スーダン クーデター派の内ゲバ

クーデターの本音は白日の下に

ポール・マーシャル

 スーダンには、軍と準軍事グループ間の準備が整えられた戦闘がある。このふたつは今、国の支配を求めて容赦のない戦争に取りかかり、文民政権設立の交渉を危険にさらしている。
 それらは一体となって、オマル・アルバシル体制を終わりにしたスーダン革命から登場した文民政権を打倒した。ほぼ3年後、正規軍のスーダン軍(SAF)のトップであるアブデル・ファター・アルブルハンとヘミディティとして知られるハムダン・ドゴロが率いる準軍事集団の即応支援部隊(RSF)間の現にある競合は、あからさまで命を犠牲にする紛争へと転じた。

広がる戦争の中
民衆の犠牲深刻
 この2分派は今、スーダンの首都であるハルツームにある戦略的な地点をめぐって重火器を使って戦闘中だ。RSFは、公式メディア、大統領官邸、また空港を奪取しようとしている。他方SAFは、さまざまな居住地区内に置かれたRSFの陣地を空爆するために空軍の使用もためらっていない。
 住民には、家にとどまり、砲弾が家を直撃しないことを期待する以外の選択肢がない。すでに何十人もの市民が殺害され、数百人が負傷した。
 この紛争が国中に広がるという怖れは確認されている。戦闘は今、いくつかの他の都市、ポート・スーダン、北部ダルフールのカブカビア、北部コルドファンのエル・オベイド、中央ダルフールのザリンゲイ、さらにまた西ダルフールの首都であるエル・ゲネイナでも起きている。

RSFの実体は
民衆抑圧の部隊
 RSFの起源はジャンジャウィードだ。これらの民兵は、20年前のダルフール紛争の中で恐怖を広げるために、オマル・アルバシルによって幅広く利用された。これは、人道に反する罪として国際刑事裁判所がバシルを起訴するよう導いた。ジャンジャウィードはヘミディティ指導部下で、準軍事集団のRSFを建設することを助けた。後者は、この国の金鉱山に対する支配を維持し、それらの指導者たちがスーダンでの最も裕福な者のひとりになることを可能にしている。
 RSFはまた、国境警備隊としても行動した。そしてそれらは人身売買に関与した。それらは、国境を越えようとした移民たちを逮捕し、リビアの民兵に売り渡した。RSFは、サウジアラビアとアラブ首長国連邦の求めに応じ、フーチ派を相手にしたイエメンでの戦争で支払を見返りにした傭兵の役割を果たした。
 この2、3ヵ月間たとえヘミディティが自身も首謀者のひとりのクーデターへの批判を止めず、市民に自分を支持するよう呼び掛けているとしても、RSFが2019年6月の座り込み殺戮に責任があったということ、そしてクーデター反対の市民に対する抑圧に大いに関与したままであることを、誰ひとり忘れていない。そして先の事件では、100人以上のデモ参加者が暗殺されたのだ。

誰が頭目か
を巡る衝突
 皮肉なことだが、この紛争に火をつけたのは、軍と民主勢力の一部間で数ヵ月間交渉された、権力を文民に引き渡す合意だった。最初の枠組み協定が署名を終えていた。この協定は微妙ないくつかの課題を未解決なままに残し、そこにはRSFのSAFへの統合が含まれていた。
 ブルハンは段階的な統合を提案したが、他方ヘミディティは逆にRSFをあるがままに統合することをめざした。これは、彼にスーダンでの中心的な人物として残す余地を与えるものだった。彼は、この国の頂点に立つという野心を全く隠さなかった。これは、ダルフール出身の前ラクダ売りにとってはある種の復讐だ。
 同時に、シャムス・エルディン・カッバシ将軍が率いるSAF参謀部の一部は文民との交渉プロセスには不満だった。最後に、イスラム派将校たちは、かれらがある種の裏切りだと考えたことを理由にヘミディティを決して許さなかった。ヘミディティは、2019年に街頭の圧力の下でオマル・アルバシルの権力が揺らいだ時、彼を最後まで支持することを拒否したのだ。
 展開中のできごとはまた、抵抗委員会の立場の妥当性に対する確証としても理解されてよい。この委員会は変わらずに、国の独立以来クーデターを実行しそれ自身の約束を裏切ることを止めることのなかった軍の権力と交渉することを拒否してきた。
 ブルハンとヘミディティがこの国が混沌に陥ることを避けるためとしてクーデターを正当化したことを思い起こそう。(2023年4月19日、「ランティカピタリスト」より)

▼筆者はインターナショナルビューポイントの通信員。「アフリク・アン・リュッテ」編集者で、フランスの第4インターナショナルメンバーでもある。(「インターナショナルビューポイント」2023年4月24日) 

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