米国 ミネアポリスの教訓
必要なのはトランプ止める行動
反トランプゼネストめざすキャンペーンへ
『テンペスト』協働者一同
『テンペスト』全国委員会はミネアポリスと1月30日の抗議行動日から教訓を引き出し、トランプを止めることができる類の行動はただひとつ、経済に深刻な衝撃を与える種類のもの、つまり大規模ストライキだ、と強く訴える。米国の労働者は現在大規模ストライキに乗り出す組織的な能力を欠いているが、今ここからのキャンペーンはその能力を発展させ育てる助けをわれわれに与えることができる。
この暴力を止める、高まる思い
アレックス・プレッティの殺害――ICEのミネアポリス侵略に抗議して当地の労働者がこの都市を閉鎖した翌日――は、対移民戦争に抵抗する者たちにとって、挑戦の価値を引き上げることになった。マスクで顔を隠した政府要員たちが、ICEのゴロツキどもが、かれらが押し倒した仲間の抗議行動参加者を助けたその時、プレッティを暴力的に攻撃した。彼は、催涙ガスを顔面に浴びせられ、殴打され、そして背中を撃たれた。
このすべては、目撃者によって多くの角度からビデオに収められ、世界がそれを恐怖の中で見つめた。犠牲者は、「法執行官に最大限の打撃を与え殺そうとした」「国内テロリスト」だった、とのクリスティ・ノーム(国土安全保障庁長官:訳者)の奇っ怪な主張は、プレッティが退役軍人向け集中治療看護士だったと知った何百万人もが見つめたビデオの証拠とは、著しい対照で際立った。
氷点下での巨大な行進――市民的不服従、作業停止、学校閉鎖、さらに事業停止からなる1日の頂点――から僅か16時間後に起きたプレッティの殺害は多くの者に、それはもしかしたらミネアポリスの抵抗に対する報復だったのではとの不審を、またこの種の占領部隊を打ち負かすために必要と思われるものは何か、と知りたい思いを残した。この運動が堅く守られた危険な敵と衝突するにつれ、抗議とデモが不可欠だということ、しかし、トランプを止めることになる唯一のことは、経済を深刻に揺るがすような行動の類、つまり大規模ストライキだ、ということが一層はっきりしている。
仕事も学校も買い物もノーだ
1月23日の大衆的行動は、「ノーワーク、ノースクール、ノーショッピング」の呼びかけに応えて数万人を街頭に引き出した。ほぼ千の事業所が僅か2、3時間だけだとしても連帯してその扉を閉じた。労働者たちは、病休を電話で告げ、あるいは「メンタルヘルスデー」を取った。いくつかの職場は従業員の集団的意志によって閉鎖を強要された。労組が公式のスト宣言の前で立ち止まった中でも、多くはこの行動日を承認した。
抗議は、1月7日に起きたミネアポリスにおけるICE抗議参加者のレニー・グッド殺害によって推進力を与えられた。広くふれられたように、労組の一連合、諸々の信仰組織、また居住域の非常時即応ネットワークによってゼネストが組織された。これらの陣形のいくつかは、共通の協約要求を軸に2011年に結集していた。それらはさらに、ジョージ・フロイド蜂起に続いた反レイシスト決起の長い歴史をも利用した。この組織上の異種交配が、ある種意味深い情勢をつくり出すところまで、民衆的な反ICE手入れの感情と結合した。
ひとつの調査は、州内有権者の4人にひとりが参加した、あるいは親しい参加者がいた、と見出した。これはすべて運動に向けた新しい領域だ。
政府がミネアポリスに3000人の連邦役人を送り込んだ――ものごとを釣り合いの取れた見方にするために言えば、この市が雇用する警官はおよそ600人――ときかれらは、移住者住民に対する戦争を宣言した。プレッティを殺害した国境パトロール役人は、宅配労働者を追跡中だった。彼は、現地事業所の鍵のかかったドアの陰に逃げ込んだ。
移民の諸労組と居住域全体がかれらのコミュニティを守るための行動に立ち上がっている。マスクの役人たちはかれらの暴力的な攻撃の度を高め、学校に進入し、学生や教育者と衝突した。1月20日にミネアポリス郊外のコロンビア・ハイツで保育園からの帰宅中に逮捕された5歳になるリアム・コネホ・ラモスの映像は、ICEの冷酷さを示す象徴になった。これは多くがすでに感じていた憤激を増しただけで、もっと多くの人々を23日に行動をとるよう駆り立てた。
民衆VS億万長者が根底に
トランプ大統領が2025年7月にこの作戦を始めて以来、連邦の収容所内で35人が命を落とし、8人がICE要員によって野外で殺害された。
