トルコ エルドアンの強権を許すか否か

地方選:挑戦課題

AKPには不安な要素出現

ウラズ・アイディン

 今年3月31日に行われたトルコ地方選は、イスタンブールやアンカラなど主要都市の市長選で野党候補が勝利するなど、独裁体制をさらに固めようと臨んだエルドアン大統領にとって大きな痛手となって終わった。この結果が今後のトルコ情勢にどう作用するか注視が必要になっている。以下の現地同志の論考は、この地方選を前にした動きを伝えるものだが、今後に影響する要素が示されている。(「かけはし」編集部)

 市民は、労働者の日々の暮らしを結局は何も変えないさらにもうひとつの選挙に疲れを覚えつつ、トルコで各首長と各自治体議員を選出する3月31日の選挙に出かける準備をさせられている。イスラム民族主義の支配ブロックにとって、この地方選の主な目標はイスタンブールやアンカラを含む主要都市を取り返すことだ(現在は野党の市政:訳者)。

選挙戦の中心は
イスタンブール


 エルドアン大統領は2019年の前回選挙で、1600万人の人口をもつこの大都市の行政を失う危険があったために、イスタンブールの選挙を中止しやり直すことまでやった。1994年の選挙でエルドアンが勝利したイスタンブール市政は、彼自身の台頭のためばかりではなく、トルコのイスラム主義運動の台頭のためにも、特に、市政がもつ巨額な財源の助けによるイスラム資本の発展の点で、重要なものになってきた。それゆえ、2019年にイスタンブールとアンカラを野党候補に明け渡した後では、これらの首長職を奪還することがエルドアンと彼のブロックにとって決定的になっている。現在のところ、イスタンブールの現職であるエクレル・イマモールが、エルドアンのお気に入りで前環境相のムラト・クルムに勝利することが確実に見える。

AKPを脅かす
新イスラム政党


 しかしながら、新たな挑戦者である新繁栄党(YRP)がイスラム保守右翼の政治的な広がり内部に登場中だ。社会の半分にとってはエルドアンが今なお争う余地のない指導者であり続けているとしても、成り上がり者の温床に成り果てた彼の党であるAKP(公正発展党)は、この間正統性の喪失に苦しんできた。党のこの弱体化は、YRPのようなもっと急進的な勢力を利してきた。しかし、2023年の議会選で得票率が2・6%になり、5人の議員を獲得した(エルドアンのブロックとの連携のおかげで)YRPは、おとなしくエルドアンの政治的軌道にとどまっている他の諸政党とは異なって、今このあり方に敢えて挑もうとしている。
 今回の地方選の場合、YRPは先の連合に加わることを拒否し、こうして数十の町で、よりイスラム主義的で、より社会的な主張に基づき、またパレスチナへのより非妥協的な支持に基づき、AKPと競争中だ。地方政府にAKPの保守的な者を統合することで、YRPは、AKP率いる首長職の勝利を危険にするだけではなく、クルムへの投票を呼びかけず、自身の候補者を出すことによって、エルドアンのブロックのイスタンブールをも失わせる危険を犯している。YRPの副代表は先頃「われわれはAKPが勝つのを助けるためだけに存在している政党ではない」と言明した。

クルドの闘いは
野党勝利を優先


 クルド運動に関する限り、それは新たな名称のDEM党(人民平等民主主義党)の下で、これまでいつも事実であったように、ほとんど確実に国の南東部にあるクルド地域の首長職の圧倒的多数を勝ち取るだろう。しかし現在までの数年間、クルド運動のほとんどすべての首長は、テロリズムとの結びつきとの嫌疑でその任務から外されてきた。それらの職には、親エルドアンの行政官が指名されてきた。
 西部の町に関する限り、DEM党は長期にわたって、CHP(共和人民党、主な野党)との連携を固めようと追求してきた。それは公式に認められ言明されると思われ、その下でDEM党は具体的な成果を得ると思われる。これは、多くの場合決定力があったこれらの支援の見返りに、クルドが事実上何も受け取らなかった以前の選挙の時とは異なっている。
 DEM党は、野党と対等なもっと自律的な政策を採用するようにとのその基盤からの圧力の下に、満足のいく合意がないまま、西部の町と地区すべてで自らの候補者を押し出したが、それでもそこでは精力的なキャンペーンは行われていない。このやり方でこの党は選挙ゲーム内の露出度を維持してきた。しかしDEM党は、AKPの勝利を助けないように、野党候補者との競合に力は入れていない。
 しかしながらこのキャンペーンで、急進左翼は再び分裂している。そして、さまざまな勢力間の変形容易な連携は、地区ごとに変わることも可能だ。(「ランティカピタリスト」よりIVが訳出)

▼筆者は、第4インターナショナルトルコ支部の機関誌である「イエニヨル」編集者、かつ2016年のクーデター未遂後の非常事態令との関係で、クルド民衆との和平を支持した請願に署名したことを理由に解雇された多くの研究者のひとり。(「インターナショナルビューポイント」2024年3月27日) 

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