ブラジル スーパーエルニーニョ

迫る環境的惨事 対応は不可欠

イスラエル・ドゥトラ

無視されている
深刻な気候事象

 ブラジルは、気象学者が「スーパーエルニーニョ」と命名した現象が今年後半に到来することで、前例のない気候現象に直面させられる。
 アメリカ海洋大気庁(NOAA)の一部である気候予測センター(CPC)のデータによれば、今回のエルニーニョが「非常に強力な範疇」に入る蓋然性は81%になる。言い換えれば、科学的に見て、今世紀最大級の気候事象が起こり得る条件が整っており、ブラジルには大きな影響が及ぶ可能性があるのだ。
 奇妙に見えることがある。つまり、選挙前の論争がすでに課題設定を支配しているシナリオの中で、先の情勢にどう対応するかに関してはほとんど、あるいは何ごとも議論されていない、ということだ。
 われわれは、世界中で極度に深刻な気候事象に直面中だ。全体として――そして左翼内部で――、近づく綱領的で選挙の論争を考慮したエコ社会主義的回答に関する、環境の課題設定に中心を置いたもっと真剣な論争が必要なのだ。

数々の警報と
非常ブレーキ


 7月12日のフォリャ・デ・サンパウロ紙一面が筆者の注意を引いた。その見出しは畜産業における大きな諸困難、および穀類植え付けにおける遅れがありそうであることについて警報を出していた。そしてそれが収穫を乱し減少させるだろうと。その脅威は南部地域における過剰な降雨――小麦の植え付けを危険にさらす――と大豆の収穫に今打撃を与えている中西部の熱波を組み合わせている。大豆の植え付けは9月から12月の間に予定されているのだ。
 報道、諸政府、また科学界の鍵を握る部分からの警告を軽視してはならない。欧州における諸々の影響は悲惨だ。欧州大陸の近年の歴史上最大の熱波は今死と惨害を引き起こしている。たとえばスペイン南部で山火事が13人の命を奪った。ブラジルは2024年にリオグランデ・ドスルーを破壊した気候の惨事を経験した。死者数百人、被災者数万人、そして全市の破壊によってリオグランデ・ドスルーの人々が耐えた本物のトラウマからわれわれを隔てるのはわずか2年に過ぎないのだ。
 もっとも懸念されていることは、極右が気候変動否認論を設定課題として唱え続けていることだ。それは、予想する能力やそのような事象に適応する能力を阻害するだけではなく、結局はそれらの事象の特にもっとも貧しい層への影響を強めることにもなるのだ。この論争は、ボルソナロ派やそのブラジル中のさまざまな候補者が受けている大衆的支持を前提とした時、10月の選挙では避けられないだろう。

核心的な問題は
アグリビジネス


 核心的問題は、アグリビジネスが国民経済で果たしている役割だ。それは一方で、底深い環境的不均衡を引き起こしている惨害の背後にいる主な犯人のひとつだ。他方でそれは、エルニーニョを前に大きな公的投資を通じた補償を求めるだろう。
 アグリビジネスは、政治のもっとも反動的な部門に対する支持基盤として、環境と住民多数の利益を犠牲にして繁栄している。したがって、われわれを現在の袋小路に導いてきた農産物輸出モデルと決別する以外、他の出口は全くない。
 選挙では、ボルソナロの気候変動否認論、および「セントラオ」――BBB(牛、聖書、銃弾)コーカス連合により結集させられた――からなる援軍部隊の両者とも、アグリビジネスの利益を忠実に擁護するだろう。他方PTと政府の一部になっている諸政党は、より大きな選挙上の得点追求との想定の下、かれらの課題設定水準を引き下げ、水で薄め続けている。
 われわれは、食料生産システムを改革し、ブラジルの住民全体にとっての食糧主権を保証するような経済モデルとして、新たな枠組みを構築しなければならない。エルニーニョに取り組む最良の方法は、適応の諸方策――地方と何よりも都市双方での――を経済モデルにおける原理的な移行を求める闘いと組み合わせることだ。
 たとえば、水の防衛を取り上げてみよう。採掘と「データ抽出」の論理により駆りたてられ、何十ものデータセンターが設置されようとしている中で、サンパウロ州は、今年後半の気候事象予測を考慮して、敢えて新たな水の供給制限に向かおうとしているのだ。

PSOLの前に
巨大な挑戦課題


 PSOLは巨大な挑戦課題を前にしている。党は数十万人から、環境問題に大胆不敵に取り組むことができ、底深い変革を政治的課題設定の中心にもってくることができる政党と見られている。この挑戦課題は来る選挙で最後までその役割を果たすだろう。
 それは、農地改革再開の必要を唱えて「開発モデル」に異議を突き付け、現在の食料生産の方向を逆転させる変革だ。こうしてPSOLの政綱は、昨年最新化され、環境保全型農業モデルへの移行に関するMST(土地なき労働者)の政綱の諸部分を取り入れた。
 さらに、セベスク(水・廃棄物管理会社)のような企業の再国有化、全国気候非常計画の必要、そして河川の非妥協的な防衛が、われわれの候補者や指導者の直接的政綱の本質部分になっている。
 ブラジルにとってのエコ社会主義綱領に関する、PSOL財団(ラウロ・カムポスおよびマリエレ・フランコ財団)とレデ財団間での近頃の討論は、この方向での大きな1歩だった。気候の破局――ネオファシストの気候変動否認論により加速される――に立ち向かう非常ブレーキは、社会の多数による決起と闘いの中にある。

▼筆者は社会学者で、PSOL全国執行部国際関係書記、かつ社会主義左翼運動(ブラジルにおける第4インターナショナルメンバーのMES)の活動家。(「インターナショナルビューポイント」2026年7月22日) 

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