米国　パレスチナ連帯

初めて議会内に声響く
ダン・ラボッツ

　子どもを含む多数の死に導いた５月10日のイスレエルとハマス間の新たな戦争開始に対し、大統領のジョセフ・バイデンは彼以前の全大統領同様、イスラエルへの支持を表明し、イスラエルにはハマスのロケット弾から自らを守る権利があると言明した。しかし彼は、パレスチナ民衆の苦難にふれることもできないまま、彼の政策への、民主党進歩派から高まる反対に油を注いだ。
　民主党下院議員たちと進歩的なＮＧＯ諸団体は、パレスチナ民衆の権利を認める点での、また彼らの状況に対する同情を表す点での彼の落ち度を理由に、バイデン政府を強く批判している。民主党は初めて、イスラエルに対する無条件的支持からの決別、およびパレスチナ民衆の権利への支持を求める小さいが断固としたグループ、に直面している。

古いパターン
への公然反抗
　ジョセフ・バイデンは、イスラエルへの米国の事実上無条件的な支持という古くから確立されてきたパターンにしたがい続けている。しかし今日その立場は、異議を突きつけ続けられている。パレスチナ人下院議員のラシダ・タレイヴは下院での演説で、「バイデン大統領、アントニー・ブリンケン国務長官、ロイド・オースティン将軍、さらに両党の指導者たちの言明を読む限り、いやしくもパレスチナ人が存在していることすらほとんど分かっていないようだ」と声を大にした。そして「この間、まさに今家を奪い取られようとしているパレスチナ人の家族たちへの攻撃に対する認知すらまったくなかった。拘留され、，また殺害されている子どもに対する言及もまったくない。彼らの神聖な場所でもっとも神聖な日々に祝い、祈り、跪いている参拝者に対するイスラエル警察による虐待とテロの作戦持続への認知もまったくなく、人々が祈る中での暴力と催涙ガスと煙幕で囲まれているアル・アクサ寺院に対する認知も皆無だ」と続けた。
　タレイブはさらに「もしわれわれの国務省が、パレスチナの子供たちの殺害は間違っているとさえ認める気になれないならば、いいだろう、それでは私が、無実の子どもたちの殺害に反対して私と共に立ち上がっている何百万人という米国人に成り代わって、彼らの倫理や信仰は問題にせず、それを言うだろう」と加えた。

民主党下院議員
共同文書に署名
　25人の民主党下院議員がひとつの文書に署名した。それは、ユダヤ人民族主義者が所有権を主張する土地に暮らしているエルサレムのシェイク・ジャラ住宅街の家から追い出すとの、パレスチナ人に対する脅迫を糾弾するようバイデンに求めている文書だ。そしてその脅迫こそ、パレスチナ／イスラエルにおける先頃の暴力に火を着けた問題のひとつだった。この文書の筆者であるマリー・ニュウマン下院議員は「パレスチナ人家族たちは彼らの家に安全に暮らすあらゆる権利がある。それこそが、東エルサレムのパレスチナ人家族に対するイスラエル政府のこうした悪辣な敵対行為を即時糾弾するよう国務省に求めている文書に、私が同僚たちを誘った理由だ。米国はどこであれ人権を擁護しなければならない」と言明した。
　下院議員のベティ・マッコラムは、パレスチナ人の権利を侵犯する諸行為に米国人納税者の資金をイスラエルが使用することは許可しない、とする法案を下院に提出した。すなわち「イスラエルの安全保障を意図した米国の支援は平和を増進すべきであり、子どもの人権を侵犯し、パレスチナ人家族の家を取り壊し、あるいはパレスチナ人の土地を永久に併合する、そうしたことに利用されては決してならない」と。

左翼の活動
さらに重要
　バーニー・サンダース上院議員はニューヨークタイムズに意見を投稿した。すなわち「……イスラエルは今もイスラエルとパレスチナの大地において主権政府のひとつにとどまっている。そしてイスラエルは、平和と公正を準備しているというよりも、むしろ不平等かつ非民主的な支配を強固に固めてきた……。ネタニエフ氏はイスラエル内での10年以上にわたる彼の右翼的支配を通じて、レイシスト的民族主義の一層不寛容になり権威主義的なタイプを磨いてきた……。イスラエルへの援助に年40億ドル近くを提供してきた所である中東で、われわれはもはや、右翼のネタニエフ政権とその非民主的でレイシスト的なふるまいに対する弁解者であってはならない」と。
　政治家たちに加えて、外交政策を、また移民、環境、レイシズム、他の多くの問題をも扱っている１５０のＮＧＯもまた、バイデンに彼の立場を変えるよう求めた。米国民主的社会主義者と他の米国左翼は長期にわたって、パレスチナ人の権利の支持者となってきた。（「ニューポリティクス」より）（「インターナショナルビューポイント」２０２１年５月号）　