これらの要員によって殺害されたり傷を受けた人々のほぼすべては、これまでのところ移住者と非白人だった。これらの個人には、ロスアンゼルスのふたりの父親であるアフリカ系米国人のケイス・ポーター、シカゴ郊外の同じくふたりの小学生の父親であるシルベリオ・ビレガス・ゴンザレスが含まれる。レニー・グッドとアレックス・プレッティは、両人とも白人だったという点で番外だった。
「国内の大波」は重武装、防弾服、そしてマスクで顔を隠した要員数千人を、実際の移民の集中にはおかまいなくほとんどブルー州(民主党が統治する州:訳者)の都市に展開してきた。しかしICEはこれまで、ロスアンゼルスからシカゴ、ツイン・シティ(ここではミネアポリスを指す:訳者)まで、コミュニティの民衆的な抗議行動で迎えられてきた。各事例では、反対派が新たな教訓を学び、それらは他のところの抗議参加者と共有されてきた。ミネアポリスは抵抗の仕方に関する教訓の連鎖における最新の環だ。
ツイン・シティ中のまたそれを超えるコミュニティが、単に彼らの暮らしを立て家族を養おうとしているだけの人々に対するこれらのレイシズト的攻撃に対し立ち上がってきた。かれらの行動は、それらがMAGAへの反対の深さとオルタナティブを求める潜在力を示すにつれ人を元気づけている。
抗議と移民に対する支援のほとばしりは、その心臓部に反レイシズム政治を付随させて労働者階級に基礎を置く多民族的反攻だ。それは、億万長者がSNAP(補充的栄養支援プログラム)手当、医療、また教育への資金投入を削減する中で、かれらから注意を逸らすための反移民のスケープゴートづくりをトランプが利用することに対する強力な解毒剤だ。
22万5千人を代表する全国看護士組合は、アレックス・プレッティのために国中で通夜を組織した。シカゴの退役兵業務病院の外で行われたあるイベントでは、ひとりの発言者がわれわれに、手ごろでない医療という「国家が容認した暴力」を政府要員による標的を定めた殺人と同じように認識するよう訴えた。
政府は犯罪と戦うという名目で移民を攻撃している。しかし真の犯罪者は、最富裕の1%と下院内の彼らが雇った助手だ。かれらは、われわれの税金数十億ドルを移民に恐怖を与えるために費やし、ベネズエラでの体制転換やパレスチナで進行中のイスラエルのジェノサイドにさらに数十億ドルを支出している。かれらは、本国で国内サービスを削減することによってかれらの帝国主義構想に資金を投入しているのだ。
億万長者階級は、このあからさまな盗みをうまいことやり果せる目的で、われわれの権利を守る諸個人や諸組織を抑圧する。かれらはこの間、多くの公共部門労組を攻撃してきた。またマフムード・カリル(コロンビア大学でパレスチナ連帯の学生決起を組織:訳者)のような臆することのないオルガナイザーを犯罪者にし、人々を怖がらせて抗議から遠ざけるもくろみとして街頭で人民を殺害してきた。
かれらは、学生、居住地諸組織、また労働者による大衆的抗議行動を取り除くことに成功してはいない。しかしかれらは今、われわれすべてを、この攻撃をどうすれば止めることができるかという人をひるませるような問題に突き当たらせている。
大規模ストライキの力を今こそ
これまで以上に多くの人々が今、われわれはどうすれば移民に対する戦争を止めることができるか、またさらに「手ごろさの危機」として知られる多数の経済問題にどのように取り組むことができるか、との問いに向き合っている。かれらの使命に再度焦点を当てるためのICEと国境パトロール改革という民主党による誓約は、かれらの共謀を暴き出しているにすぎない。
何人かの民主党議員は政治の風が今移りつつあると気づいている。イリノイ州上院議員への候補者、ラジャ・クリシュナムールティは、2025年6月、下院の一員として、ICEへの「感謝」を表すために票を投じた。それは、かれらがロスアンゼルスで労組指導者たちを逮捕していたときだった。彼は今、ICEは廃止されるべきと声を上げている。
ICEは廃止されなければならず、わが社会の優先性は徹底的に再調整されなければならない。しかし、われわれが一月号の論説で力説したように、われわれはこれらの変化が上から現れると期待してはならないのだ。戦争と占領(国内的な、また国際的な)から保健、住宅、そして教育へと資金投入の方向を変えるわれわれの集団的能力は、それに代えてミネアポリスからの教訓を頼りにしなければならない。
われわれの最大の力は大規模なストライキを組織するわれわれの潜在的な能力にある。この数年は、世界的に政治的なストライキを経験してきた。たとえば、2024年12月に戒厳令が宣言された韓国、あるいは退職年齢が引き上げられた2023年1月のフランスだ。
