米国 姿現したトランプ政治

ファシズムの控え室内の100日

ダン・ラボッツ

 権利への攻撃
 まだ弱い抵抗

 トランプ大統領は百日前に就任以来、米国の自由民主主義の国家とその社会福祉システムを破壊することに、市民と非市民の諸権利を取り除くことに、さらに大学やメディアといった市民社会の諸機関の攻撃に、取りかかってきた。われわれの政府とわれわれの社会に対するトランプの攻撃は、米国民衆にショックを与え、方向感覚を失わせ、また当惑させてきた。抵抗は成長を続けてきたが、しかしトランプを止めるにはまだあまりにバラバラで小さく弱い。
 トランプは、大統領職だけではなく議会と最高裁を統制する共和党を支配している。トランプは騒ぎ立て、連邦労働者数十万人の大量解雇を実行し、社会福祉計画の予算をカットして政府の諸部局や出先機関のあちこちで騒ぎ回ってきた政府効率化省の担当に億万長者のイーロン・マスクを据えた。トランプは139もの大統領令に署名し、その多くは、レイシズムに対処する多様性・平等・包摂プログラムを終わりにすることに向けられた。トランプ、マスク、さらにその他の者が起こした突風は挙げるには多すぎ、それゆえわれわれは僅かの分野のみを検討する。

 激化一方の
 反移民攻撃

 トランプと彼の移民チーム、スティーブン・ミラーおよびトム・ホーガンは、移民の大量追放を強化し続けている。8月にトランプ政権は一時保護資格(TPS)を終わりにするつもりだ。それは、16ヵ国からの80万人の移民に対し米国内で暮らし働く権利を与えるものだった。かれらは、ハイチやウクライナやかれらが来たところへの追放に従うか、ここから去るか、を迫られることになる。
 トランプの終極的な目標は、1100万人になる未登録移民を追放することであり、彼は敵性外国人法として知られる1798年の法の下にそれを行う準備をしている。ちなみにその法は、移民を事情を聞かずに追放することを大統領に認めている。憲法に違反して、また適性手続きなしに数百人の移民がすでに検挙され、追放され、エルサルバドルで投獄された。トランプは、彼が同じやり方で米国市民を追放する準備もしている、と語ったことがある。

 政府が原因の
 公衆衛生危機

 トランプと彼の保健相のロバート・F・ケネディ・ジュニアは、米国で最も重要なふたつの政府公衆衛生機関に大なたを振るった。疾病予防管理センター(CDC)と国立衛生研究所(NIH)だ。かれらは、CDCを8万2千人から6万2千人の職員に縮小することを計画している。NIHでは、1200人がレイオフされかかっていて、3万人の科学者がかれらの研究資金を出し抜けに停止されている。そして、研究助成金から27億ドルがカットされるだろう。
 陰謀論を売り込んできたケネディは、数十年で最大のはしか発生に今直面している反ワクチン派だ。2000年に米国はワクチン接種のおかげではしかがなくされたと宣言した。しかし今、かれらの子どもへのワクチン接種を拒否した反ワクチン派のために、28州でおよそ900人のはしか感染があり、そこにはふたりの子どもとひとりの大人の死が伴われている。われわれは、全国的な流行の危険を犯している。

 未だ止まらない
 危険充満の情勢

 共和党は、連邦歳入に4兆5千億ドルの穴を開けて、トランプによる富裕層向け2017年減税を2025年から2034年まで延長することに躍起になっている。同時に、税金を集める連邦最入庁の労働者は、10万2千人から6万5千人まで削減されようとしている。こうして集められる税はもっと少なくなるだろう。
 このすべてが意味することは、より少ない収入により支出も少なくならざるを得ない、ということだ。ニューヨークタイムズは「2026年会計年度向けに提案される予算は、子どものケア、公衆衛生研究、教育、住宅支援、コミュニティ開発、そして高齢者を支える諸々の費目から数十億ドルを削減すると思われる」と書いている。
 情勢はぎょっとするほど危険に満ちている。抵抗は大部分法的な行動の形態をとっている。これまでにほぼ186件の訴訟がトランプ政権を相手に提起され、うち122件で、裁判所は少なくとも出先機関の閉鎖や労働者の解雇を一時停止させた。これまでに何百万人をも街頭に連れ出した全国的な抗議が起きてきた。しかしここまででは、何ごともトランプを止めそうにない。(「インターナショナルビューポイント」2025年4月30日) 

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