米国 全国労組10労組、反トランプ抵抗呼びかけ
勝利できる、人々に示し行動へ
ナターシャ・エレナ・ウニマン
移民労働者逮捕
への反撃訴えて
全国労組の10労組と3百万人以上のメンバーを代表する数十の支部が、最近になって移民関税執行局により連れ去られた移民労働者の解放を求める共同声明を出した。
同声明が名前を挙げているのは、組織化活動への露骨な報復のように見える形で検挙された、農場労組指導者の「レロ」・フアレス、家族を訪れた後の帰宅途中に拘留された、ワシントン大学実験技師でSEIU(国際サービス従業員労組)925支部メンバーのリューリン・ディクソン、連邦機関による拘留がぞっとするような短期間で許可された、大学院生でSEIU509支部メンバーのルメイサ・オズトゥルク、エルサルバドルの悪名轟く総合監獄に送られた、SMART(板金・エアメイル・貨物労組)100支部の養成板金工、キルマル・アルマンド・アブレゴ・ガルシア、そして妊娠8ヵ月の妻の面前で連邦機関により連れ去られた、全米自動車労組2710支部メンバーのマームード・ハリルだ。
諸労組はさらに、雇用主、大学管理当局、また地方政府に、協力の拒絶を訴えている――そして被選出公職者が「かれらの本来職務に気づく」よう求めて――。
前米電気労組(UE)代表のカール・ローゼンは、トランプは今、「政府が抗議行動と異論派への抑圧に力を入れていた」時代の米国史における他の時の戦術を反復している、と語った。
1919―20年のパーマー・レイド(時の司法長官のアレキサンダー・ミッチェル・パーマーの下で司法省が行った左翼狩り:訳者)の中では、移民の左翼や労働者活動家が逮捕され、主にイタリアや東欧に国外追放された。1940年代後半と同50年代のマッカーシー時代には、共産主義者とされた連邦の労働者、ハリウッドの労働者、研究者、労働運動指導者が解雇され、ブラックリスト化され、下院に呼ばれ、時には投獄された。
ローゼンは「住民のある一部が標的にされれば、それはそこでは止まらないはずだ」、「それは最後は、公正を求めて立ち上がろうとするすべての米国人と労働運動を敵として使われることになる。だからわれわれは、『われわれはこれに抵抗するつもりだ』と言って他の労組と合流できて嬉しい」と語った。
全国労組連合の
沈黙破る共同へ
労働者、移民労働者、大学労働者、さらに言論の自由に対するトランプによる一斉攻撃を前に、現在まで、1400万人の組合員で代表されている組織された労働者階級は、ほとんど無言のままとどまり、あるいは各労組の個々の闘いに焦点を絞ってきた。
この共同声明は、この攻撃に抵抗するもっと協調の取れたまた直接的行動への先触れになる可能性もあるだろう。レロ・フアレスが指導者である、独立労組の農場労働者労組、ファミリアス・ウニダス・ポル・ラ・フスティシアの政治担当であるエドガー・フランクは、「おそらく過去にはさまざまな違いを抱える労組や組織に関する問題があったとしても、これは、ひとつの大義のために団結してあらゆる者を結集することになる可能性もある。うまくいけばこれはその兆候だ」、「諸々の関係が確立され、改められるだろう。そしてそこからわれわれは、統一した闘う戦線をもつことができる」と語った。
ワシントンの全米食品商業労組3000支部代表で共同声明呼びかけ人のひとりであるファイェ・グエンサーは、「まさに今、多くの人々が組織化に挑戦するりっぱな作業に取りかかっている」、「私の考えでは、われわれが多くの違いをできる限り脇にくことができれば、そしてテーブルを共にできる限り広げることができれば、われわれはもっと目的にかなうことになるだろう」と語った。
必要なことは
協力目標確定
労働者がこれらの攻撃を圧倒するためには、われわれは、通常通りの事業を崩壊させるための準備を整える必要がある。ローゼンは、テスラ株価を急落に追いやるのを助けた、国中のテスラ販売店前の整然とした抗議行動に触れながら「テスラは明らかに神経を逆なでした」と語り、「私の考えだが、われわれは追加的な協力や目標を見つけ続ける必要がある」、「トランプに対するそれらの提携から、彼の設定課題の実行に関し彼を助けるそれらの意志から利益を今得ているたくさんの大企業があるのだ」と続けた。ちなみに、テスラの億万長者CEOのイーロン・マスクは今、連邦の労働者に対する攻撃で先鋒を務め続けている。
彼は、シカゴのUE1110支部メンバーが勇敢な1歩を踏み出した2008年の爆発的な民衆的反応に戻った。当時かれらはかれらの工場を占拠したのだ。その企業は厳重に閉じられていたのだが、労働者はシフトの最終日そこを離れるのを拒否した。かれらは、契約解除に対する175万ドルの取引と他の諸手当に達するまで座り込みストライキを敢行した。そしてかれらは最終的に、労働者管理の協同組合としてその工場を再開した。
ローゼンは、「それは、労働者がレイオフされている一方で、銀行がこのカネすべてを取り込んでいること、にまさに怒った人びとの注意を国中で捉えた」と語った。支援者たちは、バンク・オブ・アメリカの諸支店にピケを張り、支店内部に座り込むことで市民的不服従までも引き受けた。彼は「その銀行にかけられた圧力の量が、労働者がかれらが行った解決を確実に勝ち取る点で決定的に非常に重要だった」と続けた。
怖れと分裂の
克服に全力を
ニューヨーク市立大学の労働研究と社会学の教授かつアメリカ教員連盟(AFT)メンバーであるステファニー・ルースは、「この反攻における次の段階がわれわれに求めることは、労働者が分裂し恐れている時に雇用主と億万長者がどれほどそこから利益を受けているか、についてわれわれの同僚と隣人に話すことだ」と語った。
そして彼女は「われわれは、もっと多くの会話を行い、労働者にもっと大きな行動を引き受けることに用意させるような空間を探さなければならない」、「攻撃はさらに来続けるからだ」と続けた。彼女は、いくつもの労組がメーデーに大きな行動を諸々作り上げようと共に活動中だ、と語り、またレーバーノーツの「力を高める諸戦術」トレーニングをも推奨した。
組合員が巻き込まれないならば、ひとつの決議も単なる紙切れの一片にすぎない。「請願は、われわれが人々を統一するために利用が必要なひとつのツールだ。しかしそれは、それに署名する人々だけが組織になるのであれば、われわれには何のためにもならないだろう」、「労働者は、かれらがどんな種類の世界をもちたいか、またどんな種類の国で暮らしたいか、そうしたことについての深い会話の中にいる必要がある」グエンサーはこう語った。
しかしトランプの攻撃はまた、労働者がかれらの諸権利を守るひとつの制度をなぜ必要とするかに関する問題を、今や公的な舞台に上げてもいる。「単に農場労働者部門にいるだけではない多くの人々が、労組組織化の方法についてわれわれに接触し続けてきた」とフランクスは語った。AFGE(全米連邦公務員労組)は記録的なメンバーの合流を伝えている。
グエンサーは「豪腕の男と独裁者は人々の怖れと混乱を餌にしている」、「われわれは、われわれは勝利できる、また人々の怖れを克服するのを助けることができる、とわれわれが示せるところで行動に出なければならない」と語った。(2025年4月8日、「レーバーノーツ」より)
▼筆者は「レーバーノーツ」記者。(「インターナショナルビューポイント」2025年4月14日)
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