メキシコ 左翼への要請

反帝国主義かつ反ファシスト
賭けられたものは貿易問題超える

ホセ・ルイス

 ホセ・ルイスは第4インターナショナル活動家で、メキシコ電工労組員だ。彼が、第4インターナショナル世界大会のため欧州を訪れた中で、フランスのファブリス・トーマスの質問に答えた。

AMLO支持の
根拠は生活改善


――アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)ともっと近くではクラウディア・シェインバウムが大統領として権力に到達した後、またトランプの攻撃を受けた後、メキシコの情勢はどうか?

 ラテンアメリカは新自由主義諸政策に反対する強力な闘争の場となってきた。教員、農民、学生、先住民衆、その他が取りかかってきた自立的闘争は、それらの目標をまだ達成していない。むしろ大きな敗北が諸々あった。これが意味することは、メキシコにおける新自由主義諸政策に対する社会的かつ民衆的な不満が諸々の選挙へと向けられた、ということだ。
 不満は先ず、民主革命党(PRD)を通じて、もっと近くでは国民再生運動(MORENA)を通じて方向付けられた。前者は、クアウテモク・カルデナスによって導かれた。それは、支配的政党内部の民族主義者の決別から生まれた。
 変化はメキシコ市長としてのAMLOの権力到達により党内部で頂点に達した。彼の任期は、一定数の進歩的な改革によって特徴づけられた。たとえば、メキシコシティ内の65歳以上の人々に対する全員向け年金提供や他の社会的諸政策だ。
 これは、法的―政治的策謀の手段によって、彼が2008年大統領選に対する候補者になることを妨げるよう右翼を導いた。人々はこれを反民主的な攻撃と理解した。国は2極化し、AMLOが候補者になることを可能にするために大規模な決起が起きた。選挙の進行は、まさにわれわれが大量の不正があると主張したほど、多くの疑いを高めた。
 右翼の政治家であるフェリペ・カルデロンが権力に到達した。続いたことは、フェリペ・カルデロンとペーニャ・ニエトの新自由主義政策への抵抗からなるひとつのプロセスだった。不満は非常に強かった。メキシコ政府内部には高いレベルの腐敗があった。そしてそれは全体的に、米国にへつらっていた富裕層の利益に役立っていた。この流れが得票率50%以上によるAMLOの勝利を説明している。

――2018年のことか?

 そうだ。2018年にAMLOは強力な民衆的支持に基づき権力に到達し、大衆の生活水準を改善するいくつかの非常に重要な変革実行を彼に可能にした。それらのひとつが、全員に向けた年金に対する権利の全国規模の拡大だ。65歳以上の人々が月に160ドルの支援を受け取った。それはメキシコでは、多少とも安泰に暮らすことができることを意味するのだ。
 最低賃金はほぼ100%増額された。これは諸々の賃金に完全に追いつくものではなかったが、この賃金政策は数百万人のメキシコ人に利益をもたらした。
 その後メキシコのブルジョアジーは税の支払いをも強いられた。かれらが脱税の専門家だったからであり、こうしてこれは徴税基盤を拡大した。彼はさらに、国家を徐々に浸食していた腐敗に対する容赦ない戦闘にも取りかかった。そしてそれはまだ終わっていない。

右翼諸政党は今
史上最悪な状況

――あなたの考えでは、これらの改革は反新自由主義というよりも反資本主義になったということか、あるいはそれらには限界があるのか?

 多くの限界があった。われわれとしては、PEMEX(メキシコ石油)のような国家所有のエネルギー企業の完全な再国有化の方を好んできたのだが。
 しかし少なくとも、燃料価格は安定化されてきた。徹底した税制改革もまた必要だ。メキシコの富裕層はかれらの巨額な利益との関係では全くほとんど払っていないからだ。
 AMLOにもまた「頭領的」指導性のスタイルがあった。彼のMORENA党は選挙機構に等しく、特に右翼出身の候補者を非民主的に押しつけている。

――AMLOの任期の終了時点で彼がまだ50%以上の支持率をもち、彼の候補者、クラウディア・シェインバウムが非常な成功を収めた、という事実をどう説明するか?

