなりの部分にとっての暮らしの変化を可能にすると思われる方策、またどんな環境でもわれわれの議会の代表がそのことで争うことになる方策に向きを定めた。
この政策は効果を発揮した。家賃上限問題は、政治論争の中で重要となり、われわれの敵対相手すべてに自ら意見を表明するよう強制し、住宅危機に関する益々警報的になるニュースによって強化され、住民の一部によって確かな対応として認められた。それは、わが人民の暮らしにとって最も重要な闘いのひとつであり続けるだろう――自身の家を買っている労働者家族の過半でさえ、かれらの子どもはそうできず、家を借りることもできないと分かっている――。
交代制労働者に関する提案は、何千人もの労働者から支持された。しかしながら、上述の全体的な流れの中ではどちらも選挙の巻き返しに推力を与えるものにはならなかった。
第2に、われわれのキャンペーンは戸別訪問作戦を通した直接接触という脱中央集権的イニシアチブを奨励した。われわれは2万軒以上に出向き、将来原則になるような政治行動形態をはじめた。われわれはこれを、国中で違いをつけたやり方で行い、若い活動家や新旧の支持者を動員した。そしてかれらは、キャンペーンの観客としてではなく直接に、どうすれば議論が可能になるかを確かめた。同じ理由からわれわれは伝統的な集会を、全員との対話に開かれた「コーヒー会話」で、また創造的で活力のあるパーティーや公開会合で置き換えた。
第3にわれわれは、党の創建者の立候補も含めてわれわれの総力を動員した。これらの立候補は選挙上の効果はまったくなかったものの、より大きな地区でのキャンペーンにエネルギーを注ぎ戦闘性の点で効果を発揮した。
しかしこれらの選択はわれわれの選挙の全体を逆転することはなく、ブロックは最悪の敗北を喫した。そしてブロックは、選挙総括に関するこれからの討論が過ちを識別することを可能にし、言及された問題を超えて、交流モデル、組織化形態、キャンペーンの訓練、汚いキャンペーンに対する妥当な対応、あるいはこの戦闘の他の諸側面を細かく検討することを確認した上で、われわれがこの選挙にもちだしたもののための闘いを止めない、と明確にする。
すなわちそれは、民衆的住宅政策、不平等に反対し平等を求める労働者の権利、公共サービスの保証、ファシストの脅威との対決、そして民主的な暮らしとそれを守る憲法の支配を防衛する統一、これらのための闘いだ。
左翼再建に向けた闘い新たに
左翼ブロックは、6月13、14日の両日にポルトで、左翼ブロック、不服従のフランス、左翼連合(フィンランド)、ポデモス(スペイン)、赤緑連合(デンマーク)、ラゼム(ポーランド)、そして左翼党(スウェーデン)を結集する新たなEU政党、「人民と地球のための欧州左翼連合」の創建大会を主宰する。
極右の前進、および社会的、環境的、さらに国際関係の危機は、グリーン、フェミニスト、そして反レイシストのEU左翼のもっと有効な協力を求めている。左翼ブロックは、この新しい連合に注力し、論争と学び合いのこの機会への積極的参加に支持者と共鳴者を招待する。欧州のまた国際的な他の左翼勢力の参加に、また諸運動と社会活動に開かれたこの大会でわれわれは、連帯活動の新たな形態を創出し、反資本主義と反戦の具体的な決起行動、極右への抵抗、左翼の立場に立つ社会的多数派の回復を準備するつもりでいる。
左翼ブロックは、地方選に向けた立候補を準備し続け、カルロス・モエダス(リスボンの社民党市長:訳者)を打ち負かすための、社会党との間であろうが、左翼の地方的オルタナティブをはっきり主張するためだろうが、リスボンにおける左翼の合流に向けた綱領的な申し合わせへのその献身を改めて断言し続けるだろう。左翼ブロックがすでに立候補を提出済みの自治体議会であっても、可能な時はいつでも、ブロックは、共産党やリブレ党やPAN(人民・動物・自然)、また市民運動との間の合流の歩みに対するその有用性を維持している。
全国委員会は、選挙の間中、また選挙後の日々で確かめられた数多くの若者との確かなつながりを前提として、「自由キャンプ」への参加を求めるアピールを繰り返す。それは、国の中央部で7月24―27日に行われる予定だ。これと、政治的な編成と論争からなる拡大された諸会合、たとえば8月29、30日開催予定のソーシャリズム2025は、この国の生活のこの新しい局面では決定的になる。
全国委員会は、新たな政治情勢とブロックの厳しい選挙敗北を前に、11月29、30日の全国大会呼びかけを始めると決定した。これは、国内政治環境の変化、今後の年月に向けた路線の明確化と底深い考察の必要は、2025年1月に始められた歩みの単なる結論として扱われてはならないことを前提に、それゆえ選挙を理由に保留された過程を再開しようとするものではない。その1月には、議会選は想定されておらず、またトランプもまだ就任していなかったのだ。この決定に基づいて、路線の動議の提示に向け新たな時期が始まり、選挙権と被選挙権をもつ支持者の広がりが最新化される。(2025年5月24日、アダム・ノヴァクがエスクエルダ・ネットから訳出)
▼左翼ブロックは、第4インターナショナルポルトガル支部と他の2潮流によって1999年に創建された。(「インターナショナルビューポイント」2025年5月29日)
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