国際アンティ・ファシズム会議に向けて
エリック・トゥーサン
極右の前進――そして帝国主義者の戦争――に立ち向かうために世界中の左翼勢力を統一すること、これが「人民の主権のための第1回国際アンティ・ファシズム会議」の目的だ。この会合は、2000年代初頭に反グローバリゼーション運動の誕生地になったリオ・グランデ・ド・スルー州首都のポルト・アレグレで、3月26日に開会となるだろう。進行中のネオファシスト的移行を前に抵抗の断片化の克服をめざすこのイニシアチブは、五大陸中からの戦闘的左翼や社会運動を代表する幅広い広がりをもつ人物たちが署名したアピールで支持を受けた。以下は、このイニシアチブを支える推進力のひとつである「正統性のない債務帳消し委員会」(CADTM)のエリック・トウーサンに対するル・クーリエ紙(ジュネーブで発行されるフランス語日刊紙:訳者)によるインタビュー。
極右の国際化
の進展を前に
――この国際会議の背景は何か?
2023年1月8日、ジャイル・ボルソナロは大統領選でルラに敗北したすぐ後、ブラジルでクーデターを試みた。ネオファシストの前大統領の支持者たちは、選挙の不正と称するものを挙げながら、2年前のトランプ支持者による議事堂襲撃を鏡写しにして、議会棟、連邦最高裁を襲った。これらのできごとが、極右の前進が提起する危険に脚光を当てた。この認識から、国際的な反ファシストのイニシアチブ組織化という考えが現れた。
――ブラジル南部のポルト・アレグレ市が選ばれた理由は?
そこが世界社会フォーラム(WSF)が誕生した都市であったため、その象徴への依拠には力がある。実際2001年1月、当時最高潮だった反グローバリゼーション運動に向けた共通の設定課題を明確にするために、2万人がそこに集まったのだ。
第2に、ブラジルの左翼が、2022年にジャイル・ボルソナロを破ることによって、ネオファシストの脅威という道を妨げることは可能と証明したからだ。つまり諸政党――社会民主主義の労働者党(PT)から急進左翼のPSOL(社会主義と自由党)まで――、民衆の諸運動、そして諸々の労組が、ルラの勝利を確実化するためにそれらの違いを克服した。これらの主体が、今回の会議を組織する統一委員会の中に代表されている。
2024年5月に予定されたこの会合は、大洪水――気候変動の結果――が原因で延期を余儀なくされた。そしてその洪水は、その前の月にリオ・グランデ・ド・スルー州に打撃を与えていた。トランプの任期開始以来の彼による軍事攻撃の強化を条件に、われわれはそれ以後このイベントに反帝国主義の要素を加えると決定した。
――世界は現在、ネオファシスト的転換点を経験中なのか?
トランプ政権は世界の指導的権力の舵取りの位置にいる。それが今、非白人の大量追放を実行するためにICEの準軍事要員を利用する中で、極度の民族主義、白人至上主義、またホモ排撃によって特性づけられる政策を実行中だ。それゆえそれはネオファシストと表現されてよい。それは、トランプ就任に際してのイーロン・マスクのナチ式敬礼で明白に象徴された移行だ。
同時に、極右はほとんどの欧州諸国で権力に到達する怖れがある。つまり、ロシアで、プーチンの体制はトランプの体制に目立つほどの類似性を身につけている。インドは、急進的なヒンドゥー民族主義者でイスラム嫌悪のナレンドラ・モディに率いられている。一方イスラエルでは、ネタニヤフのネオファシスト政府が2年半以上にわたってガザでのジェノサイドを実行し続けてきた。
ラテンアメリカでは、2023年11月のハビエル・ミレイの選出に、2025年のチリにおけるホセ・アントニオ・カストの選出が続いた。その間、エクアドル大統領のダニエル・ノボアは彼の支配に関し、エルサルバドルにおけるナイブ・ブクレの権威主義的支配をモデルにしつつある。そして極右は、この秋ブラジルでの大統領選挙でルラを相手に勝利するために、国際的なネットワークの支援によってその力の中にあるすべてのことを行うだろう。もしそれが成功すれば、前世紀にわたって残忍な独裁を耐え忍んできたこの全大陸中に、恐るべきはね返りをもたらすだろう。
――急進右翼は、世界的なネットワークを持っているように見える。これは事実か?
