ベネズエラ:トランプ派のあからさまな野望

再植民地化止める抵抗組織化へ

優先性は主権と民族独立守る最も幅広い統一

ルイス・ボニラ・モリナ

今や紛れもない植民地化の意図

 この2、3ヵ月間われわれが強調してきたことは、トランプ政権の目的はベネズエラの石油、鉱物資源の政治的、経済的、軍事的支配、および動きを事前に見通せるこの国に対する支配体制を確立するための、住民の行動に関するデータの管理であり、そしてそのためにボリバールの故国内でのグリンゴ(外国人)軍事基地の配置が視野に入る、ということだ。
 しかしわれわれは、この達成のために米国は、歴史的にホワイトハウスと連携し、社会的指導性はもつが、ベネズエラほどに分裂した国の統治には能力を絶対的に欠いているふたりの人物、マリア・コリナ・マチャド(MCM)とエドムンド・ゴンザレス・ウルティア(EGU)を政府の首座に着けることだけを必要とした、と考えた点で間違った。2026年1月3日、ベネズエラに対する軍事攻撃と大統領のマドゥロを彼の妻と共に拉致した当日、米大統領のトランプは、ベネズエラの右翼反政府派を地面にたたき落とし、MCMは「国の中で支持や尊敬を得ていない」、そして「移行」から排除された、と指摘した。
 トランプは、この時点からベネズエラは彼と彼の側近チームによって統治されるだろう、と語った。そしてベネズエラに本物の、実体的かつ普通ではない植民地の怖れという情勢の扉を開いている。続く日々に起きたことはこれを確証している。
 王立カラカス・ギプスコ会社は1728年に創立されたスペインの商社だった。それは、ベネズエラとの植民地関係の一部として1730年から1780年まで活動した。その主な目的は、産品(ココア、タバコ、綿花、インディゴ〈藍色染料〉、なめし革)を輸出し、欧州産品(道具、繊維、ワイン、その他)を輸入し、スペイン、ベネズエラ間の貿易を排他的に支配すること、オランダ、英国、また他の密輸と戦うこと、また現地の経済開発をスペイン王室の利益を高めるよう導くことだった。
 ベネズエラに対しトランプが提案していることは、この植民地企業を偲ばせるような、新たな領土的かつ商業的な支配の情勢だ。しかしそれは、もうひとつのもっと現代的な姿で、米大使館の形で行われるだろう。それゆえ米国は、カラカスにおける米国の外交代表部の再開を大急ぎで公表している。
 グリンゴ大使館はその役割を履行することになる。それは今ようやく、石油、金、レアアース、また他の富の専有目的になり、同じく、核心的な技術に基づく予測可能な支配モデルの全面的な開発には決定的な、現地での情報とデータを獲得し続けることになる。
 先頃ホワイトハウスのスポークスパーソン、カロライン・レヴィットは「われわれは明らかに、まさに今ベネズエラの臨時当局に対し最大限のテコを保持している」と言明した。他方ルビオは「ベネズエラはわれわれが許可しない限り石油を動かすことはできない」と言明した。これは、臨時ベネズエラ大統領のデルシー・ロドリゲスは「米国内でつくられたものしか購入しないだろう」というトランプの言明で補足された。他方、ロドリゲス政府に対する当然の服従を強めるための、ディオスダド・カベジョ(マドゥロ政権では内相:訳者)のような政権指導者に関する脅しの噂がある。

露骨な再植民地化三段階


 1月5日夜、トランプは、米国は3千万~5千万バレルのベネズエラの石油を強制的に取り上げるだろう、と公表した。1月7日にはルビオが、ベネズエラの再植民地化に関する三段階を公表した。第一段階は、利用可能な石油生産を5千万バレルに達するまで短期に急襲して奪うことだ。これはベネズエラからの強制購入ではなく、軍事力を利用し、現地の反対をほとんど予期していないような、ベネズエラの富の公然とした窃盗の公表だ。
 第二段階は、植民地管理者の役割を当然視しつつ、米国が直接世界市場にベネズエラの石油を売却し、その使用権を廃却すること、そして戦利品の管理、を必然的に伴っている。資本主義的交易秩序違反に関する報道が生み出す衝撃を和らげるために、ルビオは、米国はこれらの財源をベネズエラの再建と米国の利益のために管理するだろう、と特に示した。
 かれらは明らかに、カリブ海南部での数ヵ月にわたる海上封鎖でつくられた軍事支出のいくらかを取り戻し、ベネズエラ自身の財源を石油インフラの修復のために使いたがっている。しかしそのインフラは今や、トランプ政権が召集した石油企業によって、植民地での石油採掘を目的に利用されることになるのだ。
 第三段階はベネズエラの政権移行の開始であり、それは1月3日を受けた攻撃後のふるまい、ロドリゲス政府に関係する何か、を基礎とした査定の公表になるように見える。同じくそれは、かの国とのベネズエラの植民地関係の持続可能性を保証するような、政治的代表制構築(「よい人々」による)という画期でもある。
 ルビオは、ひとつの共和国を現地の抵抗なしに変えることなど彼にはできないことを分かっている。従ってこれは、米国の軍・警察・諜報の権力が、依然今後分かることとして残されているもの、つまり現地の軍・警察部隊からの協力達成を熱望しつつ、指導的役割を演じることになる段階の前兆を示している。

