米国大統領選

ハリス、多数求め右に動く

親パレスチナ民衆の動向は白紙

ダン・ラボッツ

　副大統領のハリス・カマラは今熱を帯びた政党になっている民主党指名者だが、とりあえず驚くべき成功を得た。７月21日に選挙戦に入ってから、彼女と彼女の立候補仲間のミネソタ州知事のティム・ウォルズは、５億４千万ドルを集め終え、数十万人の支持者を巻き込むズームでの話しかけを組織し、何回か数千人の集会を行った。
　黒人、ラティーノ、女性、また若者の支持者が今彼女のうねりを動かしている。彼女は、彼女の背後に結束した党に基づいて、無所属の人々を、またおそらく何人かの共和党支持者をも勝ち取ろうと挑んで、右へと動いてきた。
　２０２０年の民主党予備選におけるひとりの大統領候補者として、ハリスは最初自らを進歩派として提示した。しかしリベラル中道に動いたと批判され、その後彼女の揺らぎを理由に支持を失い、最終的に予備選を待たずに脱落した。彼女は今回、そのような間違いはしないつもりでいる。彼女は中道に位置をとり、右も習得中だ。
　彼女は民主党全国大会（ＤＮＣ）での受諾演説で燃えるような愛国者だった。彼女は、米国は「地球上で最も偉大な国だった」、また「世界の歴史上もっとも偉大な民主制だった」と語った。そして「最高司令官として私は米国を常に世界で最強の、もっとも致命的な戦力を保有し続けるつもりだ」と約束した。さらに、「私は米国が――中国ではなく――21世紀に向けた競争を確実に勝ち抜けさせるつもりだ。そしてわれわれがわれわれの世界的指導性を強化する――放棄ではなく――のを確実化するつもりだ」と付け加えた。
　同大会の組織化担当者たちは、大会が確実に何千という米国国旗で満たされ、代議員たちが「Ｕ、Ｓ、Ａ」と唱和するよう手配した。それは両方とも、通常は共和党に対して連想される特徴なのだ。
　ハリスは、他のいくつかの問題でも彼女の以前の立場を穏健化している。かつては私的な医療保険への敵対者で普遍的な政府保険の代弁者だった彼女は、２０２０年時点でそれを止めた。かつてはフラッキングの敵対者だった彼女は今それを受け容れている。理由は、それに反対することが、彼女にペンシルバニア州という鍵になる州を犠牲にさせる可能性があるということだ。その州ではフラッキングが経済の重要な部分であり、また職の提供産業なのだ。
　彼女はさらにかつては、全自動車は２０４０年までにＣＯ２排出ゼロを達成すべき、との立場を支持していたが、しかし彼女はもはや電気自動車義務化を支持していない。同様に彼女は、ブラック・ライヴズ・マターを受けて警察予算削減と社会サービスへのより多くの資金投入を支持した。しかし彼女はもはや警察予算削減を支持していない。
　彼女は当初、元大統領のドナルド・トランプの国境の壁に反対したが、その後バイデン大統領がその考えを受け容れた時、彼女もそうした。今彼女は、国境の壁を含んだ二党合意の法案が下院を通過するならばそれに署名する、と語っている。２０２０年に彼女は、軍スタイルの突撃銃に対する義務的な買い戻し計画を支持した。
　中東に関して彼女は、名目上停戦を支援しつつもイスラエルを支援するバイデンにピッタリしたがっている。彼女は受諾演説で、「バイデン大統領と私は、イスラエルの安全が確保され、人質が解放され、ガザでの苦しみが終わり、またパレスチナ人が尊厳に対するかれらの権利を実感できるように、この戦争を終わりにするために努力中だ。安全保障、自由、そして自己決定」と述べた。
　堂々とした言葉だ。しかしそれらは、対イスラエル軍事支援の停止のような、先のような結果をもたらすことを可能にすると思われるどのような実際の提案にもつながっていないのだ。
　ハリスの姿勢は今機能しているように見える。「ユーエスエー・トゥデー」とサフォーク大学による最新世論調査は、48％対45％でハリスがトランプをリードしている、また以前はトランプに傾いていた４州を彼女が勝負に持ち込んでいる、と示した。ちなみにその４州とは、アリゾナ、ジョージア、ネバダ、そしてノースカロライナで、そのすべてはこの選挙の鍵を握っている。ハリスとトランプは９月10日に討論の予定だ。
　ハリスが選挙戦に入る以前、パレスチナに関する米国の政策に反対する数十万人の民主党予備選投票者は、予備選における彼らの票を未定として投じた。11月５日の選挙でかれらがどう投票するかは依然未定の問題として残っている。ハリスの問題含みの立場のすべてにもかかわらず、トランプを敗北させるための手段は彼女だけが提供している。（２０２４年８月31日）（「インターナショナルビューポイント」２０２４年９月５日）