米国:トランプへの民衆的反撃拡大中
民主的権利と国民の主権への攻撃
ケイ・マン
他国の主権侵害
国内の権利攻撃
過去数週間、米国における民主的権利に対するトランプの攻撃、および他の諸国の主権と国際法への侵害が、規模と暴力性で高まってきた。今年1月3日、空軍と海軍が大挙してベネズエラ大統領のニコラス・マドゥロと彼の妻のセリア・フローレスを拉致し、この襲撃の中で百人のベネズエラ人とキューバ人を殺害した。そしてその後には、米海軍による5億バレルのベネズエラの石油の窃盗が続いた。トランプはこの上ない帝国の傲慢さで、米国はベネズエラを「経営する」つもりだ、と宣言した。そしてまたコロンビア、キューバを、さらに近頃では、グリーンランドをも脅迫し続けている。
次いで、1月9日、凍り付いたミネソタ州ミネアポリスの街頭で、ひとりのICE要員が、非暴力の移民支援活動に関わっていた37歳になるふたりの母親である、非武装の白人米国市民のレニー・グッドを殺害した。グッドの殺害を記録する数多くのビデオ映像は、ICE要員によって殺害された少なくとも32人の中で、彼女をもっとも知られた者にする助けになった。
このふたつの一見ではかけ離れた事象を結びつけるものは、麻薬密輸という虚構的告発を根拠とした、本国と海外の非白人とかれらの連携者を敵視する暴力使用の激化だ。移民政策担当のトランプ政権首席公人としての、トランプのレイシスト的移民政策を担当するネオファシストのステフェン・ミラー指名は、ICEの殺人とベネズエラに対する攻撃間のつながりを露骨に際立たせている。
ベネズエラへの攻撃から数時間も経たずに、緊急抗議行動が数都市で、ニューヨークにおける2千人から数百人までの広がりで行われた。
ICE廃止せよ
全国で抗議拡大
しかし、米国の住民の神経を激しく刺激したのはレニー・グッド殺害だった。グッドを追悼しICE廃止を求めて、国中で何千という抗議行動が行われた。世論調査は、この要求への巨大な支持を示している。
政府は、彼女の車でICE要員を轢こうとしたとのグッドへの責めで応じた。しかし数々のビデオ映像は、彼女の車は要員から離れようとしていたことをはっきり示しているのだ。この銃撃に対する連邦の捜査は現地のミネアポリス当局を締め出し、グッドの同性パートナーに関する戦闘的グループとの結びつき――米国憲法で守られた活動――を捜査すると脅した。
新たな質秘めた
社会運動の胎動
グッドを殺害したキリスト教民族主義者のICEのならず者であるジョナサン・ロスは、起訴されていず、現在捜査も行われていない。政府はミネアポリスにICE要員を増派することで応じ、トランプは、この市に正規軍を送るために、ほとんど使われたことのない18世紀の反乱法を呼び戻すと脅した。
この市が敵意のある部隊に占領されているとの広範な感覚がある。ミネアポリスの民主党市長、ヤコブ・フレイと民主党知事のティム・ウォルツは、ICEに反対し、それがこの市と州を離れるよう求めるために強い言葉を使ってきた。しかし他のことはほとんど行っていない。
ICEはこれまで数ヵ月間国中の都市と町々に恐怖を撒き散らし続けてきた。しかしトランプは、労働者の闘争の豊かな歴史をもつ伝統的にリベラルな民主党の州のミネソタに特別の敵意をもっている。この州最大の都市であるミネアポリスはまた、ここ数十年にやって来た相当な規模のソマリア人にとってわが地でもある。彼らのひとりのイルハン・オマルはミネアポリスのほとんどを占める州第5選挙区の米下院議員だ。そして彼女は、「スクワッド」――ソーシャルメディア上でトランプが決まって攻撃し脅迫する、臆せず発言する進歩的な4人の女性民主党下院議員――を構成する4人のひとりだ。トランプは、米国市民であるイルハンは「刑務所にいるべきだ」そして追放されるべき、と公言してきた。
グッドの殺害に抗議して1月10日には千件以上のデモが行われた。ベネズエラへの侵略に抗議する行動に参加することを訴えたDSA(アメリカ民主的社会主義者)指導部の呼びかけには、全部ではないとしても多くの支部が応じた。
ICEの手入れから移民を守る活動には、本物の萌芽的社会運動の印がすべてある。活動家たちは、社会的抗議活動の手引きから取った古典的な戦術――行進、集会、スローガン唱和、創意のある独自手法、またICE要員が住宅街に現れる場合のホイッスルでの警報――を使っている。居住区組織が国中で確立されてきた。そしてそれらが、ICEの暴力、逮捕、国外追放を恐れる移民家族のために、移動や買い物を組織している。
これらのグループは普通の市民から構成され、かれらの多くは、かれらの隣人や同僚が覆面をし武装したICE要員によって連れ去られるのを見るまでは、政治に関わったことなどなかった。右翼のジャーナリストたちは、かれらが「ワイン・ママ」――居住区で監視グループに参加している中流階級の白人女性――と呼ぶ者に憤慨させられてきた。ミネアポリスの場合、現在のICE抗議、支援ネットワーク、相互援助グループの中心は、2020年のジョージ・フロイド抗議行動にまで辿ることができる。
国の様々な部分のグループは今、互いに関係を結び、資源や戦術を分かち合いはじめている。たとえば、「プロテクト・ロジャーズ・パーク」という名称のシカゴ・ノースサイドのICE監視グループは、ミネアポリスでICE監視活動家の訓練を助けている。多くの都市では、メキシコ人や他の移民居住区内の店やレストランで、「君たちの権利を知ろう」カードを見ることができる。
この都市のいくつかの学校は、ICEの手入れに対する用心として、閉鎖を選択した。活動家たちは、1月23日にミネアポリスでの市全体規模のゼネストを呼びかけた(現に実行され、多数の店舗も休んだと報じられている:訳者)。ロスアンゼルスや他の借家人組合は、この運動に一体化し、この運動が労働者階級の暮らしと他の諸闘争に根付くことをさらに下支えしている。
相互支援のそうしたネットワークは今後、どんどん拡大する行動に向け基礎を据え、全体としての反トランプ運動を強化しつつ、他の現存する諸運動とのつながりをつくるだろう。これらは、トランプのレイシスト的キリスト教民族主義への強力な抵抗としての役を務め、民主的な自己組織化された社会の可能性に関するある種おぼろげな感知を与える、そのような労働者階級の連帯からなるネットワークだ。(2026年1月21日)
▼筆者はスティーヴェンスポイントにあるウィスコンシン州立大学の社会学講師でソリダリティのミルウォーキー支部メンバー。
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