ドイツ:連邦議会選を受けて

順応ではなく議会外抵抗を!
ハインリヒ・ノイハウス/J・H・ヴァッセルマン

 今年2月23日に行われた連邦議会選結果は、この国の右移行を止めることは可能、と確証している。議会では、208議席を得た保守派のCDU/CSU(キリスト教民主同盟/キリスト教社会同盟)、および152議席を得たファシストのドイツのための選択肢(AfD)が最強の位置の確保を達成した。それらは合わせて議員数630人のうち十分な多数を占めている。AfDは、得票率を10・3%から20・8%にまで2倍以上にし、自らを真の勝者とみなしている。

ファシズム
への一押し


 AfDにせき立てられて、「不法」移民問題が選挙キャンペーンの中心に置かれた。AfDにより攻撃的に宣伝された非人間的なレイシズムが、「民主的な中道」の右に向けた大規模な政治的移行に導いた。対照的に、労働者階級の基本的な利益は、これらの党の場合、ほんの二次的な役割を演じたにすぎない――たとえあったにしても――。
 3年前のウクライナに対するロシアの侵略を受けてショルツ首相(SPD)が宣言した「時代の変化」もまた、ドイツ内のある種の多数を捉えているように見える。再武装と好戦志向が反対を受けることがないまま広く受け容れられている。BSW(ザーラ・ヴァーゲンクネヒト連合)と左翼党の得票だけが、社会の軍国主義義化に対する原則的な拒絶として理解されてよいと思われる。

SPDの崩壊
左翼党の健闘


 分解した連立、アンペル(交通信号に似た赤、橙、緑)を構成した諸政党はこの選挙での主な敗者になった。SPDは、得票率16・4%で1949年以後では群を抜く最悪な結果を記録した。FPD(自由主義者)は、前倒し議会選の引き金を引いたのだが、議会参入閾値の5%を超えることに完全に失敗し、もはや議会には議員がいない。緑の党は罰を受ける点では最小だった。かれらは得票率11・6%で、それでもかれらの歴史上2番目の好成績を達成した。
 左翼党からの右翼分裂グループであるBSWは、議会参入を僅かの差で逃した。他方左翼党は、同様に2、3週間前までは5%の壁を越えることができない危険の中にあったのだが、得票率8・8%を得、現在までで3番目の好結果を達成した。特に、この党がそのほとんどが若者の新党員数万人以上を獲得できているからには、先の結果は希望の微光以上のものだ。
 これらふたつの現象は、連邦議会におけるメルツ(CDU党首:訳者)の一揆(AfDの助けを借りて連邦議会で反移民の決議を採択させたことを指す:訳者)が引き起こした政治的二極化の高まり、およびその後のおよそ150万人による反ファシスト抗議行動の高揚を原因としている。

ファシズム打倒
へ社会の動員を


 CDU/CSUの「首相候補」であるメルツは、開票日当夜AfDとの連立を除外した。彼の公式に公表された目標は、SPDと早急に連立を組むことだ。しかしながら当面SPDは、メルツが率いる保守派の右翼との連立に対する党内の批判を弱める目的で、時間をカードにした勝負に出ている。
 残念ながら、これまでに起きた反ファシズムの大衆的決起はまだ、右へのこの地滑りを止めるだけの十分さになっていない。「共にファシズムとの対決を」のスローガンは、それが希望に満ちた社会的展望で満たされる場合にはじめて長続きする影響力を得るだろう。
 今は、行動的かつ組織されたやり方で活動に引き込まれまた参加するために、「旗を立てる」時だ。この勢いを社会のあらゆる分野――住宅街、職場、学校、大学内で、それだけでなく労組と他の社会運動の中で――で進行中の政治的な活動に変えることは、大きな挑戦課題になるだろう。 時代の命令は今、AfDに対する「防火壁」、あるいは議会の「堤防」に対する期待ではなく、議会外の抵抗だ。この議会外運動が、レイシズム、民族主義、ファシズム、また好戦論に反対しなければならず、住民の広大な多数の社会的かつ環境的な利益を守らなければならない。(「ランティカピタリスト」2025年2月26日より)(IV2025年3月11日)

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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