ドイツ 州議会選と左翼党

AfD排除の全政党連合は危険な道
左翼党はブルジョア政党との連立にノーを

シエス・グレイス

 9月6日のザクセン・アンハルト州議会選挙結果を受け、ドイツ左翼の展望に関する討論がかつて以上に重要になっている。同選挙の直前に書かれた以下の先を見越した分析で、シエス・グレイスが危機の根源を概括している。(IV編集者)
 ザクセン・アンハルトとメクレンブルク・フォアポンメルンの州議会選挙(前者は9月6日、後者は9月20日)まで僅か数日、明らかに止めがたいAfD(ドイツのための選択肢)伸長に対し左翼党はいかに対処すべきか、をめぐる論争は日を追って鋭さを増しつつある。
 左翼党国会議員団副代表のボド・ラメロウ(元チューリンゲン自由州首相で、同党内で唯一の州首相経験者:訳者)が率い、しかし党執行部および国会と州議会の議員団内部にしっかりと根を下ろした党既成エリートの一部の場合、全くはっきりしているが、ここで賭けられているものは「権威主義に反対するその闘い」における「民主主義」の危機だ。したがって左翼党は、危険にさらされた民主的な国家に対するその全体としての責任に応えなければならない。
 実践においてこれが意味することは次のことだ。すなわち、AfDに反対する「民主的諸政党」の全政党連合への合体だ。そこには、州を共に統治することに関するCDU(キリスト教民主同盟)との協定の可能性も含まれる。

数をめぐる算術計算


 ザクセン・アンハルト州でAfDメンバーは3500人。投票権をもつ170万人の中の世論調査で同党は42・1%の支持率になり、2025年国会選挙で同党は実際50万票弱、37・1%を得た。8月25日の最新世論調査に基づけば、AfDは、州議会議席83中41議席を占めると思われる(訳注)。
 メクレンブルク・フォアポンメルン州でAfDは2700人のメンバーを抱え、130万人の有権者の中での世論調査で支持率36%に達している。同党は前回国会選挙で実際36万票弱、35%を取り込んだ。もし世論調査が結果になれば、同党は同州議会議席71中28を獲得すると思われる。
 ザクセン・アンハルト州では、CDU、左翼党、そしておそらくSPD(社会民主党)(世論調査支持率は、各々22・9%、13%、6.6%)のみが州議会に席を得るだろう(AfD以外で:訳者)、と予想されている。純粋に算術的に考えれば、AfDの政権奪取を妨げる可能性は、CDU、左翼党、SPDの統治連合による場合だけだ。
 メクレンブルク・フォアポンメルン州では、SPD、左翼党、CDU、そしておそらく緑の党(世論調査支持率は各々、29%、11%、10%、5%)が議会に代表を得るだろう。緑の党が州議会に入るなら、SPDとCDUとの連合か、SPDと左翼党との連合か、があり得ることになるだろう。緑の党が議席を獲得しない場合、その時はここでもまた、SPD、CDU、左翼党の連携のみがAfDの政権参加を妨げると思われる。

議会内だけでは解決不可能


 左翼党の連邦党大会は残念なことに、メクレンブルク・フォアポンメルン州とザクセン・アンハルト州の州組織に、どんな議会的な冒険にも乗り出すフリーハンドを与えてしまった。左翼労働者政党の古くからの伝統を維持し、ブルジョア政党との統治連合参加全面拒否、およびそれらの政党との黙許協定拒否という動議は、多数に全く届かないことが分かった。
 今両州組織で責任を負う者たちは、CDUとの協定に入るだろうと、また必要であれば、CDU指導下の政権を支持するだろうと、合図を送り続けている。しかしそのような決定は、左翼党にとっては致命的になり、左翼の独立した階級政党としての党建設における、2024年以後の成功局面からの1歩後退になると思われる。
 AfDの成功とその幅広い支持はその両者共、ザクセン・アンハルトというそのモデル州における1932年のNSDAP(国民社会主義ドイツ労働者党、通称ナチスの正式党名:訳者)の票と何よりも社会内での基盤において比較できるレベルには到底達していないし、それをCDU、SPD、緑の党が連邦と州のレベルで何年も指揮してきた現実の政治から切り離すことはできない。
 それは、賃金労働者、特に移民を踏みつけにして行われた政治だ。すなわち、公衆衛生、ケア、年金、教育において福祉国家の諸構造をずたずたにする、家賃の危機、気候の危機、交通の危機に対する実質的な解決を拒絶する、そして東部ドイツ諸州に対する構造的な無視からなる政治だった。
 そのすべてが右翼諸政党の何よりもAfDの伸長を支える推進力を構成している。これに加えて、欧州資本主義の咲き誇る未来を生み出すというその約束から遠く離れたEUの永続的な危機、および政権諸政党の戦争路線がある。そしてその路線は、戦争と破壊という古い怖れを生き返らせただけではなく、日々の生計費の途方もない上昇へと直接導くまでになっている。ある最近の調査によれば、東部ドイツの住民が一番怖れているのはインフレへの不安であることがはっきりした。

少数政権強要が唯一の選択肢


 AfD伸長は先のような政治の結果であるだけではなく、それらで包み込まれた社会的転落への怖れの結果でもある。同党はその両方を社会に根付く基礎へと何とか変えることができてきた。しかしそれは、第1に政府の具体的な政策が変われば、そして第2に左翼党自身も一体となった幅広い左翼が、反右翼の幅広い社会的戦線建設および社会主義的オルタナティブとして社会の中に根付くために前進することを始めるのならば、その場合のみ逆転可能だ。
 しかしながら、政府内でのCDU並びにSPDとの連合の形でそれが万が一整えられるとすれば、具体的な政策はもちろん変化しないだろう。連立への、あるいはCDUかSPDの首相を容認することへの見返りとして左翼党が得ることができると思われる全くささやかな譲歩は、ブルジョア政治に対し行うことを迫られると思われる譲歩には全く釣り合わず、左翼の信用そのものに対し致命的な打撃になるだろう。
 CDUとの連合、あるいはその黙認は何よりも連邦政府に対する全面服従となり、AfDにとってはさらなる建設材料に、またその同じAfDに対する反対派としての役割全体の明け渡しになるだろう。
 AfD問題に対する議会的な「回答」は皆無だ。議会内で考えられるのは少数政権のみであり、それは左翼党が社会的に受け容れ可能なものごとだけを支持する政権だ。政党から自立した「専門家政府」のようなある種の全政党一致政府も阻止されなければならない。左翼党にとっては、政治的に独立した階級政党の建設については、他の道はまったくないのだ。(2026年8月27日、「ソツイアリスティッシェ・ツァイトゥング」より)

▼筆者は、インターナショナル・ソーシャリスト・レフト(isL、革命的社会主義者同盟とならんで第4インターナショナルドイツ支部を構成する公式2分派のひとつ)の全国世話人メンバー、かつ左翼党内左翼潮流である「アンティカピタリスティッシェ・リンケ」全国世話人の一員。(「インターナショナルビューポイント」2026年9月8日)

(訳注)実際の選挙における各党獲得議席結果は以下。先ずザクセン・アンハルト州では、AfD39、CDU15、SPD8、左翼党8,緑の党8,ザーラ・ヴァーゲンクネヒト連合5。メクレンブルク・フォアポンメルン州では、AfD32,SPD29、左翼党5,緑の党5で、CDUは初めての議席ゼロだった。   

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