米国 大統領を事実上王に!
最高裁決定
ダン・ラボッツ
先週の最高裁決定が米国政治システムを原理的に変えてしまい、前大統領に対する下級審の案件を停止し、彼が2期目に再選されるならば、彼が専断的な権力を得るだろうとの見通しを高めた。81歳になる大統領のジョー・バイデンが肉体的にまた精神的に衰えつつあるように見えるにつれ、また悲惨な討論の出来映え後は、先のすべてが諸々の世論調査に入り込んでいる。当面、ものごとはぞっとするような状況だ。
米国最高裁は7月1日、6対3の決定で、米国大統領は公的行為では免責を、核心的な大統領職務では完全な免責を、そして他の公的行為では推定に基づく免責を享受する、と裁定した。非公式なあるいは個人的な行為になるのが何かは、将来の法廷による解釈に白紙のまま残されている。判事のソニア・ソトマイヨールは、以下のように力強くエネルギッシュな反対意見を書いた。
――前大統領に刑事免責を認める本日の決定は、大統領制という制度の形を変える。それは、法を超える者は誰もいないという、わが憲法と政府のシステムに基礎を与える原理のまがいものを作る。……米国の大統領はこの国で、またおそらく世界でもっとも力をもつ個人だ。……彼が多数派の論法の下に何らかの形で彼の公的権力を使う場合、今や彼は刑事訴追から遮断されるだろう。政治的ライバルを暗殺する海軍シール・チーム6への命令はどうなるか? 免責だ。権力保持のための軍事クーデター組織化は? 免責だ。恩赦と引き換えの買収は? 免責だ。免責、免責、免責――
彼女は彼女の声明を「大統領は今や法の上に立つ王だ」で締めくくった。
2021年1月6日の反乱とクーデター未遂における彼の役割を理由に彼に対し行われた起訴から、免責を主張して事件を法廷に持ち込んだのはトランプだった。この決定は、問題の事件、および公文書取り扱いの誤りを理由にトランプを被告とするもうひとつの事件両者が、大統領選以後に延期されることになるとの意味をもつ。公的行為か、非公的行為かについて考慮される可能性のあるものについて、両事件で彼らの意志が聴取されなければならないからだ。
常に「絶対的な免責」を主張してきたトランプは、法廷の決定を「憲法の大勝利」と呼んで褒め称えた。そして彼は即座に、彼に対する裁判すべてを終わりにするよう要求した。文書事件の判事はすでに手続きを停止にした。
最高裁の決定は、6月27日に行われた最初の大統領選候補者討論におけるバイデンの破滅的な出来映え、民主党内にパニックを引き起こした完敗のすぐ後に出てきた。その時以来トランプは世論調査で得点を重ね、他方何人かの民主党議員は、バイデンに降りるよう訴えてきた。
しかし党の指導者たちや寄付提供者や顧問たちがいくつも会合を重ねつつも、かれらはバイデンを別の大統領候補で置き換えることに関し、まだ決定に達することができずにいる。とはいえ現時点(7月7日)でバイデンは、選挙にとどまると語っている。
民主党の左派の位置にいる進歩派コーカスと進歩派スクワッドは、懲罰を恐れて、バイデンと彼を置き換える問題に関し沈黙を守ってきた。その後スクワッドもまた、下院再選をめざした予備選でのジャマール・ボウマンの敗北によって先頃弱くされた。
米国民主的社会主義者(DSA)は、「バイデンは引き下がらなければならない、と民主党指導部に伝えよう」との内容の声明を出した。それは多数の主流のまた進歩的な出版物をオウム返しにしたものだったが、これらの問題で社会主義者は全く重みをもっていない。
民主党が8月19日から同22日にシカゴで開催される党全国大会で素早く別の候補者でバイデンを置き換えるならば、トランプが止められるかもしれないチャンスはまだある。多分。
当地での夏に伴って、ある人びとは長期休暇にあり、地球温暖化が引き起こしている極端で危険な熱波の下で1億3千万人は汗だくになり、ビーチは満員、通りは静か、そして諸々の運動は当面静まっている。現時点でものごとは非常に厳しく見える。(2024年7月7日)(「インターナショナルビューポイント」2024年7月7日)
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