ケニア 地域を破壊する虚構的構想

グリーン資本主義に抗議して

ポール・マーシャル

 先住民コミュニティが今、かれらの土地を使ってカーボンクレジット創出をめざす構想に抵抗中だ。その構想は、牧畜に根ざす経済を深く変えると思われるのだ。
 カーボンクレジットは、多国籍企業に環境保護計画への資金提供によりそれらのCO2排出相殺を可能にさせる金融商品だ。ケニヤでは、ノーザン・ランゲランズ・トラスト(NRT)がこのタイプの活動を専門に扱っている。それは、「保護地」、つまりこの目的のためにとっておかれた地域を管理している。

 巨額を呼び込む
 うさん臭い計画

 NRTは「北ケニア草地カーボン構想(NKCP)」に乗りだしている。その目的は、ネットフリックスやメタといった企業にカーボンクレジット――放牧行為の再組織化を通した土壌中への炭素隔離により生み出された――を売ることだ。
 この構想が対象とするのは2百万ヘクタールにおよび、1ダース以上の「保護地」から構成され、さまざまなコミュニティ、特にレンディレ、マサイ、ボラナ、サムブルの10万人近くに影響を及ぼす。これらのコミュニティは、牧歌的な諸々のやり方を使ってかれらの家畜を放牧している。そのやり方は、地方の地域的な降雨パターンにしたがった先祖伝来のノウハウと文化の伝統を混ぜ合わせたものだが、その降雨は、地球温暖化が原因で益々不足が進行中だ。
 これこそがまさに、NRTが計画的な輪番的放牧を導入することで変えようと狙っていることだ。NRTは、それが150万トンの炭素を毎年地中に蓄えることを可能にするだろう、と主張している。
 しかしながら、このシステムは炭素貯留を増やすだろうと示すためにNRTが提示した科学的な証拠は、いくら控えめに言っても問題がある。主な主張は、当地のコミュニティが行っていた自由な範囲の放牧が土壌の質を悪化させているというものだ。しかしこの主張は、先住民衆は彼らの環境を保つことができない、との植民地主義的見方を反映するものだ。
 ウオールストリートジャーナルは、NRTは早くも、市場価格にしたがえば4200万ドルから9000万ドルの価値があると見積もられる6百万近くのカーボンクレジットを売り終えた、と報じている。

牧歌的なくらし
に二重の打撃が

 この構想は、中央集権化された外国の管理を利する形で、牧歌的コミュニティからかれらの家畜に対する支配をはぎ取る。その管理が、家畜の群れをどこでどれだけの期間放牧するかを決めるだろう。伝統的な畜産農業はこうして、より工業的で商業的なシステムへと移されると思われる。
 しかしながらコミュニティの抗議が、「サヴァイヴァル・インターナショナル」のようなNGOに支援されて、この構想を止めることに成功した。検定機関であるヴェッラ(持続可能な開発、気候抑制対策、責任あるビジネス慣行の基準を策定・管理しているNPO)は、2つの事例に関し確認手続きを止めている。特に、影響を受けるコミュニティの自由で情報を受けた上での同意がこれまで得られていない、ということが確認された。
 その上NRTはケニアの法に違反して、特に、コミュニティによる集団的土地所有を認める2016年の「コミュニティ土地法」に違反して保護地を創出することで、土地に対する認可を強奪しようとしている。
 NRTはその構想を受け容れるよう当地の人々に大きな圧力を行使中だ。かれらが読むことも書くこともできないにもかかわらず、契約書への署名が求められる会合に住民を連れ出すためのバス輸送が組織されている。金銭的脅迫もまた報じられたことがある。過去には、払われた総額もその受取人も特にはっきりしないまま残されたことがあった。
 ケニヤの牧歌的なコミュニティはこうして今、二重の打撃に苦しめられている。かれらは今気候変動――かれらはそれに責任はない――の矢面に立っている。そしてその変動はかれらの畜産農業を掘り崩し続け、その中で同時に、西側多国籍企業の温室効果ガス排出を相殺する目的で、彼らの暮らし方を変えるよう強要されているのだ。(2026年7月8日、「ランティカピタリスト」より)(「インターナショナルビューポイント」2026年7月8日)

THE YOUTH FRONT(青年戦線)

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