米国 共和党が子どもたちの大量殺戮に責任がある
ダン・ラボッツ
5月24日午前、18歳の男がAR15の軍用突撃銃を抱えてテキサス州ユバルディのロブ小学校に入り込み、銃撃を加え、子ども19人と教員2人を殺害、さらに17人を負傷させた。彼はその日もっと早くに祖母を撃っていた。彼が殺害し負傷させた子どもたちは、9歳、10歳、11歳だった。殺人犯のサルバドーレ・ラモスはラティーノだったが、彼の犠牲者の全員近くも同じだった。ユバルディの町は、約1万6000人の住民を抱える労働者階級のメキシコ系米国人のコミュニティであり、平均年収は全国平均のおよそ3分の1だ。
比類のない
米国の問題
僅か10日前の5月14日、別の18歳になる白人レイシストが、ニューヨーク州バッファローのトップス・フレンドリー・マーケットという食料品店に入り、11人の黒人と2人の白人、合わせて13人を殺害した。しかし、3人以上の命を奪う大量殺人は、豊かなコミュニティでも貧しいコミュニティでも起きている。「銃暴力文書館」(非営利の調査グループ:訳者)によれば、大量射殺が2019年に417件、2020年に611件、2021年に693件あった。
最大の死者数を出した銃撃事件は2017年にラスベガスで起きた。そこでは、ひとりのガンマンが50人以上を殺害、500人の負傷者を残した。今年すでに、221件の大量射殺があり、そのうち27件は学校での射殺だ。もっとも普通の大量射殺は家庭内で起き、家庭内暴力と関係している。しかし人々は、教会、シナゴーグ、コンサートホール、スポーツイベントでも大量射殺で殺されている。多くの他の米国人は、ギャングの抗争の中で、警察によって、また自殺として、ひとり、ふたりという形で殺されている。
そのような大量殺人の記録は、EU諸国ではまったくなく、英国、カナダ、あるいはオーストラリアでもない。それは、比類のない米国の問題なのだ。
銃規制への敵対
を続ける者たち
この国の主要な銃器ロビーかつ共和党と提携している右翼組織である全米ライフル協会(NRA)は、ユバルディの大量殺戮の4日後、テキサス州ヒューストンでのその年次大会銃器ショーをためらいを見せずに前に進めた。前大統領のドナルド・トランプと共和党の政治家たちは発言で、銃が問題ではない、と力説した。
彼らは、鍵をかけた扉や金属探知器また武装警備員による学校の「強固化」、そしてより多くのメンタルヘルスのカウンセリング、を求めて声を高め、われわれの社会内の「悪」を嘆き悲しんだ。何人かの共和党員は、武装侵入者に対応できるように、教員の武装を求めた。共和党上院議員のテッド・クルーズは「武装した悪い男を止めるのは武装した健全な男だ」と語った。
それでもはっきりしていることは、それほど多くの銃とそれほど多くの高機能銃がわが国に存在していることが大量射殺の主な原因、ということだ。米国の人口は3億3000万人だが、われわれは3億9000万丁の銃を所持している。そして男と女、白人、黒人、ラティーノがもっと多くの銃を今も買っている。今日、2000万丁の軍級突撃銃が文民の元にある。これらこそ、この10年に大量射殺としてそれほど多くのいのちを奪ってきた銃器なのだ。
ロブ学校銃撃事件の後、国中の高校で何千人という生徒たちが、抗議のために学校を出、この殺害に関し何ごとかを行うよう政府に求めた。数百人の大人もまた、ヒューストンのNRA大会の外で、また他の都市で抗議行動を行った。彼らは、銃器購入に際して犯罪経歴とメンタルヘルス経歴の確認を求める68%、もっと厳格な銃器法を切望する47%で示される米国人多数派、に代わって発言している。民主党は全般的にもっと厳格な銃規制を支持しているが、共和党は事実上、銃所有に関するあらゆる規制に反対している。
銃規制へのこの反対は全般的に、中絶やLGBTQの人々にも反対している同じ白人福音派クリスチャンによって率いられている。NRA、福音派、また共和党にとって、銃が象徴しているのは、彼の家とビジネスを黒人とラティーノから守るために、また必要となれば政府に対して、武器を取る用意がある、独立した白人クリスチャンなのだ。
問題は、銃規制への共和党の反対が、中絶への彼らの反対同様、11月の中間選挙に向け無所属と民主党支持者を大きな数で登場するよう導くだろうか、ということだ。われわれは分かるだろう。女性と銃規制活動家両者とも、共和党を打ち破るために組織化を続けるだろう。(2022年5月28日)(「インターナショナルビューポイント」2022年5月31日)
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