われわれは、特にトランプの米国により駆動されている一種のネオファシスト・インターナショナルの出現を目撃しているところだ。2025年に公表された彼の国家安全保障戦略の中で米大統領ははっきりと、旧大陸の「愛国的な」諸政党に彼の支持を与えた。彼があらためて「裏庭」とみなしているラテンアメリカで、彼は極右候補者を利するために躊躇なく政治や選挙のプロセスに直接介入する。
周知のようにこれらの勢力は単一の世界司令部をもっていない。しかし協力の仕組みはすでに作動している。保守政治行動会議(CPAC)(米国の保守派が結集する年次会議を開催、日本にもCPAC・ジャパンがある:訳者)は毎年米州と欧州の急進右翼政党を結集している。それは近頃、米国、ハンガリー、またいくつかのラテンアメリカの国で会議を組織した。スペインの政党であるVoxが始めたマドリード・フォーラムは、これらの政党を結集するもうひとつのイベントだ。
反ファシズムの
国際戦線構築へ
――ポルト・アレグレ会議はこのネオファシストのグローバル化への対応が意図されているのか?
左翼の側のわれわれには今立ち後れがある。われわれは極右へのわれわれの対応の国際化をまだ始めないままにきた。周知のように、ファシズムと帝国主義の攻撃と闘っている諸勢力は極めて多様であり、問題は、これらの違いを消し去るということでは全くない。しかしながら不可欠なことは、これらの益々脅威を増している敵と対決する、世界規模での幅広い戦線を建設することだ。この合流には、、労働者階級、小規模農民、移民、女性、LGBTQIA+の人々、非白人民衆、抑圧を受けるマイノリティ、そして先住民を進んで守ろうとする――自然を守り帝国主義と対決して闘う中で――勢力すべてが含まれなければならない。われわれの会議は、この挑戦にひとつの対応の始まりを提供しようとするだろう。
――実際的観点では、このイニシアチブが導く可能性があるものは?
成功に向けた鍵のひとつは、控え目なままでいることだ。その理念は新しい世界的な枠組みを生み出すことではなく、ファシズムに反対する共同のイニシアチブと動員を支え呼びかけることができるひとつの場を軸に、諸政党、著名な人物たち、活動家を結集することだ。そのすべては、様々な国で闘われている戦闘を支える中で、ということだ。
この第1回世界会議に続く2回目の重要な歩みは、世界の主要な地域で2027年を皮切りに似たようなイニシアチブを組織することになると思われる。
活動家数千人
の参加を期待
約70の国からの数千人が3月26日から同29日にポルトアレグレで開催される「人民の主権のための第1回国際アンティ・ファシズム会議」に参加すると見込まれている。このイベントは同地の街頭での大デモで幕を開けるだろう。
3日間にわたるそれは、11のテーマ別全員出席会合、および自己組織される150の活動を呼び物にするだろう。討論は、社会運動、フェミニズム運動、労組運動の強化、また反ファシズムの闘いにおける国際連帯に――また制度に関わる行動がもつ潜在的可能性と限界にも――焦点が絞られるだろう。
ガザとの連帯、気候否認に反対し農地改革を求める闘い、さらにアメリカ大陸における情勢は、別の鍵になるデーマだろう。討論は、全体総会での憲章採択でまとめられるだろう。
発言者の大きな部分はアメリカ州からになるが、組織と運動の広範な広がりが、ラテンアメリカ大陸の主要な社会運動のひとつである土地なき労働者運動(MST)の1980年代における誕生地だったリオ・グランデ・ド・スルー州首都で代表されるだろう。これは、この会議に人々を招く国際的な呼びかけに署名した五大陸の千五百人以上になる著名な人物と活動家によって証明されている(署名者の具体的な例示は省略)。(CADTMより)(「インターナショナルビューポイント」2026年3月24日)
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