 大衆の生活水準では否定できない改善が実現されてきた。そうでなければ、大衆はクラウディア・シェインバウム選出のためにあれほど大量に投票することはなかったと思われる。彼女はほぼ60%もの票を獲得したのだ。

――これはいつ起きたのか? 2024年か?

 そうだ。クラウディア・シェインバウムはその年の6月に勝利した後、2024年10月以来大統領になっている。イデオロギー的かつ文化的な激しい戦闘があった。メキシコでは今、右翼の諸政党がほとんかれらの史上最悪の局面の中にいる。それらは非常に弱体化し分裂している。極右は取るに足らない少数派だ。現在、関税強要というトランプの脅迫に立ち向かうというプロセスの中でさえ、至近の世論調査によれば、クラウディア・シェインバウムへの住民の支持率は85%だ。

トランプの脅し
世界全体に関係


――トランプの諸言明と脅しは、政府とクラウディア・シェインバウムからだけではなく、公衆全般からも反応を引き起こし続けているが。

 われわれが今見ているものはある種世界的な問題であり、メキシコが問題の一部だとはいえ、メキシコだけに関係しているわけではない。われわれは今、落ち目にある帝国主義の大国を前にしている。そしてその大国は、諸々の税や関税その他を通して、危機のコストを世界の残りに回そうと、またNATOの費用分担と再軍備でEUに圧力をかけようと試み続けている。
 危機は、米国の公的債務危機、財政危機など、深い。米国はさらに、中国との競争で、テクノロジー的低下を付随させて後れを取ろうともしている。それゆえそれは、自身の位置を再確立しようと挑んでいる。
 トランプは彼のもっとも近いパートナーを、メキシコとカナダを、米国への輸入コストにおける引き上げで脅し続けている。口実は、麻薬、特にフェンタニルの密輸また移民問題と闘うためにこれらの政府が何もしていない、というものだ。
 その狙いは事実上、特に自由貿易協定の枠組みの中でいかに生産するか、に関する再交渉を追求することだ。かれらはメキシコで行われた投資の多くを取り戻し、それらを米国に移したがっている。特に自動車工業でそうだ。しかしそれは全くこみ入った問題だ。何十年も機能してきたヴァリューチェーンがあり、それらを一夜で変更することは出来ないからだ。
 しかし圧力はそのままだ。クラウディア・シェインバウムの政府はこれまでのところ、諸々の口実とまったくの偽善を強く非難しつつ確固として対応してきた。基本的に、今起きていることは脅迫だ。それは、カナダとメキシコを敵とする貿易戦争の開始であり、この政権がこれらの税を維持すると言い張るならば、米国が行っていることを埋め合わせるために他の製品に同様な方策を適用するという、その側の対応がでることになるだろう。

民族主義的憤激
かつ進歩的怒り


――情勢が緊張するようになる場合、労働者とメキシコ民衆から多くの支持が生まれるとあなたは考えるか?

 全くそう思う。メキシコ民衆は、米国政府の側のこれらの攻撃的で冷酷、また権威主義的な姿勢を強く拒絶しているからだ。またこれが民族主義的な憤激を……、また進歩的な憤激をも目覚めさせてきたからだ。
 強力な帝国主義の国民と弱い国民間で衝突がある場合、それに立ち向かうためにわれわれが弱い国民と共にあることははっきりしている。特に、問題の国民の指導者が権威主義的で人にやっかいをかけるやり方で行動するだけではなく、反移民、外国人排斥、ミソジニー、反ジェンダー多様性、好戦主義、等の全体的に極右政治の設定課題をも抱えている場合にはそうだ。
 換言すれば、ここでわれわれは、反帝国主義であるだけでなく同時に反ファシストでもなければならない闘いの中にいる。トランプが世界的な極右を代表しているからだ。そしてそれらの極右は、欧州とラテンアメリカ両者で、他の極右と共に、ますます公然と統一し協調したやり方で行動中なのだ。
 したがってわれわれは、貿易問題を超えて賭けられた多くの問題があるとはっきりさせる必要がある。そしてそれが非常に重要だ。(「ランティカピタリスト」2025年4月26日)(「インターナショナルビューポイント」2025年5月2日)  

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