保護国か、民族主義政府か


 1月3日に就任させられたベネズエラ政府は、いくつかの国内的な嵐の克服を迫られ、帝国主義を牽制するに必要な強さがあると、あるいは協調的な役割を当然視していると、はっきり見せることを迫られるだろう。シナリオがどうであれ、それは統治能力を打ち固める必要がある。
 グリンゴの植民地主義に対決する幅広い民族的統一を結びつける可能性は必然的に、軍事的抵抗がまさにほとんどないような形で起きた、国内の裏切りという陰をつくり出しているような、マドゥロ・フローレス夫妻の確保と拉致によるトラウマの克服を必要とする。そしてこの重罪を体現した者たちを信頼できるようにすることは、現ボリビア政府の試練だ。これは、国軍の士気を引き上げる緊急性に結びつけられている。国軍は、侵略部隊に同じことをすることができないまま、数十人の死傷者――大統領随員のキューバ人戦闘員32人と同じに――を出したのだ。
 他方トランプは、目的とした戦略か、それとも現実か――どちらかは時間が告げるだろう――の一部として、ロドリゲスが率いる臨時政府は彼の政府と今協力している、そしてかれらは「マドゥロと同じ間違いはしたくないと思っている」、と繰り返し指摘してきた。ロドリゲスはこれらの言明をおずおずと否認してきた。しかしながら、ベネズエラを出る石油は通常の商業的売却と支払い条件の下にそうするだろう、と指摘している。
 この曖昧さは、今も1月3日の軍事行動と展開の衝撃から現れているがゆえに理解できるが、反植民地抵抗を組織するために、あるいは植民地管理当局という役割を引き受けるために克服されなければならない。われわれは、決定が最初のものになることを期待する。
 今民族主義の感情がこの国を吹きまくっているが、しかしそれは、それを向かわせる明確な政治的方向を見出していない。ベネズエラの左翼、特にベネズエラ共産党(PCV)とコリエンテ・コムネス(共通の潮流)は、トランプ政権の植民地のもくろみに対するかれらの反対を表してきたが、他方マドゥロ派(デルシー・ロドリゲスは最近までその一部だった)の方に向きを取っている。しかしマドゥロ派は、反労働者階級の綱領の適用により、また自律性の組織化を願う者たちに対する最小限の民主的自由の清算によって、国をこの恐るべき情勢に導いているのだ。
 しかし、現在の守勢的情勢を変えることができる民族主義戦線は、急進左翼だけで建設されることは不可能だ。米国の軍事侵略と植民地主義に対する有効な抵抗の可能性は、必然的に帝国主義に対する二股政策をとらない、幅広い民族戦線の建設を必要とする。デルシー・ロドリゲスの政府は、その役割を最終的な結末まで引き受けたい、とはまだ示していない。

新しい情勢下での革命的任務


 革命派の任務は1月2日まで、労働者階級にその見解を表すことを許し、帝国主義の攻勢とマドゥロ政権の権威主義的漂流と対抗するために自身を組織することを許すと思われるような、最低限の民主的な自由を回復することだった。しかし1月3日以後は、またベネズエラをグリンゴ植民地へと変えるホワイトハウスの公表の後では、優先性は、愛国勢力を求める政治的自由のもっとも広範な体制による、民族的独立の防衛となった。情勢が民族解放の段階に向け展開するかどうかは事実が告げるだろう。
 この段階の優先性として主権と民族独立を置く政治勢力と社会勢力すべてによる、行動のもっとも幅広い統一の促進に関し疑いはまったくあり得ない。民族、主権、独立の防衛を軸にした一致に焦点を絞る時だ。(2026年1月8日、IVによる訳出)

▼筆者はベネズエラ人の批判的教育学者で、ベネズエラ比較教育学会会長。現在は、ブラジルのセルジベ連邦大学の客員教授。(「インターナショナルビューポイント」2026年1月9日)  

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