他方米国は、たとえばニューヨークでカイザー・パーマネンテ(米最大の健康維持機構:)を相手にストライキ中の数万人の医療ケア労働者のように、労働契約や安全問題に関するストライキは経験してきたが、ここで政治問題に関するストライキは普通ではない。
アレックス・プレッティの殺害後、1月30日のゼネスト呼びかけがソーシャルメディアを介して公に広められたとき、国中の人々が自ら学ぼうとしたため、「ストライキ」という言葉に対するグーグル検索が劇的に増大した。多くの都市では、ミネアポリスでの抵抗に連帯し学生がデモを決行、小企業は仕事を止め、人々は集会や行進のために集まった。
これは、途方もない潜在力を示しているが、しかし労働者が今よりもっとはるかに組織されるまでは、ほとんどの労働者は仕事を危険にさらすことなく簡単に業務放棄はできない。ほとんどの労組は、実際に違いを作り出せると思われるような、協調され規律あるストライキ行動の類に乗り出す準備からは遠く隔たっている。そしてほとんどの労働者は、組織率が10%以下という条件下、労働組合を奪われている。
それゆえ急を要する問題は、ミネアポリス、および反ICEとして民衆が決起中の他のところで例示された集団の力を、相当な経済的影響力を作る目的で、われわれがどのようにすれば動力化できるか、だ。
次にわれわれがやることは?
米国の労働者は現在、韓国のそれの規模で大規模ストライキに乗り出す組織的能力をもっていない。しかし、われわれはこの目標をビジョンとして、この組織的能力およびそれを育て維持する下部構造、をわれわれが構築するのを助けることができるような、キャンペーンを今ここで計画し立ち上げることができる。これらのキャンペーンは特定の場所や脈絡に応じてさまざまに変化があるだろう。
しかし、組織された労働者と未組織の労働者双方にとって利用できる選択肢は数多い。われわれは、前述の双方の労働者がストライキの準備態勢になるのを助けるような、ストライキ学校を開催することができる。われわれは、ICEやCBP(税関・国境警備局:訳者)に対決する行動に入るための非常時即応ネットワークを建設することもできる。
またわれわれは、職場に基礎を置く、特に学校での非常時即応ネットワークをつくることができる。そして学校は、コミュニティと職場間の交叉点にある、したがって大規模ストライキにとっては大きな戦略的重要性がある強力な現場だ。
さらにわれわれは、あらゆる職場をICEとCBPの立ち入りを拒否する修正第4条ゾーンにするために運動することができる。われわれは、それが連邦法無視を意味するとしても、ICEとCBPへの応諾拒否(いわゆる聖域州であるミネソタ州でさえ、そのような方策は取っていない)を誓約させるよう、市や町に圧力をかけることができる。
われわれはこれからの数ヵ月、メーデー――金曜日で労働日――のトランプ体制反対ストライキや時限ストを含む大衆行動を企画する明示的な計画を携えて、3月28日の「ノー・キング」抗議に向けた現場の組織化作業に加わらなければならない。
最後にわれわれは、「われわれはどのようにゼネストを構築するか」との標題が付けられた2月1日の呼びかけに3500人が参加した「メーデー・ストロング」に加わらなければならない。そこでは、労組指導者、オルガナイザー、さらにシカゴ市長のブランドン・ジョンソンまでもこの問題を扱った。その会合の焦点は、今年のメーデーにおける国を貫く協調された行動に向けた建設だった。
われわれは、反ICE運動からひらめきを引き出し、われわれの能力と力を今後高めるような、職場、学校、居住域で進行中の持続的な類の構築に力を傾けることができる。より良い世界は今誕生を待っている。そしてそれを実現させるのを助ける上ではわれわれすべてが必要になるだろう。(2026年2月9日、『テンペスト』より)
▼『テンペスト』協働者一同は、その労働の可能性が生き延びの唯一の手段である世界の住民の圧倒的多数派を、社会主義運動建設と改良獲得では決定的な要素と見ている。労働者階級はわれわれが自らを組織できるならば、社会変革の――わが社会から資本主義を取り除き、存在に関わる環境的な破局に取り組み、社会主義社会を建設する――力になる。(「インターナショナルビューポイント」2026年2月19日)
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