チェチェンの戦争をやめさせよ

マヤ・チョフハロヴァに聞く

【マヤ・チョフハロヴァは人権擁護情報局の平和・開発センターの代表である。1994年から1996年までの時期、彼女は北カフカース女性同盟でも活動していた――『ルージュ』】。

問――チェチェン人民の現在の状況はどのようなものでしょうか?
チョフハロヴァ――人道主義が重大な危機にありますが、国際機関は、とりわけ国連難民高等弁務官事務所は、そうした状況にあることを認定するのを拒否しています。結核が再び出現し、出産時に女性が死亡し、人々は寒気と飢餓で死んでいます。
こうした状況に対して、ヨーロッパ諸国の行動はあまりにも弱すぎます。強力な意見が何ら表明されていません。EU(欧州連合)はロシアに対して上品な態度で接しています。だが、ロシアの政治は洗練されていません。そこには民主主義はなく、権力は、自分たちに対する声を聞き入れません。ですから、その財政に影響を及ぼさなければなりません。IMFはロシアへの財政支援を停止しなければなりません。チェチェンで戦争するだけの十分な資金があるのなら、IMFの支援は必要ありません。

問――グロズヌイで人々はどのように生活しているのでしょうか?
チョフハロヴァ――水も電気もガスもありません。住民にはもはや住宅もありません。すべての人が地下で生活しています。そして爆撃が続いています。生態系の本当の破壊の恐れがあります。グロズヌイには、大きな化学製品倉庫があり、酸を貯蔵しているその倉庫のひとつが爆撃されました。石油パイプラインに穴が開き、グロズヌイの町には石油が漏れ出ています。監視も受けていない核廃棄物の貯蔵所がたえず爆撃されています。

問――町の軍事的防衛はどのようになされているのでしょうか?
チョフハロヴァ――兵士たちは小さな機動部隊に分かれています。だが、武器と暖かい衣服が不足しています。以前は、兵士たちは住民の支援に頼ることができましたが、今では、この関係は少し逆です。戦士たちが市民を助けて、市民が生き延びられるようにしようと試みています。そして、多くのロシア兵が死亡していますが、ロシア当局はそれを隠しています。

問――ボスニア内戦のとき、フランスではボスニア人民への武器禁輸を解除せと要求する連帯運動がありました。この観点から見ると、チェチェンの状況はどうなっているでしょうか?
チョフハロヴァ――誰もチェチェンの戦士たちに武器を提供していません。戦士たちはロシアの兵士から武器を買っているのです。これまでの戦争の過程で、一台の戦車と武器を四〇〇〇ドルで買うことに成功しました! だが、戦士たちにはきわめてわずかの武器しかありません。敵が爆撃機を備えているのに、保有している最も強力な武器は、自動小銃と擲弾発射筒です。
まず戦争をやめさせなければならないのはこのためです。だが、戦争が停止されなければ、武器が必要になるでしょう。モスクワでは、政府は全チェチェン人民を殺し尽くさねければならないと宣言しています。そして、ロシア軍がチェチェンでしているのはまさにこのことです。
ロシア政府は選挙に勝つためにこの戦争を遂行したいと望みました。軍部はこれまでの敗北の報復をしたいと望んでおり、闘いに勝つまでこの戦争を続けるでしょう。

問――人道的問題の状況はどうでしょうか?
チョフハロヴァ――まず第一に、戦火を逃れた人々の大部分が、現在ロシア連邦内のイングーシやその他の地域にいますので、これらの人々は、難民ではなくて移住させられた人々なのです。難民としての権利を持つのは、ロシア連邦の外部に逃れた、たとえば、グルジアに逃れた人々だけです。
移住させられたこれらすべての人々は不当な扱いを受けています。まるで大強盗であるかのように、それぞれの村に登録させられ、指紋を取られ、顔写真を撮られています。これらの人々は、納屋や厩舎や地下室で生活しています。ロシア当局は、これらの人々に国内旅券しか発行しませんので、ロシアの外に避難することができないのです。しかも、(フランスのように)大部分のEU諸国はビザを与えることを拒否しています。最悪のことは、ビザを求めている人々が、難民を認めない国(ロシア)の人々であるという点なのです。
チェチェン人民は、ナチ統治下のドイツにおけるユダヤ人よりも幸せです。絶滅のための収容所もガス室もないからです。だが、われわれの故郷は地獄と化してします。

問――チェチェン人民はどのような連帯を必要としていますか?
チョフハロヴァ――フランス人民は、自国政府に対して、ロシア政府に寛大な態度で接するべきではないと言うべきです。制裁を行なわなければなりません。これこそ、ロシア政府に影響を及ぼすことのできる唯一の手段です。エリツィンはプーチンという切り札を切りました。その結果、プーチン自身の手が血にまみれることになりましたので、今や、この二人の運命は互いに結びつくようになりました。プーチンが自分の安全を保障したいと望むなら、エリツィンの安全を保障しなければならないでしょう。
最も緊急なことは、戦争をやめさせることです。各国政府は何かをしかければなりません。制裁措置がとられなければなりません。今問題となっているのは全チェチェン人民の虐殺です。フランス国民は、より断固とした立場をとるよう政府に圧力を行使すべきです。チェチェンの人権はロシアの内政問題ではありません。

The KAKEHASHI

購読料
《開封》1部:3ヶ月5,064円、6ヶ月 10,128円 ※3部以上は送料当社負担
《密封》1部:3ヶ月6,088円
《手渡》1部:1ヶ月 1,520円、3ヶ月 4,560円
《購読料・新時代社直送》
振替口座 00860-4-156009  新時代社