アフリカ 米国の舞い戻り
反社会行動者と5人のクラブ
ポール・マーシャル
アフリカという舞台への米国の舞い戻りで狙われているのは、はっきり言明されているトランプ政権の目的であり、この大陸がもつ富の利用だ。
2025年7月9日、トランプは、ガボン、ギニア―ビサウ、リベリア、モーリタニア、セネガルからワーキングランチとしてアフリカの指導者5人を迎え入れた。トランプによれば、これらの国は「すべて、非常に価値のある土地、たいそうな鉱物資源、また大きな原油埋蔵とすばらしい人々をもつ活力に満ちたところ」だ。それでも彼は、ビザ発給を拒否することで、これらの「すばらしい人々」の米国入国を禁じようと準備中なのだ。
米国の優先事項
トランプ政権の政策は、援助政策を貿易政策で置き換えることだ。今後アフリカ諸国駐在の米国大使は、まとめ上げた商業的契約の数で判定されることになるだろう。それは3つの優先事項、すなわち、デジタル産業と電子産業にとって決定的な鍵を握る鉱物資源の入手、この大陸での中国のヘゲモニーへの対抗、そして戦略的とみなされている紅海周辺部分におけるテロリズムとの戦い、に基づく政策だ。
こうして、メディアの最大限の沈黙の中で米国は、ソマリアで6ヵ月のうちにアル・シャバブに対し43回のドローン攻撃を実行した(バイデン任期中全期間では51回の攻撃)。
貿易を後押しする取引と定義された政策は、障壁とみなされる諸方策の取り除きによって力づけられる。このやり方では、人権や民主主義の問題はもはや妨げとなってはならない。加えて、海外での買収行為への法の適用は一時停止されている。それは事実上、契約獲得のため海外の政策決定者に賄賂を送る米国企業に法的な免責を与えている。
扱いやすい獲物
これら5ヵ国が招かれた理由はいくつかある。先ず、それらはすべて、現存の港湾インフラに投資する必要なしに輸出を奨励できる可能性がある大西洋側に位置している。第2に、これら諸国の地下には、天然ガスや原油や希少鉱物のどれかがある。たとえばリベリアでは地質学的研究がこれまでに、永久磁石製造に不可欠なネオジムの存在を示している。最後に、これらはBRICSにも、中国やロシアの影響圏にも入っていない。つまりそれらは扱いやすい獲物なのだ。
特にこれら5人の指導者が、そのうちの何人かによるトランプと彼の特大のエゴに対する1服のへつらいを伴って、各々順繰りにそれら各国の利点をほめ合ったからにはそう言える。こうして、反帝国主義の選挙動員を経てセネガル大統領に選出されたファイは、トランプのゴルフ熱に気づいて彼にゴルフコースへの投資を提案する以外、それ以上のことは何も見つけられなかった。
もちろん、USAID(米合衆国国際開発庁)廃止、および米国の援助を終わらせるというトランプの政策が、指導的な国際医療誌の『ランセット』によれば、1400万人の死に導く可能性もある、とトランプに指摘した者も皆無だった。(2025年7月24日、「ランティカピタリスト」よりIVが訳出)
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