米国:トランプの脆弱化

二期目で初めて表面化開始

ダン・ラボッツ

 トランプ大統領は第二期になって初めて、彼の政府に対する今までの絶対に近い支配を脅かす深刻な異議突き付けを前にしつつあるように見える。何よりもまずあるのは、ほとんどの米国人に対し経済を手ごろなものにするという彼の約束が今も満たされていない、という感覚だ。
 これこそが、国のあちこちで行われた11月4日 の選挙で彼と彼の党が敗北した理由だ。
 トランプはこの選挙敗北を政府閉鎖のせいにした。共和党と民主党の予算に関し合意に達する点での無能さが引き起こした前例のない43日間の政府閉鎖は、途方もない苦しみを生み出した。補充的栄養支援プログラムを頼りにしている子どもや高齢者や障がい者の4200万人にのぼる米国人のほとんどが、一ヵ月以上かれらの食糧手当を失った。
 そして今、共和党の予算が、オバマケアにより補充されていた4500万人の92%に対し医療保険費用を、ある者の場合倍になるほど引き上げることになる。より高い率は、何百万人もの人びとに対し医療ケアを手ごろでなくするだろう。そうであれば、48%の米国人が責めをトランプ大統領に帰せ、他方民主党を責めるのが34%にすぎないのも、何の驚きでもない。
 予算が日程にもはやない中で、政府は死亡した金融業者で性犯罪者のジェフリー・エプスタインのファイルを公開せよという、民主党議員と共和党議員両者による要求が下院の設定課題に戻っている。MAGAの基盤はファイル公開を強く求めている。
 トランプはものごと全体を「悪ふざけ」と呼ぶが、しかし彼は、元大統領のビル・クリントン、および元財務省長官でハーバード大学学長のラリー・サマーズを含むエプスタインファイルに名前が見える民主党員の調査を司法長官のパム・ボンディに求めてきた。ファイル公開の動議が下院をまたおそらく上院を通るのはありそうに見える。そしてその時動議は、採択か拒否かを決めるためトランプに送られるだろう。しかし彼はそれを敢えて拒否するだろうか? 彼に関しファイルにあるものを彼は恐れるだろうか?(トランプはファイルの公開を最終的に承認した:訳者)
 この問題は、エプスタインファイルを公開できないことを理由に、また医療ケアと食糧の費用高騰を理由に、トランプを公然と批判しているマージェリー・テイラー・グリーン下院議員によって、MAGA内の最初の公然とした分裂に導いている。トランプはグリーンを「変人」と、また「わが偉大な共和党の恥」と呼んでいる。しかし他の共和党議員もまたファイルの公開を求め、何人かは医療ケア費用に関し懸念を表明している。そうであれば、グリーンの反抗は今後の仲違いに合図を送る可能性もある。
 トランプは、年収10万ドル以下で暮らす全米国人に関税によって利益を与えられる2千ドルの配当を与えることを計画している、と公表してきた。問題は、配当には3千億ドルの費用がかかると思われるが、関税が生み出したのは1750億ドルに過ぎない、ということだ。トランプはまた、今年のもっと早くの配当も約束した。その時イーロン・マスクと政府効率化省は諸々のプログラムと職を切り刻んでいたのだ。そのボーナスは全く到来しなかった。
 トランプは、透明性や手ごろさへの焦点の当て方が、2つの戦線における戦争に対するより僅かなように見える。そしてその戦争とは、移民・関税執行局と州兵の民主党統治の米国都市に対する派遣、およびベネズエラ侵攻の準備だ。
 MAGAの基盤はその前者は支持するが、しかし体制変革を目的にした対外戦争にはわだかまりを抱くだろう。しかもそれにトランプは、反対のキャンペーンを行ったのだ。
 トランプは諸矛盾に巻き込まれ、困難に陥っている。それゆえ多くの視線は今、あらゆる者が民主党が下院と上院を取り戻すことができるかどうかいぶかっている中で、2026年11月の中間選挙に焦点を当てている。(2025年11月16日)(「インターナショナルビューポイント」2025年11月17日)

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