マムダニの勝利

社会主義運動建設進める道は?

ケイ・マン

 ニューヨークシティ市長選におけるゾーラン・マムダニの勝利は、左翼を活性化し、トランプ(彼を「共産主義者」と非難しニューヨークへの連邦資金を止めると脅した後、今は彼を取り込もうと試みているように見える)を怒らせた。さらにそれは、独立した政治行動と民主党の選挙リスト利用に関する、左翼の論争に刺激を与えた。
 マムダニは、手ごろな住宅や交通や子どものケアといった諸問題について直截に語り、民主的社会主義者、ムスリム、親パレスチナ移民と公然と名乗るような、反資本主義の推進力を内包する急進的な政綱に基づいて勝利した。彼はまた、ICE(移民・関税執行局)のテロ的手入れとトランプに対する公衆の支持低落の時期に移民を擁護した。
 このキャンペーンでは、労働者階級と移民の居住区内で途方もない熱気があった。およそ10万4千人のボランティアが戸別訪問作戦に決起した。ここにはニューヨークシティ米国民主的社会主義者(DSA)の1万千人になるメンバーが含まれ、この組織は彼の立候補を承認した。
 このキャンペーンの大衆的な草の根的性格とその親移民の性格が、それを幅広い反トランプ運動の一部にした。ちなみにその運動はこの2、3ヵ月を通じて、これまでに巨大な全国規模の決起を経験してきた。10月18日に行われた最新のデモは、7百万人を連れ出した。

草の根の力が
勝利の原動力


 マムダニは民主党予備選で、ふたりの信用を失った政治家を打ち破った後、民主党候補者として立候補した。その政治家のひとりは、セクハラの露呈後に辞任させられた元知事のアンドリュー・クオモで、本選挙では無所属として立候補した。もうひとりは汚職での起訴を前にしていた現市長のエリック・アダムスで、最終的にトランプによって政治的にその起訴から救い出された。
 マムダニが本選挙で前にしたのは クオモと共和党のカーティス・スリワだった。後者は、警官をさらに7千人雇用するとの政綱で立候補したよく知られた自警団指導者だ。マムダニの勝利は、数々の世論調査でトランプの勢いが衰えつつあるときに合わせた、国中における民主党の勝利の波の一部だった。そこには、DSAメンバー数名も含まれる。
 ある者たちはマムダニの勝利を「想定外」と表現してきたが、彼は選挙前の世論調査すべてで好感されていた。想定外が起きたのは彼が民主党予備選で勝利したときだ。マムダニは民主党で権力を握る者多数からの反対に直面したが(民主党上院指導者のチャック・シューマーと元大統領のバラク・オバマは彼を支持しなかった)、何人かの民主党政治家の承認からは利益を受け、そこには中道派のニューヨーク州知事のキャシー・ホウクルが含まれる。

前途に控える
綱領実行の壁


 マムダニのキャンペーン、勝利、また彼の綱領の実行に対する見通しは、ひとつの基本的な矛盾を前にしている。彼は、彼の進歩的な綱領に基づいて選挙に勝利した。民主党の諸資源といくつかの承認に基づき民主党のラベルを冠して選挙に勝利したことで、彼は彼の綱領を和らげるようにとの、民主党内部からの巨大な圧力にこれから直面する。知事のキャシー・ホウクルは早くも、彼の綱領実行に必要になるだろうとマムダニが正しくも力説する超富裕層課税における高率増税には反対するだろう、と示している。
 民主党の既成エリート、不動産業界、また彼の綱領への資金充当のためマムダニが課税するつもりの億万長者たちから今後出てくる少なからぬ圧力は、その綱領の実行を求めて圧力をかける大衆運動の必要性を指し示している。そしてキャンペーンの草の根的な基本要素は、そうした運動を築き上げる点での潜在的可能性を指し示している。
 しかしながらマムダニは、自身を非政府組織(NGO)出身の顧問たちで取り囲んだ。そして、彼の綱領を実現する民主的に統制された運動の建設というよりも、今はむしろトップダウン型組織を作り上げようとしているように見える。

民主党リスト
利用には限界


 マムダニの選挙は、公職を勝ち取る上での民主党選挙リスト利用の有効性に関し、DSA内の、また米国左翼を貫く論争を活気づけるだろう。それは、民主党外部での独立した社会主義キャンペーンで立候補する「鮮明な決裂」に対置される、いわゆる「陰での決裂」に関する論争だ。
 鮮明な決裂の支持者は、民主党は億万長者が支配する、社会主義の乗り物には変革できない1%の党だ、と強調する。かれらは、民主党としてあるいはその承認の下に立候補することに反対し、可能なところでの独立した社会主義的キャンペーンを訴える。
 他方陰での決裂を支持するほとんどの者は、民主党は改良不能ということには同意するが、民主党選挙リスト利用をひとつの戦術とみなしている。DSAと他の社会主義者の候補者はマムダニが勝利したと同じように選挙に勝利したことがあるが、そうした路線で独立した社会主義組織がどのように建設可能かを知るのは難しい。
 米国の政治情勢は今日、4月5日以来少なくとも3回の大規模な「ノーキングスデー」デモで見られた反トランプ抵抗の成長、彼自身の基盤内部での支持後退を示す世論調査、そして成功裏に進んでいるマムダニ類似のキャンペーンを含んで、米国内で独立した大衆的な社会主義運動を建設する実体的な可能性を指し示している。しかし、もし社会主義者が民主党として立候補するならば、そのエネルギーは吸収されるか浪費されるだろう。

労働者階級とその同盟者に向かう独立した政治行動


 大衆運動に根をもつ独立した社会主義キャンペーンが今日選挙で勝利できるという証拠はある。この4月、ミルウォーキーDSA共同議長のアレックス・ブロワーが、DSA、緑の党、革命的社会主義者の組織であるソリダリティの承認に基づいて市議会の1議席をめぐる補欠選挙に勝利した。彼は、当地の発電会社市営化を含む急進的な綱領、およびDSAの小部隊とリベラルで進歩的な民主党候補者を決定的に打ち破るための他のボランティアに基づいて、公然とした社会主義者としてエネルギッシュなキャンペーンを展開した。
 これは党派選挙ではなかったというものの、公然とした社会主義者としてのブロワーの勝利、また彼のキャンペーンの大衆的な民主的な性格は、首尾のよい大衆的な社会主義的キャンペーンが実行可能であり、勝利できる、と示している。ブロワーもまた、当地発電会社市営化を目的とするDSA内に基礎を置く「電力を人民に」という名称の大衆組織を創建し、またそれを導いている。
 ミルウォーキーはニューヨークではなく、市議会議席も市長職ではないとはいうものの、ブロワーキャンペーンの中で見られた大衆と選挙における反資本主義的な社会主義政治の組み合わせは、米国社会主義にとっての前進の道を表している。
 マムダニとブロワーのキャンペーン、および成長中の反トランプ、反ICE運動は、その各々のやり方で、争いに挑み選挙を勝ち取るために労働者階級と被抑圧層のコミュニティの熱気ある支持を引きつける、またトランプのネオファシズムと民主党の新自由主義に対する社会主義的オルタナティブを海図に印すことを可能にする精力的な大衆的社会主義運動を建設する、そうした社会主義者にとっての潜在的可能性を指し示している。(2025年11月27日、「インプレコール」2025年12月号掲載向け)

▼筆者は、ウイスコンシン州立大学社会学講師で、ソリダリティのミルウォーキー支部の一員。(「インターナショナルビューポイント」2025年11月29日)

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