米国　パレスチナ連帯運動弾圧

2025年4月9日 2025年4月9日

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言論の自由守り逮捕者解放へ

ダン・ラボッツ

　ハリル逮捕は
　徹頭徹尾不当

　この数日、米国中で数千人がマフムード・ハリルを支持してデモに立ち上がってきた。彼は、移民、パレスチナ人、パレスチナ連帯運動、大学、また学問の自由と言論の自由に対するトランプ大統領の攻撃を象徴する一個人になった。
　トランプは、移民関税執行局を使ってマフムード・ハリル――シリア生まれでアルジェリア市民権を持つパレスチナを出自とするコロンビア大学大学院生――を逮捕していた。そして彼を国外追放することを計画している。「親ハマス」、テロ支持者、また反ユダヤ主義であると彼が告発してきた親パレスチナ活動家たちの、そうした逮捕が今後辿ることになると大統領が語るものの最初としてだ。
　この事例は特に衝撃的で脅威になるものだ。コロンビア大学での親パレスチナデモ指導者だったハリルは、彼に合法的な米国居住を認めるグリーンカードを保有し、妊娠８ヵ月になる米国市民のノール・アブダラと結婚しているからだ。
　いかなる犯罪歴もないハリルに対しては、刑事容疑など一切かけられたことがない。政府は、彼のハマスやテロへの支持とされていることに対する証拠を何も示さなかった。大統領の報道官は、ハマスの観点を売り込みハマスのロゴが入った、彼が配布したとされたリーフレットを複数国土安全保障省がもっている、と語った。しかし、それらは未だ公開されていない。
　彼は今、１９５２年のマッカーシー時代の法、元々は米政府が共産主義者シンパと信じるホロコースト生存者のユダヤ人を国外にとどめることをめざしたマッカラン―ウォルター法の下で告発されようとしている。国務省は、ハリルはいくつかの形で米国の外交政策を危うくしていると力説する。しかし彼の弁護士が言うように、かれらが彼を国外に出したがっている理由は、彼がパレスチナ人には人権があり、イスラエルは今ジェノサイドを犯していると信じていることにあるように見える。
　ハリルは逮捕後、彼の家族、弁護士、コミュニティ、さらにパレスチナ連帯運動が彼を支えるのをもっと困難にするために、ルイジアナ州ジーナのラサレ拘留センター――ニューヨークシティから１３６０マイル――に送られた。それはまた、彼の事件をあからさまな右翼の第５巡回裁判区で審理させる策動でもあった。問題は今、ハリルが受ける審理がニューヨークになるか、ルイジアナになるか、だ。

　民主主義が
　試練に直面

　今、２人目としてのパレスチナ人コロンビア大学学生活動家のレッカ・コルディアも、内務省から彼女のＦ―１学生ビザが期限切れと告発され逮捕されている。さらに３人目の外国人学生、インド人のランジャニ・スリニヴァサンも、「ハマスを支持する活動に」参加したとされ彼女の学生ビザを取り消された。トランプは、親パレスチナ連帯運動を弾圧できなかったとして、助成金の４億ドルを取り消すことでコロンビア大学に罰を与えた。
　パレスチナ人グループ、移民諸組織、人権擁護団体、学生グループ、進歩的諸組織、また左翼諸組織からなるひとつの連合が、ハリル支援のために形成された。ニューヨーク、ミシガン、イリノイ、カリフォルニアではほとんどが大学構内で、彼の釈放を求めるいくつものデモが起きた。ニューヨークシティでは、「君も運動を国外追放はできない」「ファシズム反対はユダヤ人の伝統」「だれに対しても二度と決して」と書かれた横断幕を携えた「平和を求めるユダヤ人の声」メンバー３００人によって、トランプタワーのロビーが占拠された。警察は退去を拒否した抗議参加者１００人を逮捕した。
　米国史上で最高位のユダヤ人公職者のチャック・シューマー上院議員は、「確かに私は、マフムード・ハリルの観点には同意できないし、それを嫌ってさえいる。しかしわれわれには米国で自由な言論がある。そしてそうならば、政府が彼が法を破った……と証明できないなら、かれらは起訴を取り下げなければならない」と語った。
　それに対しトランプは、「シューマーは私に言わせればいわばパレスチナ人だ……。彼は以前はユダヤ人だったが、もはやユダヤ人ではない。彼はパレスチナ人だ」と言明した。ユダヤ人とパレスチナ人の諸組織はトランプの見解を糾弾した。
　ハリルの事件は、米国の民主主義にとって、特に学問の自由にとってひとつの試練になり、移民にとっては重大なものになっている。われわれは、彼を守りわれわれの権利すべてを守るために闘い続ける必要がある。（「インターナショナルビューポイント」２０２５年３月18日）　　